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  • 保育園・幼稚園と一般企業の違いを解説、保育士から一般の会社員に転職するには?

    保育園・幼稚園と一般企業の違いを解説、保育士から一般の会社員に転職するには?

    現職の保育士・幼稚園教諭で、一般の企業への転職を考えている、という人は多いと思います。

    理由はさまざまでしょう。
    ・不規則な労働スタイル
    ・サービス残業
    ・安い賃金
    ・良好でない人間関係
    ・就業規則の不備
    ・保護者とのトラブル
    など。

    この記事では、保育士・幼稚園教諭から一般の企業に転職するのにあたり、仕事の違いや、取るべきアクションで知っておくべきことを、徹底解説します。役立つ情報へのリンクも紹介しています。
    まとめて「保育士」「保育園」「会社」と記述することにします。



    保育園と会社の違い

    保育園でも複数の園にまたがって組織的に統一した保育・教育方針で仕事を管理するところもありますが、多くの園が自園だけの小規模な運営です。会社はその点、多くの部門の社員で構成されています。
    保育士を辞めて会社務めを考えている人は、個人経営や社員数人の零細企業を希望している、ということはないでしょうから、本記事での「会社」とは、数百人とか数千人規模の会社を想定した説明になっています。
    では、保育園との比較での会社の主な特徴を挙げます。

    組織が大きい

    会社は、社員数が多いです。多くの会社機能が細分化されています。それによって、
    ・仕事を進める上で関わる人が多い
    ・おびただしい数のルール、方針が定められている
    ・専門性の異なる人がたくさんいる
    ・たくさんのことを学べる
    ・ほか仕事の部門に異動できる
    ・組織を健全に保つ活動がある
    など、メリットともデメリットとも取れるようなたくさんの、保育園との違いがあります。それぞれのメリットとデメリットを挙げます。

    ■関わる人が多い
    ・メリット 
    仕事を分担できる。協力体制が確立されている場合が多い。
    ・デメリット 
    自分の考えだけで進められない。

    ■たくさんのルール、方針
    ・メリット
    ルール、規定類、方針で統制されているため、変な社員はほとんどいない。リーダーひとりに振り回されることは稀。
    ・デメリット
    ルールを知らないといけない。柔軟な対応には協議が必要。ルールを作る作業もある。

    ■専門性の異なる人がたくさん
    ・メリット
    仕事で関わることで多くの知識を得られる。
    ・デメリット
    知らないこと、難しいこともたくさん説明されるので、学び続ける覚悟、自分も専門性を高める努力が必要。


    ■たくさん学べる
    ・メリット
    研修や教育、学習プログラムがたくさんあり、スキルアップできる。普段の業務で、経済の動きや仕組み、安全衛生、販売、財務など、会社を取り巻くさまざまな側面での情報が飛び交い、生きていく上での多くの知識を得られる。
    ・デメリット
    たいていの場合、情報や届くメールが多く、取捨選択のセンスが必要。

    ■ほかの部門に異動
    ・メリット
    今の仕事が合わない場合、社内でほかの部門に移る希望を出せる。転職なしで人間関係のリセットを図れる。
    ・デメリット
    希望しなくてもほかの部門に異動させられることもある。

    ■組織の活性化の活動がある
    ・メリット
    人間関係の悪化やギスギスした部門の雰囲気を是正する仕組みがあるため、快適に仕事ができる環境へ改善される。
    ・デメリット
    問題抽出やそのための打ち合わせなど、仕事以外での取り組みが多く、やることが多岐にわたる。

    メリット、デメリットのどちらと捉えるかは本人次第です。今の勤め先の保育園にも該当するものはあるかもしれませんが、社員数が多くなるほど、組織の統制のために、良くも悪くもたくさんのことが自分を取り巻きます。



    品質、コスト、納期のすべてに敏感

    会社は、良質な商品やサービスを、定められた日程の中で提供し、多くの利益を創出する、というミッションがあります。すべての会社が、品質、コスト、納期という3要素にとても敏感です。
    コストダウンを推進するためだけの部門、全社の製品やサービス品質を統括する部門、生産日程管理をする部門、のような特化した部門もあるくらいです。全社員が品質、コスト、納期を常に意識した言動を求められます。

    品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の頭文字を取って、QCDといいます。近年は、環境保護の観点から、環境(Enviroment)にも配慮した取り組みが法的に義務化されてきたこともあり、EQCDを謳う会社も多いです。

    多くのスキルが求められる

    同じ作業を繰り返すだけの単純作業者、定型業務従事者でなければ、ビジネスに必要なスキルがまんべんなく求められます。
    専門分野に加えて、PC(パソコン)、ビジネスライティング(文章)、のほかたくさんのスキル領域があり、高い給料を得ようと思うと、より高いレベルでのスキル習得が必要になります。
    保育士経験があると、対人コミュニケーションスキルの高い人は多いかもしれません。そこは生かせるでしょう。

    保育士・幼稚園教諭から一般企業への転職で、保育士経験を効果的にアピールする8つの方法

    給料は一般企業のほうが高い

    多くの保育士さんとお話しすると、給料が安い、ということが大きな不満であることが多いです。
    保育業界では、経営者や役職者は別ですが、保育業務メインで働いていると、400万円台が限界ではないでしょうか。200万~300万円台の人がほとんどだと思います。
    会社では、業種にもよりますが、社員数が数百人規模を超える会社であれば、給料は安定して伸びます。一口に一般化は難しいのですが!安く見ても、だいたいの目安で、
    20代
    給与 25万円×12カ月
    賞与 50万円×夏冬
    これで年収400万円となります。これだけみると、保育士の給与と大きく変わりません。
    平社員でもグレードが分かれている、という会社が多いので、昇進試験に合格して昇格すると、給料が急増します。多少がんばってひとつふたつ昇格しておけば、
    30代
    給与 30万円×12カ月
    賞与 70万円×夏冬
    年収500万円に達します。その後も給料は微増します。これで、保育士を続けていた場合と比較すると、生涯賃金は数千万円の差が付きます。
    会社によっては、平社員でも活躍して実績を挙げれば、年収1000万円を得ることも十分に可能です。




    「会社員経験なし」から一般企業を目指すには

    会社員としての業務経験がない中で、会社勤務を希望する場合、どのように職を探せばよいのでしょうか。いくつか手段はありますが、どのような職種を希望するかによってその方法は異なります。
    「この会社のこの職種が希望」ということなら、その会社のホームページで中途採用募集を検索したり、なければ直接電話して期間従業員採用はあるか問い合わせたりします。「希望する職種は決まっているが地域は限定的」なら転職支援サービスを利用します。本記事内でも、転職支援サービスをいくつかご紹介します。

    いずれにしても、「特に職種の希望はないが、なんとなく会社勤務がいい」という気持ちでは、採用を勝ち取るのは難しいです。世の中にどのような仕事があるか調査の上、希望職種を定めてから動きだしましょう。


    転職支援サービス

    たくさんの転職支援サービスがあります。サービス会社によってやり方は多少異なりますが、履歴書や職務経歴書は必要になるでしょう。
    自分の希望する、
    ・職種  (例 経理、一般事務など)
    ・業種  (例 メーカー、商社など)
    ・勤務地 (例 都内、1時間以内など)
    ・勤務体系(例 正社員、派遣など)
    を、だいたいまとめておくとよいでしょう。
    自分の希望がまとまらない場合には、転職支援サービスに何社か登録し、さまざまなお仕事案件を検索して、自分に合う職種を絞りこんでいきましょう。
    サービスに登録するだけでしたら、どこも無料です。

    会社のホームページ

    会社の希望がピンポイントであれば、その会社のホームページの「採用情報」の中の「中途採用」「キャリア採用」などの項目から、求人を探します。
    希望の職種があれば、直接応募することも可能ですが、その求人を扱う就職支援サービスに相談すると、確実に進めてくれるのでおすすめです。さまざまなアドバイスももらえます。

    電話、メールで直接問い合わせる

    古くさい手法ですが、希望の会社の担当者と直接情報交換できます。
    期間従業員の募集情報や選考のプロセスを教えてくれたり、就職支援サービス会社を通す旨を教えてくれたりします。




    一般企業の勤務経験なしで会社に中途入社するには

    中途で入社する社員には、多くのスキルが求められます。時間とお金をかけて教育しなくても、即戦力として活躍してもらえるところに中途採用の価値があるためです。
    専門性やそのほかのビジネスマンとしてのスキルを漏れなく要求されることはありません。しかし、ひとつでも多くを習得しておくこと、どんなスキルが必要かを知っておくことで、ほかの候補者と差を付け、採用内定を勝ち取ることができます。

    必要なスキルについてまとめた記事を、ご参照ください。

    一般企業の経験なしで、会社の中途採用に合格する 知っておくべき10のスキルを解説

    一度転職しても、保育士への復帰は大丈夫、むしろメリットは多い

    保育園では、基本的に保育業界での経験者がほとんどです。したがって、以下のようなことができるスタッフが園に多くいるということはありません。
    ・プロのビジネス目線で日常業務を改善
    ・保育サービスの革新
    ・掲示物や配布物(紙)のプロ並みのデザイン
    ・敏感なコスト感覚
    保育士は、子供の健康と安全を守ることが最優先ですから、もちろん、それを第一に考えていただいていいと思います。ほとんどの人がそうであるべきでしょう。
    しかし、園長先生は経営者であることが多いため、保育だけでなく、全体の運営に関わってビジネス視点で考えなくてはなりません。経営・ビジネスコンサルタントと契約して、アドバイスをもらえる環境にあったとしても、毎日の保育業に付きっきりで進めてもらうわけにはいきません。
    そこで、保育業の経験、会社でのビジネススキルの両方を兼ね揃えた人であれば、運営の右腕になってもらったり、副園長や主任候補として重宝してもらえることになるでしょう。(中にはワンマンな園長もいますが、園の方針によります。)

    会社員として働くと、多くのビジネススキルが身に付き、保育士に復帰したいと思ったときには、パワーアップした状態での復帰が実現することになります。

    転職のメリット。転職に必要な取り組みやコツ、準備、試験対策

    まとめ

    保育園と会社の違い、アプローチの手法などの情報をお届けしました。保育士経験だけだと会社への転職には自信がなく不安もあるとは思いますが、まずは、転職支援サービスを利用し、プロの意見も参考にしながら進めてみてください。
    必要なスキルについては、本サイトのほかの記事も参考になると思いますので、ぜひご覧ください。







  • 一般企業の経験なしで、会社の中途採用に合格する 知っておくべき10のスキルを解説

    一般企業の経験なしで、会社の中途採用に合格する 知っておくべき10のスキルを解説

    一般企業が中途社員として入社してくる人に求めるスキルはたくさんあります。もちろん、すべてを兼ね揃えている人なんてほとんどいません。
    しかし、何を求められているか、どういうことができるべきであるか、知っているのと知らないのとでは大きな違いです。

    この記事は以下のような人を対象に書かれています。
    ・会社でどんなスキルが必要なのか知りたい
    ・今後組織の中で働かなくてはならない
    ・会社で必要なスキルを習得したい
    ・今の職業が、保育士、介護士、作業員、野外での勤務、などの職種で、オフィスワークの経験はないが、会社に中途採用で転職したい
    ・就活中の学生

    会社から求められる10のスキル項目と、その習得方法について解説します。

    会社で求められるスキルをおおざっぱにいうと

    前の職場で得た知識や経験が、自社でどのように生かせるのかを、会社はジャッジしてきます。

    中途社員には、いちから社会人としての教育を施す必要はない、と会社は考えています。中途で入社する人に求めるスキルは、
    ・礼儀正しい態度
    ・コミュニケーション能力
    などは当然のこと、そのほか、
    ・募集職種の専門性
    ・問題解決の力量
    ・自頭力、発想力
    などがあります。さらにレベルの高い要素では、
    ・正しいプロセスで仕事を進める
    ・リーダーシップを発揮して成果を挙げる
    ・後輩の教育ができる
    というスキルが求められるケースもあります。社会人としての経験年数によっても、求められるスキルの幅は異なります。

    さすがに上記のすべてを身に付けていることを求められるわけではありませんが、中途で入社を希望する応募者がこれらの多くを兼ね備えていれば、ほかの候補者よりも優位に立てます。「ぜひこの人を欲しい」と思わせたいところです。

    会社で使用する言葉使い、尊敬語、謙譲語、丁寧語、これだけ押さえておけば大丈夫

    1. テクニカルスキル

    テクニカルスキルとは、専門的な知識のことです。たとえば、
    商社 :契約、法律、経済
    営業 :販売、経済、計算、管理
    技術 :専門学問、数学、物理化学全般
    研究 :専門学問、研究プロセス、論文
    事務 :PC、文章、費用処理、計算
    など、その業務を遂行するにあたり必要となる知識やスキルです。
    事務職が最もハードルが低いことは明らかですが、そのぶん競争率も高い、ということになります。

    会社経験がないところから会社員を目指すということは、会社が求める専門スキルをもちあわせていない人が多いと思います。専門性は、地道に積み上げていくものですから、年齢によっては、高い専門性がなくてもそれほど不利にはなりません。
    スキルの習得が間に合わなければ、「このようなことを現在学習中」と伝えることもできます。
    そのためにも、興味のある分野の、
    ・関連の専門書で学習
    ・Webサイトで情報収集&学習
    ・有料または無料動画サイトで学習
    ・講習会を受講
    ・e-Learning講座を探して受講
    など、できる限りのことを進めてみましょう。

    専門分野の業務を遂行する上での最も基本的なスキルとして、文章力とPCスキルが挙げられます。

    2. 文章能力

    手足を使った単純労働(工場組立ライン、物品運搬)でなければ、PCを使用しての文章を書く作業はほぼ毎日ある、といっていいでしょう。
    前職にも、連絡帳に毎日の出来事を書いたり、配布物への文章書きなどをした人もいるかもしれませんが、より高いレベルが求められると思っておいたほうがいいです。
    情報共有に厳しい人たちや、多数のお偉いさん達に一斉送信で、的確な内容でメールをする、ということもあるでしょう。
    文章の基本は、
    ・概要や結論を最初に簡潔に書き
    ・具体的な詳細内容を明記し
    ・最後にまとめる
    という流れを徹底します。自分でも確認でき、相手に伝わる、という利点があります。これを「説明資料」という形で表現する場合もあるため、ハードルはかなり高いといえます。文章スキルアップの記事と、資料作成スキルアップの記事をご紹介します。あとで読んでみてください。

    文章を上手に書くための6つの基本、例文で解説

    お仕事で資料を上手に作るコツ、例を挙げて資料作成の基本を解説

    3. PCスキル、Excel、Wordなど

    PCスキルとは、現在、
    ・Word
    ・Excel
    ・PowerPoint
    とイコール、といっても過言ではありません。会社によっては、使い勝手の良さでGoogleのツールを使う会社もあるかもしれませんが、基本は、Microsoftのこの3ツールです。
    Word、Excel、PowerPointの操作スキルアップに関しては、すみませんが当サイトではカバーできていません。自信のない方は、Webサイト、Youtubeなどで学習してみてください。「学習」「無料」といったキーワードで検索すれば無数に出てきます。

    PCそのものを使うスキルは、もちろん求められますが、PCの仕組みやアルゴリズム、サーバーなどの知識を求められることはまずありません。専門性が高すぎます。
    電源を押して、起動して、ファイルを開いたりコピーしたり、ソフトウェアをインストールしたり、終了などができれば問題ありません。毎日使えば、仕事に必要なスキルは自然に身に付きます。PCをもっていない人は、購入して毎日使用することで慣れておいたほうがいいでしょう。

    職種にもよりますが、PCキーボードのブラインドタッチはマスターしておくことをおすすめします。仕事の効率が何倍も変わってきます。なにしろ、「仕事ができる人」のように見えます。
    ブラインドタッチがもたらす3つのメリット、優れた無料練習サイトを3つ紹介

    4. ヒューマンスキル

    これは、性格が良い、ということもありますが、コミュニケーションスキルのことです。優れたコミュニケーションにより、対人関係を円滑にコントロールして高い成果を挙げることが必要になります。

    参考記事
    「人物良好」という評価をもらうために必要な4つの要素

    出世のために、人間力を身に付ける

    そのほか全般的なスキルは?

    テクニカルな部分とヒューマンの部分以外に、求められる要素がたくさんあります。
    今後、技術が進化し、業務にAIやRPA(Robotic Process Automation、業務のオートメーション化)が取り入れられると、以下に挙げるスキルの要求が増してくるでしょう。真面目にコツコツと業務をこなす、とか、正確に丁寧に繰り返し作業をする、というスキルは、重要度の低いスキルに位置付けられるようになります。これからは、
    ・新しい物事を考案
    ・臨機応変な対応
    ・問題解決
    ・人を育てる
    ・人を束ねて業務を動かす
    といった、ロボットが苦手なこと、人間にしかできないことが求められてきます。

    テクニカルやヒューマン以外で会社が求めるスキルをいくつかご紹介します。採用面接で、これらを兼ね備えていることを説明できれば、優位に立てます。

    5. 考える力、自頭力

    物事をしっかり考えて仕事をすることは、これまでも意識していたと思います。しかし、限られた時間の中で効率的に高品質の商品やサービスを創出し、利益を最大化する、という側面は、会社でクリエイティブに仕事をする上で強く求められます。会社で思考を働かせて仕事をするために重要な要素として、以下のようなものがあります。
    ・全体を見て漏れのない検討を行う
    ・物事の本質に迫る
    ・ユーザー目線で物事を考える
    ・発想力で新しいものを生み出す
    ・瞬時に仮の結論を導く
    これらが正にロボットではなく人間が得意にできる要素です。詳細解説記事を参照ください。

    思考を働かせて仕事の成果をあげる5つの方法、実用例で解説

    6. 問題解決能力

    仕事をしていると、大小含めて毎日問題解決をしている、その積み重ねです。そのたびに先輩や上司に相談していると、業務遂行能力の欠如を疑われてしまい、残念なことになります。
    先ほどの、思考を働かせて成果を出す、というスキルを身に付ければ、問題解決もスムーズに対応できるようになります。
    問題解決を説明するには、とても一言ではいえませんが、だいたい以下のようなプロセスを踏むことが基本です。

    1. 影響の範囲を考える
     (部門、顧客、金額、日程など)
    2. 事が大きければ上司に報告、指示を仰ぐ
    3. まずは暫定的処置(火消し)を考える
    4. その暫定処置を関係者に連絡し、実行
    5. 本質的な原因を捉え、対策と日程を共有
    6. 根本的解決を実行
    7. 再発しないような策を講じる

    問題が小さければ、自分で根本的解決を即座に施すします。何年か経験を積む必要はあります。すぐに相談することだけは避け、少しでも自分で考えてからの報告が大切です。常に全体最適を考えて問題解決ができるようになると、周りからの信頼も厚くなり、頼られる存在になります。


    7. プロセスを踏んで仕事を進める能力

    世の中には「PDCAサイクル」というものがあり、仕事を進めるプロセスの考え方の基本として、多くの会社で重用されています。
    「PDCA」でインターネット検索すると、多くの説明サイトがヒットします。かなり細かく説明されているサイトがほとんどですので、ここでは簡潔にします。以下のような考え方です。
    P(Plan) 計画を立てる
    D(Do) 実行する
    C(Check) 確認し、改善や向上を考案する
    A(Action)改善、向上策を施行する

    Aまできたら、またPに戻る、というサイクルです。普通に仕事をしていれば、だいたいこのサイクルには乗ってくるものです。
    仕事のプロセスとは、マニュアルに沿って正しい仕事をすることもひとつにはありますが、このPDCAサイクルに沿うことも、ぜひ知っておきましょう。加えて、自分の所属部門での方針に沿います。

    「正しい仕事を正しいプロセスで実行しよう」みたいなスローガンを掲げる職場では、このPDCAサイクルを重視していることが多いです。

    PDCAサイクルに忠実に従って業務を進めることを良しとしている会社では、計画やらプロセスそのものが仕事になってしまい、結果を出すまでに時間がかかり、機会損失となっていることがあります。「プロセスや計画ばっかり気にしてないで、さっさと実行すればいい」と唱える実業家も多くいます。
    実行あるのみ、といっても、このPDCAサイクルを知っての上での遂行だと説明がつきます。

    8. 人に伝えるスキル

    会社では、関係者に的確に物事を伝えることが求められます。「仕事の報・連・相」や電話、メール、プレゼンテーション(発表)などがそれに当たります。

    「仕事の報・連・相」は、的確なタイミングで、報告、連絡、相談することです。これができると、コミュニケーションや情報共有をしっかりできる人、と見てもらえます。
    今は会社では、情報共有の基本はメールやチャットです。緊急性が高かったり、相手が手厚いサポートを必要としている場合には電話をすることもあります。会社の文化に従います。

    人に伝えるスキルが最も顕著に表れるのは、プレゼンをするときではないでしょうか。プレゼンだけで1冊本が書けるくらい、奥が深い要素です。プレゼン資料のクオリティもその要素の1つといえます。
    プレゼンを上手にできるということは、テーマのポイントをしっかり捉えて、まとめることができている、ということですので、そのインパクトは大きく、その先にさまざまな大きな舞台を用意してもらえます。評価も高くなり、ビジネスチャンスがぐっと広がります。




    会社でのプレゼンテーション、成功のために心得るべき4つの要素

    9. リーダーシップ

    リーダーシップは、どの会社でも求められます。大勢の人間を束ねることだけがリーダーシップではありません。規模は小さくても大丈夫です。関係部門の数人に物事を依頼して、結果的に1つのアウトプットを自分が出したら、それも十分リーダーシップの1つです。複数のスタッフを指揮して成果を出すことが重要です。

    リーダー経験がない場合でも、基本的に以下のようなことを意識していれば、リーダーシップが身に付いてきます。
    ・業務やプロジェクトの全体日程に気を配る
    ・メンバーからの情報共有を求める
    ・進捗が遅れている人(業務)に対処する
    ・メンバーのスキルアップを図る
    ・メンバーのモチベーションを上げる
    ・世界標準の情報を集め、チームに共有する
    そのほか当たり前の、ほかのチームと自チームのうまい橋渡し役となる、とか問題解決力など、たくさんあります。
    リーダーシップに関する書籍は、あまりにも数が多すぎます。いろんな人がいろんなことを書いていますので、どの本を読んだらいいか、迷ってしまいます。もし、体系的な知識を得たい場合には、「チームで成果を出す」とか「リーダーに必要なこと」などをテーマにしている本を1冊読んでおけば、リーダーシップの全体像を理解できるでしょう。

    10. 人材育成のスキル

    リーダーシップの項目で、「メンバーのスキルアップを図る」と書きましたが、チームメンバーだけでなく、同じ部門や自分も含めて、人が成長するためにどうすればよいか、知っておくと、会社には高く評価されるでしょう。

    人材育成は、とても奥が深く、この記事の数行で語り尽くせるものでは到底ありません。概略を書きますので、「会社にはこういう考え方がある」という程度に理解しておくだけで十分です。

    会社員は、基本的に
    ・会社での仕事経験
    ・仕事での研修
    ・自らの学び
    の3つで成長します。成長のためには、この根底に、やる気、モチベーションがあります。この成長を後押しする環境の中で、
    ・目標達成による貢献を実感
    ・仕事のやりがいを感じ、さらなる成長
    といったことを実現させるために、部下や後輩、同僚に成長を促します。
    結果として、
    個人の成長 ⇒組織の成長 ⇒会社の成長
    となり、会社の利益向上、発展へとつながります。

    具体的な行動としては、
    ・自身が学び、成長する
    ・研修や講習の情報を部門で共有する
    ・業務、プラスアルファの教育を後輩に施す
    ・成長することの意義をしっかり説明する
    ・部下、後輩のやる気を引き出す
    ・昇格試験があれば、後輩受験者を指導する
    などです。
    会社に入る時点で確たる人材育成ポリシーをもつ、というほどでなくてもいいですが、後輩を育てたり、周りの人に「学び」の影響を与えるような姿勢があるのが望ましいです。
    管理職になると、さらに人材育成の高いレベルを求められますが、会社によってその思想は異なります。その思想に従い、なおかつ自分のポリシーもあるといいでしょう。


    場合によっては、語学力も求められる

    転職において、英語は必須ではありません。
    日本の企業では、語学力すなわち英語力を強く求めるところはまだ少ないです。英語でマニュアルを作る、外国人相手に何かを案内する、または翻訳や通訳など、英語を使うことそのものが仕事になっている場合には、求められます。高い専門性や幅広いビジネススキルに加えて、英語も話せる、という日本人自体、少ないはずです。したがって、英語ができると、プラスアルファで評価が高い、ということです。

    外資系企業、特に欧米系企業であれば、英語力を求めるケースがほとんどです。また、中国に支社や大きなマーケットをもっている会社だと、中国語スキルを求めることもあります。反面、ドイツ系やフランス系の企業で、それぞれドイツ語やフランス語が必須というところは稀です。

    日本人ビジネスマンにとって重要度の高い外国語が英語であることは、今も昔も変わりません。英語力が高いと、その会社での業務効率向上や、周りからの評価が高くなるだけでなく、プライベートの充実、英語を生かした副業、などさまざまなメリットが得られることで、人生を大きく変えることができます。
    また、確たる専門知識を確立した上で英語力も兼ね揃えていれば、「英語力必須」といわれるGoogleやAppleなどの超優良企業へのチャレンジも叶います。

    転職にあたり、何から始めたらいいか分からない、という人は、とりあえず英語の学習だけても始めておいていいと思います。真面目にコツコツ取り組めば、1年~2年もあれば、仕事での英会話はほとんど苦労なくこなせるようになります。
    短期間で英語を話せるようになる、学習方法を速攻でポイント解説

    各スキルの習得、実行の目安

    本記事で紹介したスキルの大まかな位置付けを示します。転職活動での目安にしてみてください。

    ■専門書、Web、講習で学習
    重要度 :高い
    ・テクニカルスキル(専門スキル)
    ・PCスキル

    ■概要を知った上で、日々実行あるのみ
    重要度 :高い
    ・文章力
    ・ヒューマンスキル
    ・問題解決

    ■概要を知った上で、地道に取り組む
    重要度 :少し高い
    ・人に伝えるスキル
    ・考える力、地頭力

    ■知っておくだけでOK、いずれ発揮
    重要度 :普通
    ・プロセスを踏んで仕事
    ・リーダーシップ
    ・人材育成

    ■補足
    語学力は、自分の目標や、会社が求めているかによります。習得を志すなら、以下の記事を参考にしてみてください。
    留学しないで独学で英会話をマスターするための勉強法

    まとめ

    一般企業でのオフィスワークの勤務経験なしで、会社の中途採用に合格するためには、習得しておいたほうがよいスキルがたくさんあることが分かりました。
    すべて習得するのは難しいですが、会社で働くときに必要な観点をお分かりいただけたと思います。
    筆者の観点で、その習得や重要度の目安も書いていますが、転職支援サービスの担当者と相談すると、より具体的なアドバイスをもらえます。ぜひ利用してみてください。
    当サイトでも、ビジネスや転職の参考になる記事を今後も増やしていきますので、ご参考にしていただければ幸いです。







  • 「人物良好」という評価をもらうために必要な4つの要素

    「人物良好」という評価をもらうために必要な4つの要素

    会社でうまく人と付き合ったり、争うことなく協業したり、「この人は本当に人物良好な人だ」と評価をもらうための振る舞いについてご紹介します。

    周りの人から「人物良好」との評価をもらえると、たくさんのメリットがあります。
    ・就職や採用面接などの際に合格へつながる
    ・会社で高い人事評価が付き、昇給、昇進へつながる
    ・「この人は推薦できる」と、近しい人からの新しいビジネスチャンスを得られる
    ・周りの人から信頼されて仕事がしやすくなる
    など

    会社での仕事でなくても、日常のコミュニケーションでも参考になる記事です。




    言葉使い・話し方・態度に気を配る

    「人物良好」評価をもらうための基本中の基本です。言葉使いは、丁寧に正しく行います。
    丁寧語、尊敬語、謙譲語、そして話し相手に応じて、適度に丁寧な命令形もおりまぜます。言葉使いを的確に行うと、教養の高さを相手に感じさせることもできます。
    たいして親しくもないのにタメ口で話す、というのはおすすめできません。相手によって距離感を取りながら話すことで、物事へのさじ加減ができるスキルをアピールしましょう。

    会社で使用する言葉使い、尊敬語、謙譲語、丁寧語、これだけ押さえておけば大丈夫

    話し方も大切な要素です。言葉使いが的確なのに、話し方がぶっきらぼうだったり、怒った感じだったりすると、そっちに気を取られて話が入ってきません。
    主に以下のようなことに気を付けると、話し相手に喜ばれます。
    ・話の内容に合わせて声の抑揚を付ける
    ・深刻な雰囲気では真面目な顔つき、愉快な話は笑顔で話す
    ・場の雰囲気を読んだ声のボリュームにする
    ・難しい内容はゆっくり話す
    ・相手が急いでいるときには少し速く話す
    ・ひとつの文が長くならないようにする
    ・自分ばかり話さずに、相手の話も聴く

    話すときの態度にも気を付けます。
    ・人と話をするときには、その人の正面を向いて話す
    ・背筋を伸ばして話す
    ・会話中に足を組んだりうで組みしない
    ・ほどよく相手の目を見て、ずっと見つめない
    ・いすには浅く座らない(話をしてないときも)
    ・貧乏ゆすり、手癖足癖、鼻をねじる、など身体の部位を動かす行為を慎む
    ・荒い息づかい、鼻や喉を鳴らす、など身体から不要な音を出さない

    態度は、やらないほうがいいこと、も多いです。気付かないうちにやっていることが多い、という人は、この機会にぜひ自分の話し具合いや態度を再確認してみてください。




    変な言動はしない

    「なに、この変な人」と言われてしまうような行動はしないほうがいいです。
    誰かと話している時に限らず、変な言動を行うと、「人物良好」とは対極に位置付けられてしまいますので注意が必要です。

    次のようなことに心掛けます。
    ・いいわけ、愚痴、他人の悪口を言わない
    ・休憩時間にいすを並べてベッドにして寝ない
    ・大きなくしゃみ、げっぷをしない
    ・人前で鼻くそをほじらない(トイレに行き、ティッシュで処理)
    ・誰も理解できないような例え話をしない
    ・独自の造語は言わない
    ・休憩取得が社員任せの場合、長時間休憩しない
    ・目的もなくキョロキョロしない
    ・意味もなく眉間にシワをよせない

    言動とは少し異なりますが、身だしなみも大切です。人が初対面の人を直感的に評価する指標として、重要な順番は、容姿、話し方、話す内容、とよくいわれます。
    服装を常識的な装いにします。そのほか、髪型、メイク(女性)、ひげそり(男性)はTPO(時、場所、場合)に合わせましょう。寝ぐせは必ず直してから外出したほうが無難です。
    また、全体的に表情にメリハリを付けることも心掛けます。話しかけにくいほど機嫌の悪そうな表情をしてはいけません。ミーティングで、ある話題で出席者がみな笑ったら、とりあえず笑います。そうしないと「空気の読めない奴」と思われます。

    挙げればきりがありませんが、奇っ怪な言動を多くする人は、「あの人は変わった人だから、、」との評価を下され、払拭するには時間がかかります。ぜひ気を付けていきましょう。




    人のお世話をできる

    べつに介護をするわけではありません。周りの人が困っているときに、適度なタイミングで気が利いた対応ができるといい、ということです。
    困っているときに、その問題解決になる情報を提供してくれる人がいたら、「いい人だな」と思う人がほとんどです。
    自分の仕事もある中で人助けはなかなか難しいですが、ベストタイミングでお世話をできるように周りの状況把握をしておくといいです。

    人のお世話、というのは、ほんの些細なことです。あくまで自分の時間に余裕があるときですが、以下のようなアクションで十分です。
    ・イスを並べるとき
     ⇒「手伝いますよ」と言ってみる
    ・「外出します。ちょうどい電車あるかな、、」
     ⇒すぐにネットで調べて伝える、バスの時間も同じ
    ・「では社に戻ります」
     ⇒「タクシー呼びましょうか」と言ってみる
    ・「Excelのこのやり方が分からない」
     ⇒すぐに教える、またはネットで調べる
    ・珍しい現象があるとき
     ⇒「デジカメで撮っておきますか」と提案する
    ・「この申請内容で大丈夫かな」
     ⇒「人事部に問い合わせしましょうか」と言ってみる

    「言ってみる」ことが大切です。気にかけてもらえているだけで、人は嬉しいものです。中には「うざい」と思う人もいるので、あまりでしゃばりすぎないようにします。




    感情を出して怒らない

    どんなことがあっても、仕事場ではキレないことが、大切です。すぐにキレる人で、「あの人はいい人」という評価の人はいません。
    感情をあらわにして怒ることがよくない、というわけです。毅然とした態度で部下や後輩を諭す(さとす)ことは必要です。
    たとえば、ほかの部門とミーティングの約束をしていたのにもかかわらず、すっぽかされた場合、
    「じょうだんじゃないよ! こっちだって時間調整して人集めてんだから、そっちにメールだって送ってんだから、ちゃんとやってくれよ!」
    くらいに言う人がわりとたくさんいます。なめられないため、とか、怒りやすい性格、とか色々事情があるのでしょう。こういうケースでは、再発させないために怒ることもひとつの手段です。
    しかし、この記事は、「人物良好の評価を得るには」というテーマですので、異なる視点で考えます。こういう場合には、一旦メールか電話で、
    「今回は、こちらの部門も事前に人員調整して準備していたので、キャンセルの場合は事前に連絡を頂かないと本当に困ります。このメンバーでの日程再調整は近々にはもう無理です。貴課の方からプロジェクトリーダーに報告の遅延をお願いしてほしいところですが、そうもいかないですから、どうするか後で考えましょう」
    と、こちらの不満もぶつけつつ、冷静な語り口で、今後どうするか相談する姿勢を示します。信頼関係が向上することでしょう。

    そのほか、
    ・自分の提案が却下されても、「その客観的理由はどんなものでしょうか」と冷静に尋ねる
    ・怒られても逆ギレせず、真剣な眼差しで構え、相手が落ち着くのを待ち、冷静な会話にもちこむ
    ・会話中に第三者への怒りをおぼえてもキレず、「これは心外ですね、いやぁ、許せませんね、、」と、言葉は厳しく口調は穏やかに表現する

    というような姿勢を示すことで、人間としての器の大きさも感じ取ってもらいます。

    まとめ

    「人物良好」との評価を周りから得るには、話し方やその態度をちゃんとすることを基本として、気が利いた対応ができて、キレたり変な言動をしない、ということにまとめられます。
    何事もやりすぎは禁物です。周りの空気を読んでそのシチュエーションによって器用に振る舞うことができるよう心掛けてください。「人物良好」な人の言動をお手本にするのも手です。







  • 会社で出世するために、本当に必要なことは? 実力だけではない、ちょっとした心掛け

    会社で出世するために、本当に必要なことは? 実力だけではない、ちょっとした心掛け

    会社で出世するためには、生産性向上や組織の活性化、後輩の指導、高いレベルでの成果を出す、などが基本的には必要ですが、実はそれだけでは足りない場合があります。
    実際のビジネスの現場では、自分の昇進を決める決定権をもっている人に気に入られることが重要です。上に引き上げてもらうためのアピールは必須、ともいえるほどです。ここでは、「上司」と呼ぶことにします。





    会社で出世するために実行する取り組みは? 仕事編

    上司が言うことに逆らわない

    上司の指示、命令、さまざまなアドバイスを聞くことは多いと思います。そのときには、肯定的にとらえることをおすすめします。
    明らかに間違っていたとしても、「それは違いますよね」「私は反対です」など、否定的な発言はするべきではありません。あえて指摘する場合にも、「はい、良いと思います。他の観点で、このような捉え方もできそうですが、そういうふうにはしない方がいいですかね、、」と、あくまで上司の方針に沿う姿勢を基本としての控え目な指摘に留めます。イエスマンではなく、幅広い視野をもっていることもアピールできて、効果的です。

    上司をたてる

    上司の言動に対して、その価値や影響力を増幅して周りの人たちに伝わるよう心掛けます。
    たとえば、以下のようなアクションです。

    ・上司からのメッセージをほかの人に伝えるとき、「ちゃんと重要なところを押さえてアドバイスをくれる」「指摘が鋭い」など、自分の意見を添えて伝える
    ・情報共有の際、基本的には上司に一番最初に伝える
    ・同じ部門のほかのスタッフが、上司の方針と異なるアクションを取ろうとしていたらしてきする
    ・上司の失敗があれば、「あなたは正しかった。自分も実行部隊として反省すべき点がある」と連帯責任感を主張する

    上司は、これらの行動を見て、「この人は、自分の側近につけたら、自分の意図を汲んで部下をうまくコントロールしてくれる」と感じます。自分に対する信頼感が生まれ、昇進に有利にはたらきます。





    思考を働かせて仕事の成果をあげる5つの方法、実用例で解説

    上司の誘いには応じる

    上司からの業務での指示や要望などはすべて受け入れますが、それを超えた要望も基本的には受け入れたほうが、出世のためには近道になります。
    セクハラやパワハラは、もちろん論外ですが、「仕事の時間を使っているとゆっくり話せないから、軽く飲みがてらどう?」との誘いを受けたら、ぜひ、「いいですね。ぜひこちらこそお願いします!」と元気に応じます。たとえ、気が進まなくても、です。お昼ご飯を誘われたときも同じです。
    自分の昇進決定権者と業務時間中にゆっくり話をする、ということは、それほど多くはないのが普通です。その上司とゆっくり話ができる、というのは、むしろチャンスと捉えることができます。

    ・自分がどれだけ部門の成長を願っているか、
    ・誰々が優秀、誰々が努力必要、など、人を見る視点
    ・あなた(上司)がいかに優れたマネジメントを行っているか
    ・世の中のトレンドはこれだ、私たちはこういう観点ももつべきだ
    ・ほかの部門のここはこう、うちの部門はこう、という、自分の会社を見る眼力

    など、「広い視野アピール」「できる人アピール」をたくさん行います。加えて、「もっと上のポジションで人をまとめて、部門を大きく成長させたい」という、「昇進させてくれアピール」をすれば、昇進意欲が伝わります。ただし、上司と1対1のときのアピールに留めるべきです。ほかに同僚がたくさんいると、あからさまで印象は良くありません。

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    正しいことの実行ではなく上司の意図を汲んだ言動をする

    会社やお店、仕事をする場では、さまざまなルールがあります。正しいことを正しい手順で遂行することが基本となりますが、昇進を考えた場合、上司の言うことは、そのルールよりさらに上位にくると考えて行動します。
    上司がルールを逸脱する指示や提案をした場合、違法、脱法、公序良俗違反でない限り、上司の方針に従うこと、そして、「上司の方針が正しい」ことの裏付けとなる自分の意見を添えて、周りにアピールすることです。
    変に正義感ぶって「それは駄目です、こういうルールがあるんですよ」と主張するのは、柔軟性の欠如の観点からも、得策ではありません。「こいつ、めんどくさい奴だ、こいつに権限をもたせると仕事が進まなくなる」ということになります。
    自分が正しいと思うことの実行ではなく、上司の考えそうなことを先読みして提案、実行します。周りからは「忖度」と言われるかもしれませんが、構いません。上司から高い信頼を得るには、「忖度」も時には重要です。「方針の意図を汲む」という解釈もできます。




    周りから妬まれても気にしない

    上記の4つの昇進・出世のための言動は、場合によってはあからさまになることで、周りの人から「あの人は上司におべっか使って」「昇進・出世のためなら自分を捨てて何でもするのか」などと妬まれる可能性もあります。
    しかし、そんなことは、まったく気にしなくてOKです。自分には自分の生活があり、収入も増やさなくてはなりません。昇進して地位を確立し、自分の作りたい組織を作り、経験値を蓄積してスキルアップすることのほうが大切です。気遣い不要です。(きれいな言葉使い、協力、良好なコミュニケーションといった、対人としての気遣いは大切です。)
    もし昇進はしたものの、居心地が悪くて続けられない、という場合には、「課長」「チーフ」「リーダー」といった肩書きをひっさげて、転職する手もあります。少なくともその会社ではマネジメントのポジションにたどり着いた、というのは事実ですので、転職先での審査である程度評価されることは間違いありません。


    まとめ

    上司の言うことには逆らわず、プライドを傷付けないよう常にたて、誘いには、ある程度は線引きをした上で応じ、臨時応変に上司の見解に寄り添う、というところでまとめることができそうです。
    そして、昇進したい、出世したい、と自分が決心したら周りの目は気にせずに、自分の信念に基づき突き進むのみです。





  • 「薬剤師」の仕事内容、メリット・デメリットを徹底解説

    「薬剤師」の仕事内容、メリット・デメリットを徹底解説

    薬剤師のお仕事についてメリット、デメリットについて解説します。

    主に、以下のような人に役立つ記事になります。
    ・現職の薬剤師で、メリットを再確認したい
    ・薬学部の学生で、薬剤師の仕事を詳しく知りたい
    ・薬剤師、薬学部を目指す、受験生や高校生
    ・薬剤師の人との結婚を考えている
    ・自分の子供に薬剤師になってほしい




    薬剤師の業務内容の確認

    薬剤師の仕事は、おおまかに以下の4つに分類されます。
    ・調剤薬局での薬剤師
    ・ドラッグストアでの薬剤師
    ・病院での薬剤師
    ・MR
    一つひとつ、簡単に概要を確認します。

    調剤薬局での薬剤師

    街中での薬局や、病院やクリニックに併設されている薬局で勤務します。
    主な業務
    ・処方箋の監査
    ・内服薬や注射剤の調剤
    ・窓口での薬剤管理や服薬指導
    ・販売商品の在庫管理
    ・医薬品発注
    ・レジ業務
    ・医師への問い合せ
    などです。
    発注業務は、事務担当が一括して行う場合もあり、勤務する薬局によります。窓口でのお客様対応、という特性が強いといえます。

    ドラッグストアでの薬剤師

    マツモトキヨシ、HACドラッグ、CREATEなどの大きなお店に併設されている薬局で勤務します。
    主な業務
    ・処方箋の監査
    ・内服薬や注射剤の調剤
    ・窓口での薬剤管理や服薬指導
    ・販売商品の在庫管理
    ・医薬品発注
    ・レジ業務
    ・医師への問い合わせ
    小さな調剤薬局と業務は近いです。ただし、薬剤だけでなく、食品や雑貨などの一般商品の管理や一般客対応をする場合もあります。お店によって勤務内容が決まっていることがあったり、契約時に業務内容を選択できたりします。

    病院での薬剤師

    病院やクリニックの中で、医師、看護師、患者などと常に関わりながら勤務します。
    ・処方箋の監査
    ・持参薬鑑別
    ・内服薬や注射剤の調剤
    ・混合調整
    ・薬剤在庫管理と発注
    ・入院患者への配薬、服薬指導
    ・医師、看護師への問い合わせ
    などです。薬局の薬剤師との大きな違いは、職場が病院であること。医師との連携での業務が基本で、また入院患者への長期的な対応があります。業務全般も薬剤部の方針だけでなく、病院の方針の多くに従って遂行することが多くなります。

    MR

    薬剤師という職業ではありませんが、一応、4つ目として、リストアップします。
    MRは、薬品メーカーの薬商品を扱う営業職です。Medical Representative の略称で、「エムアール」といいます。
    ・病院、薬局への薬品の売り込み
    ・顧客への勉強会開催
    ・顧客へ商品のプレゼン
    ・販売計画策定
    ・研究、製造部門との業務連携
    ・市場調査
    などです。
    自社で製造する薬を扱う仕事になりますので、薬剤の専門的な知識を駆使して遂行します。MRは、薬剤師の資格がなくても就けますが、MRになるための民間試験に受からなくてはなりません。薬剤師の資格があると受験科目のいくつかが免除されます。
    薬剤師の仕事とは異なり、また一般の営業職とも資格職という点で異なるため、特異な存在感があります。




    薬剤師のメリット

    薬剤師は、その職に就くための費用と時間が多く必要ですが、一度薬剤師になれれば、そのメリットは絶大です。

    どこでも働ける、夫の転勤に合わせて転職できる

    薬剤師は資格職のため、誰でもその職に就けるわけではありません。その裏返しで、薬剤師の資格を所持していれば、全国の病院、薬局で求人さえあれば、その職に就くことができます。よほどのミスマッチがない限り、その街の薬剤師求人のいずれかに収まることができます。
    女性の場合、結婚や夫の転勤などで現職を辞めてしまっても転居先ですぐに職を得られる可能性が高いです。小さな村でなければ、大抵は薬剤師求人があります。

    それなりに高い時給で稼げる

    薬剤師の給料は、めちゃくちゃ高いということはありませんが、事務の仕事やスーパー、ショップの販売などと比較すると、格段に高いです。パート勤務や派遣社員で、どんなに安くても時給1600円くらいからとなります。地域にもよりますが、2000円くらいからが相場です。高いと4000円くらいの求人もあります。

    年収800万円まではいける

    正社員としてフルタイムで勤務すると、年収およそ400万円くらいからとなり、800万円くらいまでは目指せます。それ以上をの年収をねらうなら、薬局長や薬剤部長などのマネージャークラスを目指す必要があります。
    もちろん地域やその勤務先の給与体系にもよりますが、役職なしの平社員で年収700万円もらえるのは、薬剤師の大きなメリットといえます。


    専門職としての高い社会的評価

    薬剤師は手堅い職業です。大学で何年も薬学を勉強し、難しい国家試験に合格し、病院やクリニックなどで医療に従事している、ということで、社会的な評価は極めて高いです。
    日常生活に欠かせない「薬」に関する専門家、ということでも、間違いなく一目おかれる存在です。
    クレジットカードの審査、就職、結婚など、人生の節目で自分の職種の恩恵を授かることでしょう。
    薬剤師としての業務のかたわら、さらに勉強し、認定薬剤師の資格を取得することもできます。認定薬剤師となれば、さらにその評価や需要も高まり、その地位を確たるものにすることができます。

    薬学の知識を生活に役立てられる

    薬剤師は、薬の知識が豊富なのはもちろんのこと、どの薬が、どのような症状に効くか分かっています。
    医師ではないので、病気を特定することはできませんが、生活の中で、風邪や体の痛みなどの症状が出たら、この薬を飲む、と即座に判断できます。薬の知識だけでなく、風邪を引かないための生活の仕方、のような保健全般の専門的な知識があります。
    また、いわゆる理系であるため、生活の中でのさまざまなやりくりを化学的な解釈で行うことができます。

    同僚のレベルが高い

    薬剤師の同僚は、薬剤師です。すなわち、同僚がみな、難しい国家試験をクリアしています。また、大学受験、長年の学問修了、日進月歩の薬剤知識のキャッチアップといった、努力ができる人、計画的に学べる姿勢のある人がほとんどです。
    一般企業での機械や電気、経理、IT系といったさまざまな職種は、業務のための国家資格や、学問修了が必須でないことがほとんどです。課の中に未経験者やど素人がいて、なんとなくやれてしまっている、という理不尽な状況が見られることもあります。課長はマネジメント重視で、課の専門性には欠けるという場合もあります。
    薬剤師は、みな同じ学問を修めているため、高いレベルでお互いに会話ができます。管理職も薬剤師ですので、上司と専門性の高い会話が可能です。登録販売士も薬剤師に負けないよう勤勉な人が多いです。

    勉強会を受講できる

    新しい薬や成分に関する情報共有の機会を、薬品メーカーが提供してくれます。
    病院やクリニックといった薬剤師の職場にプレゼンしにきてくれることもあれば、近場の会場で開催してくれることもあります。参加料金がかかる場合もあります。
    自ら進んで勉強することはもちろん重要ですが、メーカー側から知識を提供してくれるのは助かります。押さえておくべきポイントや、薬品業界のお話などさまざまな情報を得ることができます。

    転職市場で強い

    薬剤師という職種の価値は高いです。転職しようと考えた場合、必ずといっていいほど、どこかに転職できます。就職・転職サービス業者の中には、薬剤師の求人情報を専門的にまとめて取り扱うところもあり、1つの地域の中でも、複数の選択肢の中から自分に合った求人を選ぶことも可能です。
    調剤のルーチンワークの枠を超えて、緩和ケア、抗がん剤、NST参加、各種委員会への参加など、の業務経験を積むことができれば、自身の転職市場での価値はさらに高まり、より高い年収や時給で自分を売り込むこともできます。



    薬剤師の転職支援サービス、高い実績のある3社の特長を紹介

    医師との協業により、医療に詳しくなる

    病院薬剤師であれば、毎日といっていいほど、医師との協業による業務遂行となります。
    症状、病気に関わる会話が日々繰りひろげられるため、医療全般の知識も年々蓄積されていきます。担当の病棟があれば、やる気次第でその病棟の医科の深い知識を付けることも可能です。
    ただし、詳しくなっても、それを患者さんに医療行為として伝えることや、医療見解として関係者に伝えることはできません。あくまで自分の理解促進や、生活に役立てる、といったことに留める必要はあります。

    女性の場合、医師との結婚も叶う

    女性の結婚相手の職業として毎年上位にランクインする「医者」。病院薬剤師は医師のそばで働くことも多いため、そこから恋愛に発展し、結婚、ということも可能です。紹介やお見合いパーティーに頼らなくても、身近でそのチャンスがある、というのは、恵まれた環境です。




    薬剤師のデメリット

    薬剤師は、専門性の高さ、市場価値の高さ、資格を得るまでの道のり、などから、他の職種にはないデメリットがあるのも事実です。これから薬剤師や薬学部を目指すなら、デメリットも把握した上で突き進む必要があります。

    常に勉強を続ける必要がある

    薬剤師に限ったことではなく、サラリーマン全員、「学び」を続けることは大切です。しかし、医療従事者、特に薬剤師は少し状況が異なります。
    薬や成分は日々進化しているため、普段の調剤ルーチンワークをこなすための知識も短期間でアップデートされることがあります。そのための勉強は、薬剤師にとって欠かすことのできない取り組みです。
    工学系・IT系エンジニアの「学び」や、管理系職種のサラリーマンの「学び」は、「スキルアップ」につながりますが、薬剤師の「学び」は、「スキルの維持」ともいえます。「学び」を怠ると、おいてけぼりになるため、学び続ける覚悟が必要です。
    専門的なお勉強、そのほか必要なお勉強をしっかり続けていかないと世間が狭くなる、と言う薬剤師も多くいます。

    高い学費のわりには稼げない

    薬学部の学費は高額です。以下の比較を見ると歴然とします。薬学部のおおまかな6年間の学費は、
    私立 1200万円
    国立  400万円
    同じ理系でも、理工学系学部は、4年間で
    私立  600万円
    国立  250万円
    が目安です。
    6年間というところもポイントで、生涯の労働年数が理工学系より2年短くなります。そのわりには、とてつもなく高い給料を得るのは難しい、といわざるを得ません。
    同じ医療従事者でも、
    看護師 6年制ではない
    医師  報酬が高い
    ということを考えると、薬剤師の費用対効果はやや低いです。
    また大手メーカーであれば、主任、係長クラスで年収1千万円も可能です。ベンチャー企業やIT企業で優秀な実績を上げて、平社員でも1千万円以上もらう人も、今は多いです。しかし、薬剤師で管理職にならずに年収1千万円を得るのは非常に難しいです。手堅い職業であるのと同時に、ホームランを多発してグイグイ給料を上げていく、というのはほぼ無理だと考えてよいでしょう。

    通常業務の中でビジネススキルは身に付きにくい

    ここでいうビジネススキルとは、PCや語学、コンセプチュアルスキル、プレゼン、ライティング、デザインなど、ビジネスマンに必要な、本業プラスαの部分のさまざまなスキルのことです。
    薬剤師は、その専門性の高さゆえ、薬剤の専門知識や医療に関するスキルの多くを求められます。医師・看護師と同じで、医療に関する専門性の重要度が極めて高く、ビジネススキル全般の習得が、一般企業に比べると低い優先度に位置付けられます。
    PC操作に関しても、薬剤や患者情報などのデータ管理、専用のソフトウェアの操作など、簡単なことはできるようにはなりますが、それを越えたビジネススキルを普段の業務の中で培っていくには、業務時間外に独自に学んで、強い意志をもって仕事に取り組む必要があります。医療に従事する、という事情からやむを得ないこと、といえます。
    もし、副業で何かビジネスを始めたり、独立する、などの事情があるときには、世の中の全般に通用するビジネススキルに関する研修を受講する必要があります。

    長期休暇の取得は難しい

    長期休暇を取得することが難しい職場が多いです。病院やクリニック、調剤薬局が、1週間、10日間など、長期で休業することは、ほとんどありません。すなわち、勤務している従業員は休んでいない、ということになります。職場を操業させるために、お盆の時季やゴールデンウィークなどは、シフト制で順番に数日の休暇を取得します。デパートやショップのような、一般のサービス業と近い勤務形態なります。
    加えていうと、土曜日も出勤日に指定されていることが多く、その場合、平日に1日休みがあります。




    管理職のポストが少ない

    管理職、すなわち課長や部長のポジションです。薬局長、薬剤課長といったそのポジションは限られています。薬剤課長が固定されると、そのポジションが下の人には何年も回ってこない場合が多いです。
    一般企業のような、
    ・企画課の課長になれないが、管理課の課長になった
    ・設計部の部長になれないが、製造部の部長になった
    といった類似の業務体系のポジションが回ってくるという、おいしい状況はほとんどないと考えていいです。
    転職ではなく、その職場で給料を上げようと思ったら、基本的には昇進するしかありません。そのポジションが回ってこなければ、本来は管理職になれる実力があっても、安月給がずっと続く、というストレスを抱えるかもしれません。

    病気をもらうリスクがある

    医師、看護師と同じで病気をもった人と関わりながら仕事をします。風邪をうつされたり、感染症になったりするリスクは、一般企業の会社員よりは高いです。
    職場でマスクの着用を義務付けるところがほとんどですが、そのほか、うがい手洗いなど、体調を崩さない心掛けが一層大切です。

    薬剤師以外の職種への転身は覚悟が必要

    薬剤師なるために、長い年月の努力、高い学費を費やしてきたわけですから、そう簡単にこの職を離れるわけにはいきません。学費を支払ってくれた人をはじめ、周りの理解を得ることもなかなか大変です。
    一度、薬剤師の職を離れ、多くの年月が経過すると不利になります。在職時の知識が、世の中ではどんどんアップデートされて、場合によっては復帰が難しくなります。これは薬剤師に限ったことではありませんが、そのステータスゆえ、離職(転身)には今後のライフプラン、良好な見通しを立てることが肝心で、最悪復帰はできないかも、という覚悟が必要です。


    まとめ

    薬剤師という職業の種類と、メリット・デメリットについて解説しました。
    薬剤師は求人が多い上に社会的な評価が高く、そこそこの給料を稼げる反面、その職に就くまでの道のりが長く、休暇の少ない中、生涯勉強をし続ける覚悟が必要、というようにまとめられます。
    今回あえてデメリットを挙げていますが、他の人にはできず、食いっぱぐれのない手堅い職業として、薬剤師は魅力的な職業に間違いありません。
    ぜひ本記事を参考の上、薬剤師のどのメリットに自分が納得しているか、または、自分の大切な人の薬剤師としてのあり方への理解を深めていただければと思います。







  • 「文章を書く」スキルアップに必要な優れた本、サラリーマン必携! 記者ハンドブックを活用する

    「文章を書く」スキルアップに必要な優れた本、サラリーマン必携! 記者ハンドブックを活用する

    仕事で文章を書くことが多い
    それを読んでもらう機会が多い
    という人のために、「記者ハンドブック」という優れた本の紹介を通じて、正しい文章、心地よく読める文章を書く方法について解説します。




    読んでもらいやすい書き方

    文章を書くとき、漢字とひらがな、どちらで書くか悩むことがあると思います。「時」「とき」、「居る」「いる」、「更に」「さらに」など、さまざまあります。その漢字が正しいかどうかも悩むことはないでしょうか?
    以下のような文章を見ると、どのように感じますか?

    「沢山の対応をして頂き、有り難う御座いました。」

    あらゆる文言に漢字を盛り込んだ、という印象です。
    間違いとはいえませんが、なんだかうるさい感じがしますね。漢字が多く、「真っ黒な文章」といわれることもあります。

    文章を多くの人に読んでもらうとき、ある表記のルールに沿って書きます。新聞に書かれている文章表記が基本になります。新聞は万人向けに、正しく、心地よく、読みやすく表記されていますので、新聞表記に準じていれば間違いない、ということになります。ちなみに、先ほどの「沢山の、、」を新聞表記に準じて書くと、

    「たくさんの対応をしていただき、ありがとうございました。」

    となり、すっきり読みやすくなっています。「白い文章」です。上記の「いただき」は、実際に何かをもらうわけではなく、謙譲語の助動詞としての「いただく」ですので、こういうときの使い方は、ひらがな表記になります。分かりやすい例を挙げます。

    「先日は、素敵な花瓶を頂き、ありがとうございました。大切に使わせていただきます。」

    「頂く」と「いただく」を使い分けています。このように、読みやすく正しい日本語の文章表記のルールはたくさんあります。これらを徹底するだけで、会社での資料作成や手紙、メール、Webサイトなどでの文章が飛躍的に良くなります。




    記者ハンドブックがおすすめ

    「記者ハンドブック」という本があります。これは新聞に載せる基本的な文章表記をまとめた本です。漢字や言い回しだけでなく、アルファベット、数字、単位
    など、一般的な文章を書く上で必要なことがほぼ網羅されています。新聞記者だけでなく、多くのプロライターやジャーナリストがこの「記者ハンドブック」を基本として文章を書いています。プロのライターの文章が読みやすいのは、この本のおかげだといってもよいでしょう。

    普通のビジネスマンで、自分の業務に、
    ・資料で文章を書く
    ・報告書を書く
    ・メールを書く
    ・昇格試験で論文を書く
    の1つでも該当する人は、「記者ハンドブック」を1冊購入し、活用することをおすすめします。

    日頃の業務で文章を書くたびに、また論文練習をするたびに、この「記者ハンドブック」で正しい表記を調べることで、少しずつ表記ルールが身に付いていき、読みやすい文章を書けるようになります。

    たとえば、前の項で挙げた、「とき」、「いる」、「さらに」については、

    「とき」
    「場合」と変換できるなら「とき」、時間的な意味をもつなら「時」

    「いる」
    物理的にそこに位置している状態をいう場合は「居る」、語尾の助詞としての使用では「いる」

    「さらに」
    「更に」ではなく、慣用的に「さらに」と表記する

    このように、たくさんの表記パターンを参照することができます。一語一語、すべて解説があるわけではありませんが、重要なところにはポイント解説があります。また、たくさんの使用例があるため、用途の理解を促進できます。先ほどの「いる」については、必要なことを意味する「要る」についても載っています。




    「記者ハンドブック」を使用することのメリット

    「記者ハンドブック」を活用すると、読みやすい文章を書けるようになり、以下のようなメリットが考えられます。

    ・文章を書くときに悩まなくなる
    ・読む人に喜ばれる
    ・世の中の記事や情報を読むのが楽しくなる
    ・国語力が身に付く
    ・国語力を高評価される

    5つ目の、国語力を高評価される、というのは重要です。これにより同僚や上司からの信頼が増し、文章の添削や執筆の業務が課せられることもあります。そのスキルで転職を有利にしたり、社内転職を目指したりできます。

    日本人ビジネスマンとしては、「日本語力がある」ということは基本として求められることです。しかし、ライターや記者、「書く」ことを専門としている会社員以外で正しい日本語を書ける人は、少ないのが現状です。「記者ハンドブック」を活用して、国語力をアップさせることで、さまざまなチャンスをつかむきっかけとなります。




    読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

    まとめ

    自分の業務に、「文章を書く」ことがあるわけでは人は、ぜひ「記者ハンドブック」を活用し、読みやすい文章を書くスキルアップを目指してください。
    そして、ビジネスのチャンスを広げてみてはいかがでしょうか。







  • 読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

    読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

    読みやすい文章表記について、日常的によく書く基本的な表現をご紹介します。

    基本は「記者ハンドブック」だが、ある程度は知っておくとよい

    文章表記のルールは、「記者ハンドブック」を1冊所持していれば、網羅的に把握できます。しかし、文章を書くたびに手元で調べながら書き進めるということはなかなか徹底できず、時間的にも難しいかもしれません。

    すらすらと正しく文章を表記するためには、一般的なものは、把握しておく必要があります。そこで、日常のメールや資料作成、昇格試験の論文などに活用できる、基本的な文章表記50選をまとめました。
    この程度頭に入れておけば、効率的に読みやすい文が書ける、という表記です。

    以下の50選は、「記者ハンドブック」を参考にしてはいますが、抜粋ではありませんので、ご注意ください。最終的には「記者ハンドブック」を閲覧くださいませ。

    では、このあと、文章表記50選です。




    読みやすい文章表記50選

    1. ある
    「無い」状態と比較して「ある」場合は「有る」、それ以外は「ある」。
    ・有り余っている
    ・その通りである
    ・一理ある
    ・世の中にはこういうものがある

    2. いう
    口から言葉で発している状態を指す場合は「言う」、それ以外は「いう」です。
    ・その行動は教師の鏡といえます
    ・世間とは、そういうものです
    ・彼は、「いいよ」と言った

    3. いか
    「以下」と書きます。海の「イカ」は別です。
    通達や回覧板での連絡で「下記の」書くときがあります。その下の、中央に「記」と大きく書かないのであれば、「以下の」が正しいです。

    4. いく
    ある場所からから他の場所へ、物理的に移動するのでなければ、ひらがなで書きます。「逝く」は別です。
    ・取り組みを推進していきます
    ・明日、京都に行きます

    5. いただく
    物事をもらう、受け取る状態であれば「頂く」と書きます。謙譲語の助動詞として使うなら「いただく」です。
    ・素敵な贈り物を頂きました
    ・こちらに書いていただけますか

    6. いつ
    「何時」ではなく「いつ」と表記します。

    7. いる
    その場所に物理的にいる状態では「居る」、それ以外は「いる」。
    ・今、家に姉が居る
    ・私には姉がいる

    8. うまい
    「美味い」「上手い」、すべてひらがなで表記します。
    ・この料理はうまい
    ・この料理はおいしい
    ・英語がうまいですね
    ・英語が上手ですね

    9. おく
    物理的にどこかに置く場合は「置く」、それ以外は「おく」
    ・本を机の上に置く
    ・安全策を設けておく

    10. および
    ひらがなで書きます。「~に相当する」の意味をもつ場合は「及び」
    ・AおよびBが対象です
    ・数百に及びます

    11. おこなう
    「行う」が正しい書き方です。
    「おこなって」⇒「行って」と書きます。

    12. きく
    きこえる状態は    「聞く」
    集中してききいる場合 「聴く」
    質問する場合     「訊く」
    「きく」人が熱心であれば「聴く」と覚えるとよいでしょう。
    「訊く」はややマイナーですので、読めない人もいます。「質問する」と表記すると確実です。
    ・彼が来る、と聞いてます
    ・先生の話をちゃんと聴く

    13. ください
    「ちょうだい」というニュアンスの場合は「下さい」、文末の助詞として使用するときは、「ください」
    ・これを私に下さいますか
    ・こちらをご利用ください

    14. こと
    「事」ではなく「こと」で表現します。
    ・そういうことです
    ・やることがたくさんある
    ・その事柄が大切です

    15. ごとに
    「毎」ではなく、ひらがなで表記します。
    ・10分ごとにチェックします

    16. さまざま
    ひらがなで表記します。
    ・さまざまな意見があった

    17. さらに
    ひらがなで表記します。
    ・さらに成長した。

    18. したがって
    何かに対して従う場合は「従って」、接続詞としての使用では、「したがって」。
    ・手順書に従ってください
    ・したがって、そういう結論になる

    19. しにくい
    ひらがなで表記します。
    ・それは理解しにくい

    20. しやすい
    ひらがなで表記します。
    ・それは理解しやすい

    21. しれない
    基本的に、ひらがなで表記します。「知っている」かどうかが重要です。
    ・失敗かもしれない
    ・知れたものではない

    22. すぎる
    程度が過ぎている様子では「過ぎる」、単純に超えているだけの様子は、「すぎる」。動詞では、「過ぎる」
    ・それはやり過ぎです
    ・2時すぎに開始します
    ・2時間が過ぎぎた

    23. すべて
    ひらがなで表記します。

    24. たとえば
    ひらがなで表記します。動詞で表記する場合、漢字になります。
    ・いくつか方法があります。たとえば、
    ・これを動物に例えるなら
    ・例を挙げます

    25. たしか
    接頭語として使う場合、ひらがなで表記します。意味が「確実」と置き換えられる場合には「確か」。
    ・たしかに、その方法がいい
    ・その方法が、確かである

    26. たび
    「~のたび」は、基本的にひらがなで書きます。「旅」は別です。
    ・そのたびごとに、対応する
    ・帰省するたびに、結婚しろと言われる
    ・度重なる失敗

    27. ため
    「為」ではなく、「ため」で表記します。
    ・不在のため、対応できない
    ・ためになる
    ・外為

    28. つける
    くっつけるイメージの「つける」は、基本的に「付ける」です。「漬ける」「就ける」などは別です。
    ・薬を付ける
    ・ここに取り付ける
    ・気を付ける

    29. つながる
    ひらがなで表記します。

    30. とき
    「~の場合」で変換できるときには「とき」、時間的な意味合いをもつときには「時」。
    ・間違いのときは指摘する
    ・同じ時に起こった

    31. ところ
    物理的に場所を示す場合には「所」、それ以外は「ところ」。
    ・ほかの所にある
    ・募集したところ、応募はなかった

    32. ない
    ある・なしの「ない」も打ち消しの「ない」も、ひらがなで表記します。

    33. など
    ひらがなで表記します。

    34. なる
    基本的にひらがなです。成し遂げられる意味をもつ場合は「成る」。
    ・そういうことになる
    ・気になる
    ・成り上がる

    35. 一人ひとり
    このように書きます。

    36. ほか
    ひらがなで表記します。
    ・Aのほかに、Bも実施します
    ・そのほか、たくさんあります

    37. ほしい
    手に入れたい意味を含む場合は「欲しい」、語尾に助詞としてつける場合は「ほしい」
    ・このおもちゃが欲しい
    ・これを買ってほしい

    38. ほど
    程度、度合いを意味する場合は「程」、それ以外は「ほど」。
    ・どれ程か気になる
    ・練習するほど上達する
    ・先ほど終わった

    39. また
    接続詞としての使用では、ひらがなで表記します。
    ・AまたはBを選択する
    ・Aです。また、Bのときもあります
    ・また会いましょう

    40. まとめる
    ひらがなで表記します。

    41. みなさん
    ひらがなで表記します。

    42. みる
    物理的に目で見る場合は「見る」です。接尾語として使う場合は「みる」。
    ・昨日、青い海を見た
    ・新しい方法を試してみる

    43. もちろん
    ひらがなで表記します。

    44. もつ
    物理的に手で物を持ち上げるような行為は「持つ」、それ以外は「もつ」。
    ・両手で持ってください
    ・同じ意見をもつ
    ・今回をもって終了する

    45. もっとも
    「最上級」の意味をもつ場合は「最も」、「そうですね」のような同意の意味ももつときは「もっとも」。
    ・最も硬い材料
    ・ごもっともな意見です

    46. もの
    物理的な物体の場合は「物」、それ以外は、「もの」。
    ・軽い物なら持てる
    ・答えられるものは答える
    ・手作りもいいものだ
    ・物事には順番がある
    ・もの珍しい演出

    47. もらう
    「貰う」は使用せず、物をもらう場合も、接尾語として使う場合も、「もらう」を使用します。
    ・たくさんの野菜をもらう
    ・緊急時に助けてもらう

    48. よい
    良い、悪い、で変換できる場合は「良い」、それ以外は「よい」。
    ・良い例をご覧ください
    ・安全装置を設置すればよい

    49. ように
    ひらがなで表記します。「ようす」は「様子」です。
    ・ご説明したように
    ・このような内容

    50. よる
    ~による、というニュアンスです。
    ・状況によって変わる
    ・それは時と場合による




    まとめ

    この基本的な50表記を把握しておくと、かなり書けるようになりますので、ぜひ覚えてみてください。
    ここで挙げた表記は、全ルールのごく一部になります。正しい文章表記で書きたい、という場合には、「記者ハンドブック」を購入し、常に手元に置いておくことをおすすめします。その都度調べて、正しい表記を身につけて、文章を書くことを特技にしてみてはいかがでしょうか。







  • 昇格試験論文の合格を決定づける、少しハイレベルな4つの書き方 例文付きで解説

    昇格試験論文の合格を決定づける、少しハイレベルな4つの書き方 例文付きで解説

    会社での昇進や昇格の論文を書く際の、少しハイレベルな記述で合格を確実にするためのテクニックを、例文を用いてご紹介します。





    読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

    まとめでは新しい要素を書かない

    論文を書くときでも、長い文章や説明資料でも、「背景」や「前書き」に始まり、「詳細内容」を経て、「まとめ」へとつながります。
    その「まとめ」では、それ以前に述べてきたことをまとめます。新しい理論の展開はしません。あくまで「まとめ」ですから、述べたことを簡潔に列挙して、主張を添える程度にします。

    たとえば、「研修でのプレゼンの心得」の説明において、詳細内容のところで、
    1. 最初のつかみが重要
    2. 話し癖を控える
    3. 話すスピードに緩急をつける
    という、講師の振る舞いについて論理展開してきたケースを考えます。
    この場合、「まとめ」の段階では、1~3の内容を簡潔にまとめます。「まとめ」の中では、以下のような要素は盛り込みません
    「発表資料にも訴求力をもたせる」
    「受講者の人数に制限を設ける」
    「グループワークも取り入れる」
    これらの要素が「まとめ」で新たに出てくると、聞いている人は混乱してしまいます。

    このルールを守ると、全体的にまとまりのある流れの論文に整います。




    内容に対して結論を飛躍させない

    資料や論文を書く場合、最終的に主張する結論が、事前に用意されていることが多いです。その結論は、前提や詳細内容がしっかりと支えていなくてはなりません。内容に対して結論が飛躍してはいけない、ということになります。

    「わが社が業界のイノベーター的存在になる」
    というテーマ(結論)に沿って論文を書くケースを考えます。この結論に値する論文の内容で、
    「社員一人ひとりがコストダウンと人材育成を今以上に意識して業務に取り組む」
    ということを長々と書き、
    「このコストダウン体制確立と人材育成風土の浸透により、わが社はイノベーター企業への変身を遂げる」
    という流れになると、まったくつながりません。

    たとえば、「イノベーター的存在になる」という結論に直接結び付るなら、
    ・常に新しい技術を発掘
    ・既存技術の応用
    ・従来にない取り組みの支援
    ・発明賞の強化
    といった、かなりレベルの高い取り組みが前提となります。平社員がこのような取り組みを主導することはほとんどないと考えられます。自分の日常業務の小規模な取り組みに対して結論が飛躍しないように、うまくつなげる必要があります。

    コストダウン活動を進める
    ⇒従来にない部品輸送でコストダウン推進
    ⇒商品の新たな物流モデルを確立
    ⇒他の会社がやっていないことで存在感
    ⇒学会発表や業界誌に投稿
    ⇒業界のイノベーター的存在を目指せる

    多少の飛躍感は残りますが、コストダウン⇒イノベーターにつながりました。自分の取り組み内容を少しずつ結論へとつなげることで飛躍感が緩和されますので、論文テーマになりそうな結論を日頃の業務と結びつける練習をしましょう。




    つなぎの言葉を工夫する

    文章を書く際には、つなぎの言葉を工夫するとスムーズな流れを作ることができます。普通に文を並べただけだと、箇条書きのような響きに聞こえてしまいます。
    「しかし」「または」くらいは、誰でも知っていますが、これだけでは昇格試験での論述を高度に展開していくには不十分です。

    この項目では、つなぎの単語や表現で便利なものをいくつかご紹介します。以下の表現以外にもたくさんありますが、この程度の表現の使いこなしで、昇格試験論文は十分に書けます。

    重ねる

    また
    そのうえ
    さらに
    しかも
    重ねていうと


    三案すべて実行した。さらに、第四案も考案した。

    説明する

    つまり
    すなわち
    要するに
    詳しく解説すると


    各担当者に細かく業務を割り振った。すなわち、各々がミッションをもって推進することになった。

    例を挙げる

    たとえば
    例を挙げると


    プレゼンには、さまざまな留意点がある。たとえば、結論を最初に話す、聴き手を惹き付ける、などである。

    例える

    例えていうと
    例えるなら


    設計業務をこなして経験値を積んでスキルアップした。例えていうと、スポーツのように実際に手足を動かして上達したようなものだ。

    補足する

    ちなみに
    補足すると
    加えていうと


    すべて部門の創意工夫のみで達成した。ちなみにこれだけの短期間で実現したのも初めてのことだった。

    比べる

    これに対して
    一方
    これと比較して~は


    国内生産での標準書は確立した。一方、海外拠点での運用は検討中であり、年度末までに完結させる予定である。

    条件だしする

    もし~なら
    仮に~だとすると


    仮にこの解決策が採用となれば、ランニングコストの増加は免れない。

    別の選択肢を挙げる

    または
    あるいは
    もしくは
    これとは別で


    これら三案の運用で各々検討を進めるか、あるいは、コスト面だけで一案に絞ってから進める。

    逆転させる

    しかし
    しかしながら
    それに反し
    ところが
    これとは逆に


    最終的には第三案に決まった。しかしながら、品質面での懸念が残るため、引き続き検討を行う。

    歩み寄る

    もちろん
    たしかに
    とはいっても


    商品のリリース日程には納得がいかない。たしかに品質とコストは素晴らしいが、やや開発期間が長いと感じる。

    別テーマに移す

    ところで
    さて
    それでは
    本題に移すと


    開催場所の調整が順調なことが確認できた。ところで、人員確保のほうが問題ないかというと、こちらはやや懸念が残っている状況だ。

    理由付けする

    なぜなら
    その理由は
    そのために
    なぜかというと


    新しいプロジェクトは、日程遅延が濃厚です。その理由は、致命的な品質問題が解決できないためです。

    結論付ける

    したがって
    結果として
    結論からいうと


    新しいサービスが施行されました。したがって、従来サービスは全点撤収となります。




    サラリーマン必携! 記者ハンドブックを活用して「書く」スキルアップ

    繰り返しを避ける

    昇格論文試験では、当然のことながら長文になります。単語、表現、内容共に繰り返しにならないような書き方をすることで、読み手を飽きさせずに、読み進めてもらうことができます。

    単語や表現、文章、それぞれの繰り返し回避について解説します。

    単語や表現の繰り返しを避ける

    「です」「ます」「となっています」「と考えられます」など、たくさんの結びの表現がありますが、なるべく連続させないほうがよいでしょう。
    また、同じ単語も連続させないほうがすっきりと読めます。

    良くない例
    その取り組みが中断することになりそうでした。十分な人員確保をできないことが原因でした。中断させないために、現状のリソースでの効率アップが必要でした。効率アップの結果、中断しないで取り組みを続行できました。

    「でした」が連続していて、項目の列挙のように見えます。「中断」「効率アップ」も何度も使われています。繰り返し表現を避けて、文がきれいに流れるように工夫します。

    良い例1
    その取り組みが中断することになりそうだった。十分な人員確保をできなかったためである。現状のリソースでの効率アップが必要、ということになり、検討を重ねた結果、取り組みの続行が実現した。

    良い例2
    十分な人員確保をできないことが原因で、その取り組みの中断が懸念された。しかし、その対策として現リソースでの効率アップを図ることにより、続行できる結果となった。

    例1、2、いずれも文末の表現を変えることで、項目の列挙の感じがなくなりました。単語の繰り返しもなくしましたが、十分意味の通る内容になっています。単純に表現を変えるだけでなく、言葉を削ることで、2文を1文にする工夫も必要です。

    「Aということになった。理由はBだからであった。」
    という文章を、
    「Bのために、Aとなった。」
    と書き換えるだけで、スッキリします。

    コンパクトに文章をまとめる練習をしてみてください。

    同じ文章の繰り返しを避ける

    同じ意味をなす文章の繰り返しが多いと、全体的に冗長になり、中身が薄くなってしまいます。同じ意味をなす文章とは、簡単に書くと、以下のようなものです。

    緑は私の好きな色です。
    私の好きな色が緑です。
    つまり、私は緑が好きです。

    書き方はそれぞれ異なりますが、意味することは同じです。このような現象は、文の筆記の調子が乗ってきたり、強いアピールポイントを書いたりするときに発生しやすいので、注意が必要です。

    ひとつ例を挙げます。

    良くない例
    本商品の前のバージョンでは、その形状での製造が困難であることが、製造段階で分かった。形状が実現困難だと判明したのが、製造段階だったということである。そのため、今回は商品企画の段階で、その商品の製造や運用が可能かどうか、関係部門で協議を行った。商品の製造可否と運用可能性の協議を、企画段階で行ったのである。

    ダメ押しのように文が重ねられている、という感じです。単純に2つ目の文をそれぞれ削除すればOKです。

    良い例
    本商品の前のバージョンでは、その形状での製造が困難であることが、製造段階で分かった。そのため、今回は商品企画の段階で、その商品の製造や運用が可能かどうか、関係部門で協議を行った。

    自分で書きながら、同じ内容の繰り返しになっていないか、1文1文確認しながら書き進めることをおすすめします。




    まとめ

    この記事では、
    ・まとめでは新しいことを書かない
    ・結論を飛躍させない
    ・つなぎの言葉を工夫する
    ・繰り返しを避ける
    の4つをご紹介しました。
    これらを論文に取り入れて書くことで、合格が確実なものへと近づきます。ぜひ、読み手を意識して練習してみてください。







  • 品質保証、検査業務の昇格試験論文の記述例、上手に書くコツを解説

    品質保証、検査業務の昇格試験論文の記述例、上手に書くコツを解説

    本記事では、品質保証や検査、評価、テスティングなどの職種の人が書く論文を解説します。論文例もあります。
    品質系の仕事でも、技術系も営業も、取り上げる観点は同じですが、解説を品質系寄りにしています。




    論文の視点

    会社の昇格試験の論文では、企画、総務、開発、そして、品質保証、書く視点は同じです。
    もちろん職種が異なるため、扱う題材は品質保証系の業務の特有なものになります。しかし、その視点には、
    ・生産性の向上
    ・人材育成
    ・組織風土の活性化
    ・会社の発展に向けた取り組み

    といった、会社が社員に求める定番の切り口が必要です。最終的にはどの職種も同じ視点の論文に仕上がります。
    しかし、論文の質問文にない要素を書きすぎると、採点者に、「この人は用意した文を書いているだけだ」と見抜かれて減点対象になってしまいます。たとえば、質問文では、「後輩の育成」について問われているのに、「業務の効率化」や「品質向上」が目立つような文になるのは良くない、ということです。「結果として業務の効率化も一緒にくっついてきた」くらいの記述にとどめます。




    何を書くべきか

    普段の取り組みの中で、スケールの大きい生産性向上や、課やチーム全体を動かしたような取り組みがあれば、そのネタを扱います。論文の題材として、
    ・書けそうな業務
    ・工夫が必要そうな業務
    をそれぞれ列挙してみます。

    ■書けそうな業務(レベルの高い業務)
    ・数人の評価スタッフをまとめた
    ・開発、技術、生産部門と協業した
    ・評価規格適正化の取り組みをした
    ・問題の再発防止取り組みをした
    ・海外拠点品質部門の作業標準を作成した

    ■工夫が必要そうな業務(ルーチンワーク寄り)
    ・製品の根本的問題を発見した
    ・日程通りに評価メニューを完遂した
    ・やりにくい評価作業を改善した
    ・評価データまとめを効率化した
    ・評価サンプル置き場を整理した

    検査、評価系の業務はルーチン化していることが多く、なかなか目にとまるような活躍をすることは難しいのが現実です。「かなり書けそう」な例は、その前提に、業務を改善して生産性を向上する、スタッフをまとめてリーダーシップをとる、などがあります。論文のテーマにうまくはめ込みやすいです。
    しかし、「工夫が必要」な例では、論文の題材として利用するには小粒感があります。
    多少内容を大きく見せるテクニックが必要になります。

    論文を書く上で気を付けたいことがあります。どんなに優れた取り組みであっても、それに至った経緯やプロセスや、自分がどのような切り口に視点を置いていたか、をテーマに沿って明確にする必要があります。
    すなわち、小粒な取り組みであっても、背景や視点が明確で、部門や会社の発展につながるように書けばよい、ということです。

    例を挙げます。
    論文のテーマで、
    「自ら行動して成果を上げた取り組みを説明しなさい」
    と出題された場合に、先程の業務例を当てはめてみます。

    ■かなり書けそうな例
    ・数人の評価スタッフをまとめた
    ⇒自らすべてをやるのではなく、メンバーの適性を見てうまく担当を割り振り、定期的に個別進捗管理を行った。チームとしてひとつの目標に軸を合わせた。

    ・開発、技術、生産部門と協業した
    ⇒検討品評価の視点を自ら事前に開発設計チームに自らインプットし、検証漏れや評価やり直しによる商品リリース日程遅延が発生しないように進めた。

    ・評価規格適正化の取り組みをした
    ⇒明らかに性能に問題がないのに、評価規格に沿うとNGになる。規格がオーバースペックだと判断し、自ら提言して他部門を巻き込み規格の改訂に動いた。

    ・問題の再発防止取り組みをした
    ⇒検査で不具合が多発し、前モデルでの失敗が生かされていない。自ら不具合リストを作り、開発設計、製作部門と共有し、再発防止案の提出を依頼した。

    ・海外拠点品質部門の作業標準を改善した
    ⇒ある検査を日本で実施するとNG、海外拠点で実施すると合格する。手法に不備があると見極め、自らの提案で、現地評価担当部門と作業手順書改訂を行った。

    普段、ルーチンワークをメインとして仕事をしていると、会社の利益や部門全体を動かすような実績を上げることは難しいのが現実です。
    とはいえ、行き当たりばったりの処置を書いても評価されません。日頃から会社の利益や人材育成など会社の発展を意識した行動の結果として実績が上がったことを書きます。小さな実績でも構いません。職位が低ければ、数多くの部門を巻き込んだ活躍は難しいです。しかし、目的と結果の整合性があれば、いずれ職位が上がったときに、そのパフォーマンスのスケールも上がる、と論文の採点者は見抜きます。
    したがって、次のような視点を盛り込めると、上昇志向の高さをアピールできます。

    ・効率化提案で評価チーム全体の作業時間短縮
    ・工夫したやり方を他メンバーに標準展開
    ・問題の処置ではなく、根本解決の仕組み提案
    ・自分の働き掛けで周りに影響を与える

    ルーチンワークでの小さな実績を、うまく書いてみます。

    ■工夫が必要な例
    ・製品の根本的問題を発見した
    ⇒いつも不具合の処置が主だったが、品質向上と工数削減を目指していたため、問題多発の根本的原因を発見し、自ら部門を通して上流設計にインプットした。

    ・日程通りに評価メニューを完遂した
    ⇒不具合やメンバー休暇による評価日程遅延が常態化していた。自ら要員調整とメニュー再検討をリーダーに提案し、日程短縮して期限までに評価を完了した。

    ・やりにくい評価作業を改善した
    ⇒評価完了がいつも日程ギリギリなので、日頃から効率化が必要と考えていた。最も時間のかかる作業を自らリーダーに提案し、評価工程短縮を実現した。

    ・評価データまとめを効率化した
    ⇒評価データまとめのスピードが担当者によってバラバラなので、自ら手法を効率化し、手順を確立して他メンバー誰がやっても同じ工数になるよう改善した。

    ・評価サンプル置き場を整理した
    ⇒置き場がいつも満杯で、新規検討品置き場の確保にみんな時間を要していた。区画整理、管理の仕組みを自ら提案して作り、全体の作業時間短縮を実現した。

    ルーチンワークの些細な業務でも、目的意識を明確にする書き方により、論文の記述に使えそうな切り口になりました。このような書き方で、出題に対して要約メモを書きます。

    論文テーマは、
    「会社が発展するためには、社員一人ひとりが指示待ちではなく自ら行動することが求められます。
    自ら行動して成果を上げた取り組みを説明しなさい。」
    です。

    要約メモ

    前書きにも必ず触れます。前書きの中に「発展」というキーワードがありますから、取り上げる項目には、常に「会社の発展」を目的としている書き方をします。
    要約メモを書くための項目を確認します。

    ■前書き
     ・自らの行動の必要性
     ・自ら行動して会社が発展する
    ■自分の仕事
    ■自らの取り組み
     ・事例1
     ・事例2
    ■まとめ
     ・内容のまとめ
     ・自分の今後の目標

    このような流れで要約メモを書きます。

    ■前書き
    ・自ら行動する必要性
    指示待ちでは、現場で発生する問題の解決や、より良い手法での作業改善が出来ない。自らが考えて新しいアイデアを提案して行動することで、新しい成果を創出。
    ・自ら行動して会社が発展する
    会社が発展するためには、新しい事業や取り組みが必要。その事業や取り組みを推進するには、社員教育だけでは足りず、自らが率先して学ぶ必要あり。普段の業務や問題解決の中で、新しい課題が生まれ、担当者レベルで率先して行うことで、事業の推進を維持、向上できる。
    ■自分の仕事
    輸送機器用ユニットの製品開発段階での性能評価
    ■自らの取り組み
    普段から、会社の発展の下支えになるよう、製品評価の最適なプロセスを提案しながら、業務に当たっている。
    ・事例1 不具合再発防止の取り組み
    前モデルでの問題解決が生かされていない。評価、判断の工数が多い。再発防止取り組みを自ら提案。上司、設計開発、プロジェクトリーダー。徹底フォロー、刈り取り。
    結果、問題指摘件数、2割減。作業工数は3割減。
    インプットだけでなく、依頼先部門の動きを自ら促進がよかった。

    ・事例2 評価データまとめの効率化
    溜まった計測データの処理、まとめ時間が長い。担当者間のスピード差もある。日頃の心配。誰がやっても同じまとめ方法を自ら提案し、各メンバーへの統一手法遂行の働き掛け。周りへ影響を与える。スタッフ全員が新しい手法を習得。育成にもつながる。
    データ処理手法の効率化、確立、標準化。評価日程策定の安定化。

    品質評価業務の安定化⇒商品リリース日程の厳守⇒会社の収益体質安定化(機会損失の防止)⇒安定した発展につながる

    ■まとめ
    ・内容のまとめ
    指示待ちでは、問題解決や新しいアイデア創出は難しい。一人ひとりが積極的に、自ら行動を起こすことで、新たな手法、新たな業務展開、新たな事業へとつながる。
    会社が発展する新たな事業を後押しするためにも、自発的に発想、提案して支える。
    ・自分の今後の目標
    今は担当者レベルだが、自らの積極的な行動でメンバーにたくさん影響を与えたい。指示待ちではなく、自分で考えて行動、提案する姿勢を見せる。メンバーをまとめていきたい。目の前の業務処理だけでなく、会社の利益、発展を念頭において自ら行動したい。

    ■ポイント
    ・品質保証の細かい業務は書かない
    ・取り組みの視点が重要
    ・会社や部門の発展を念頭に置いた姿勢を強調
    ・部門のメンバーや他部門を巻き込んで影響を与える
    ・会社の発展、自ら行動、をまず前提に述べる




    論文例

    (論文ここから)

    会社の業務では、自ら行動する必要がある。
    自ら考えて行動することで、
    ・現場で発生する問題の解決
    ・より良い手法での作業改善
    ・アイデアを創出して新しい成果を出す
    といったことが実現できる。自らの行動とは反対に指示待ちでは、解決や進展は難しい。

    会社が発展するためには、社員一人ひとりが自ら考えて行動しなくてはならない。会社の発展、つまり新しい価値の創造や利益の向上には、新しい事業や取り組みが必要であるが、その事業や取り組みを推進するには、社員教育だけでは足りない。社員自らが新しいことを率先して学び、これまで以上にスキルを上げないと、部門として実務を遂行することは難しく、新しい価値にも軸が合っていかない。普段の業務や問題解決の中で、新しい課題が生まれ、担当者レベルで率先して行うことで、事業の推進を維持、向上できる。
    また、多くの社員の率先した取り組みが付加価値を生み、新たなビジネスや事業に展開される可能性も出てくる。
    このように、会社の経営層発意での新たな取り組み、社員からのボトムアップによる事業展開の、いずれのケースにおいても、社員一人ひとりが自ら行動して業務に取り組むことが必要である。

    私の仕事は、輸送機器用ユニットの製品開発段階での性能評価がメインである。日頃から、安定した商品リリースによる、会社の発展の下支えになるよう、製品評価の最適なプロセスを提案しながら、業務に当たっている。
    本業務において自ら行動して成果を上げた取り組み事例について、ふたつ説明する。

    ■事例1 不具合再発防止の取り組み
    製品性能評価では、前バージョンのモデルでの問題解決が生かされておらず、同様の不具合や、類似不具合の発生が続いていた。これにより、評価期間や、判定までの関連部門との協議が長期化し、妥協策の適用や、対策見送りといった事態が常態化していた。品質評価が後手にまわることにより、商品リリースの日程も遅延し、会社の利益確保への機会損失を招き、会社の発展を阻害する要因となり、課題となっていた。
    品質、リリース日程共に、品質部門として改善する必要があり、不具合再発防止取り組みを自ら提案した。上司、設計開発、プロジェクトリーダーなど、キーパーソンとキーセクションを巻き込み、自らかじ取りを行い、取り組みを推進した。再発防止具体策を講じる実行部隊には、定期的に進捗フォローを徹底し、確実な成果の刈り取りに心がけた。また、自らも品質部門の立場でアイデア出しや施策の提案を行った。
    結論として、今期の新製品プロジェクトでは、類似問題はゼロには出来なかったものの、同様不具合はゼロ、トータル不具合報告数は、前モデル比で2割減となり、評価工数はおよそ3割減の結果となった。
    今回、関係者や部門への取り組みインプットだけでなく、依頼先部門の動きを自らフォローし、活動を促進したことが、良好な結果をもたらしたと考える。

    ■事例2 評価データまとめの効率化
    評価作業を終えた後のまとめ業務は、データ量が多く、数日の期間を要していた。また、担当者によって処理スピードにも大きな差があった。データまとめの期間については特に問題視されていなかったが、この数日を短縮できれば、開発設計部門への早急なフィードバックが可能となる。商品リリースの早期化または品質部門としての高付加価値ミッションを追加できる。
    これに対して業務効率化を提案した。作業期間を短縮し、かつ誰がやっても同じまとめ方法になるような手法を導入した。ひとりでは困難であったため、主力スタッフに協力を仰ぎ、共に作業の効率化と標準化を確立した。新手法での作業手順は、自らスタッフ全員に説明し、従来の作業工数を半分まで短縮することができた。新しい手法での業務も定着し、スタッフ全員のスキル向上にもつながった。
    結果として、商品のリリース日程短縮とはいかなかったが、余剰時間を、他プロジェクトへの応援やスキルアップ勉強会へ充当することができ、部門としての業務品質が改善された。評価日程の策定もしやすくなり、日程のリカバリーが少なくなった。
    日常業務の課題を日頃から客観的に観察し、自ら改善提案をすることで今回の業務品質向上へとつながる結果となった。

    品質評価業務を安定化させることは、商品リリース日程の厳守を確たるものとし、会社の収益体質を安定化させる。そして発展へと導かれる。

    組織のなかで仕事をする上で、指示待ちでは問題解決や新しいアイデアを生み出すことが難しい。一人ひとりが積極的に、自ら行動を起こすことで、新たな手法、業務展開が生まれ、新たな事業へとつながる。会社が発展する新たな事業を後押しするためにも、自発的に発想、提案して、自らが成長しなくてはならない。
    今は私は担当者レベルだが、自らの積極的な行動でメンバーや、関係部門にたくさん影響を与えたい。指示待ちではなく、自分で考えて行動し、提案する姿勢を見せ、メンバーをまとめていきたい。目の前の業務処理だけでなく、会社の利益、発展を念頭において自ら行動したい。

    (論文ここまで)
    いかがでしたでしょうか。
    ふたつの事例は、
    事例1 レベル高めの業務
    事例2 ルーチン業務
    でした。

    何度も練習して、合格を勝ち取ってください。







  • 文章を上手に書くための6つの基本、例文で解説

    文章を上手に書くための6つの基本、例文で解説

    論文が苦手、文章を書くことそのものが苦手、という人のために、上手に文章を書くための基本的な手法を6つご紹介します。

    この基本編を理解して実践できれば、会社の昇格試験の論文くらいは書ける、という内容にまとめています。

    昇格試験論文の合格を決定づける、少しハイレベルな4つの書き方 例文付きで解説

    読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

    文章を書くとき、最も大切なことは、何を伝えたいかを明確にすることです。
    この明確に伝える、という目的を果たすために、分かりやすく書いたり、気持ちよく読めるように書いたりします。




    読む人に合わせた書き方をする

    自分の日記であれば好きなように書いて問題ありません。誰かに向けて書く場合には、その相手に合った書き方をします。


    ■友人、家族、後輩
     ⇒丁寧語またはタメ語
    「先日買った発電機の使い方を教えます」
    同レベルの人向けの書き方です。

    ■上司、お客様
     ⇒尊敬語、謙譲語、丁寧語
    「先日ご購入された発電機の使用方法をご説明します」
    目上向けの書き方です。不特定多数の人たちに発するときも、同じ書き方になります。

    ■小さな子供たち
     ⇒タメ語または丁寧語
    「このあいだ買った、キカイの使い方を、おしえます」
    年齢にもよりますが、分かりやすく書きます。

    読み手が心地よく読めるような言葉使いにしないと、途中で読むのをやめられてしまいます。

    会社の昇進試験の論文や、ビジネス資料では、もちろん目上の人向けの書き方になります。場合によっては、「です、ます」調ではなく、「だ、である」調やキーワードやフレーズで表現し、文章にしないこともあります。




    結論を最初に書く

    結論は、最初に書きます。とはいえ、最後にはまとめを書くので、まったく同じことを最初と最後に書くわけにはいきません。概要に触れる程度で書きます。
    課員にメールで連絡する、という状況での例です。

    「新しいセキュリティソフトのインストール方法を、以下に記載します。期日までにインストールしないと、ウイルス感染を引き起こす恐れがあります。余裕を持って期日までに早めにインストールを行ってください。
    (詳細な説明内容)
    以上、正しい手順をご確認のうえ、必ず期日までに終了するようお願い致します。」

    詳細な説明に入る前に、「早めにインストールしてほしい」「しないとどうなるか」を簡潔に書くことで、伝えたい内容が明確になります。読み手は何に注意して読めばよいか分かります。
    結論は「必ず期日までに終了」ということで締めます。
    1 最初に結論(概要)
    2 詳細内容
    3 最終結論
    の順番で書くことにより、メール、ビジネス資料、手紙、論文、どれも自然でスムーズな流れになります。




    表現方法を統一する

    文章を書くときには、すべての文を、
    同じ言葉使い
    同じ方向性

    で書きます。
    たとえば、目上の人に書く場合、「です」「ます」や「致します」「いただく」などの、丁寧語や謙譲語、また「なさる」「される」のような尊敬語で一貫して書きます。

    ■良くない例
    「今度、新しいアイデアについてご説明させていただきたいです。以下の日にちが私の提案する候補日である。都合の良い日に○をつけて返信してください。」

    「いただきたいです」と、謙譲語で書いていますが、次に来る文が「である」調になっています。淡々と事実を述べたり、論文を書いたりするときには「である」調でも問題ありません。しかし、目上の人へのメールや手紙、大人数への一斉配信のときは、ふさわしくありません。自分の意見や気持ちが入った文で「である」調にすると、偉そうで生意気な印象になるため、注意が必要です。

    「返信してください」は、命令形です。「返信しろ」は論外ですが、「してください」は丁寧な命令と考えるとよいです。英語でいえば、「Please do it!」です。

    ■良い例
    「今度、新しいアイデアについてご説明させていただきたいです。以下の日にちが私の提案する候補日です。都合の良い日に○をつけてご返信いただけますでしょうか。」

    言葉使いを統一すると安定感が生まれ、読み手に対する訴求力が高まります。文章を書きながら、そして書き終わった後も、ぜひ確認してみてください。




    文章はなるべく短く書く

    文章を書くことに少しずつ慣れてくると、長文になりってしまうことがあります。文が長くなると、読んでいて理解し難くなります。文が長いと感じたら、ある程度の意味をなすところで、一度文を切ります。

    ■良くない例
    「当部門ではこれまで多くのサービスを展開してきたこともあり、さまざまな問題解決の経験から蓄積されたたくさんの顧客対応のノウハウを生かした新サービスを企画しているため、今年度中には、課、部をはじめ、経営層やクライアントへの発表の場を設けることが可能かどうかの判断を、今月中に部長に報告したいと考えています。」

    ひとつの文の中で、たくさんのストーリーが展開しているかのようです。もはや何を言っているのか分かりません。だらだらと長い文は支離滅裂になっていることもあるため、単純に区切ってもつながらないときがあります。文章校正もしながら、意味をなすところまでで文を区切っていきます。

    ■良い例
    「当部門ではこれまで多くのサービスを展開してきました。これまでのさまざまな問題解決により、顧客対応のノウハウがたくさんあります。
    これらのノウハウを生かした新サービスのプレス発表を、今年度中に行う計画です。これに先駆けて、経営層への報告を行いたいため、今月中に企画の詳細についてご報告させていただけますか。」

    まだ長い感じもしますが、だいぶ読みやすくなりました。

    「~しながら」「~をしつつ」「~ということもあるので」などの副詞的な表現を使うと文が長くなりますので、注意してご使用ください。わざわざ書かなくても伝わる場合には、なるべくややこしい表現を使わずにシンプルに仕上げて下さい。たとえば、

    「昨日は業務が忙しい中にもかかわらず、本件のために貴重な時間を割いて頂き、ありがとうございました。」
    ⇒昨日はご多忙の中、ありがとうございました。

    といった具合いに、「にもかかわらず」を、使わなくても表現できます。

    シンプルな文は理解しやすいため、読み続けてもらうことができます。難しい言い回しがカッコいい、ということは決してありません。肝心なことは、伝えることです。

    表現を文章で行う必要があるかどうかの判断も必要です。発表資料であれば、キーワードだけを大きく表示することでも伝わり安くなります。




    話し言葉にしない

    文章には、口語(話し言葉)を使うことはおすすめできません。用途に応じて全体で話し言葉で一貫させることはありますが、会社でのメールやビジネス資料で口語を使うことはほとんどありません。

    文に話し言葉が混じると、事実を述べているのか、語りかけているのか、などコンセプトが見えません。また明らかに校正してないことが分かってしまい、信頼性の低い文章になってしまいます。

    いくつか例を挙げますと、
    なので、やってた、かなりの、なくはない、ありがち、ずいぶん、思います
    などです。

    「なので」は、特に文頭に持ってくると文法的にも間違いです。
    「かなり」は会話の中では問題ありませんが、文章で書くときには、定量的に書くことが望ましいです。
    「思います」は、手紙で書くぶんには問題ありません。

    ■良くない例
    「この新しいやつ、ちょくちょくダメになるって聞いてたんで、早めに対応しといたほうがいいって感じですね。」

    しゃべったことがそのまま文に起こされたような書き方です。だいぶ極端な例ですが、この口語の書き方を文語で2パターン書きます。

    ■良い例
    「この新製品は頻繁に不具合を起こす、と聞いています。早期の対応が必要と考えます。」
    少し緩く書くなら、
    「この新しい製品ですが、問題がいくつかあるようですので、早急に対応したほうがいいと思います。」

    長文や、複数ページに渡る資料を作っていると、話し言葉のような表現が入りがちです。話し言葉にならないよう注意しましょう。




    タイトルと内容を一致させる

    チャットやショートメールでやりとりをする場合、タイトルはつけられませんが、メールやビジネス資料などでは、タイトルを付けることになります。

    その内容(文章)にふさわしいタイトルを付けます。先ほどの目上の人に新しいアイデアを聞いてもらう件であれば、そのタイトルには、
    「新アイデアを説明します」
    「ご都合の良い日を教えてください」
    「【返信希望】新アイデア説明会」
    など、どのようなことが書かれているか即座に分かるように付けるといいでしょう。

    あまりおすすめしないタイトルは、
    「新アイデア」
    「説明会の候補日」
    「返信ください」
    なとです。メールを読まないと内容が分かりません。タイトル付けがテキトーな感じに受け止められ、せっかく内容が優れていても、残念な印象になります。
    最終的に書き終わった文面を見て、改めてタイトルが適切に命名されているか、確認しましょう。

    タイトルを付ける、ということは、文章を書くこととは違うのではないか? と考える人もいるでしょう。確かにそうかもしれませんが、これは大切なことです。どんなタイトルを付けても内容と合致しない場合、内容に複数のテーマが混在していたり、方向性や結論にぶれがある可能性に気づくことができます。タイトルと内容が合致していれば、テーマに沿った流れができている、という確認にもなります。

    まとめ

    以上の5つを意識して書けば、会社のメールやビジネス資料、昇格試験の論文など大抵の文章を自然に書けるようになります。短い文から少しずつ長文に展開していけるように、たくさん書いて、これらの基本法則が徹底されているか確認してみてください。

    文章を上手に書くには、もちろんこれら5つだけで足りるわけではありません。応用的な記事も今後追加していきます。