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会社の昇進試験では、たいてい論文試験があります。また、入社に際しての採用試験で論文試験を課す会社もあります。論述のスキルは、会社員にとって今後も求められます。
この記事では、実際の例題に沿って論文を書く流れや、論文試験に合格するための書き方について解説します。




会社が社員の論文に求めること

会社によって、求める論文の書き方の文化に多少の違いはあります。しかし、論文の流れ、仕事をしていく上でとらえていて欲しいことや書いてほしいことは、会社によらずだいたい決まっています。

論文の流れ

論文を書く上で、「起承転結」「序論・本論・結論」などの考え方があります。それぞれを簡潔に表すと、

「起承転結」は、
問題、議題を起こし、興味を惹きつけ、それを承けて内容を展開、一度異なる視点に転じて、最後は結ぶ、という流れです。

「序論・本論・結論」は、
序論:主題や問題提起を述べ、読み手を引き込む
本論:問題への見解、論理的に展開する
結論:全体の締めくくり、最終主張

となります。どちらの手法で書いても差し支えありません。

たとえば、論文のお題で「現在AAという状況にあるが、BBについてどう考えますか」という問いかけだった場合、

AAの見解を簡単に記述する(序論

BBについて問題を提起する(序論

BBの見解をいくつか挙げる(本論

ひとつずつ詳細を記述する(承、転本論

最終的な主張で締めくくる(結論

ポイントは、AAに相当する前提条件のところにも触れることです。あまり長くは述べずに、軽く触れる程度が理想です。そうすれば、「起承転結」「序論・本論・結論」にうまく乗ってきます。

ちなみに「序論・本論・結論」の比率は、
序論 20%
本論 70%
結論 10%
くらいがちょうどいい、といわれています。

盛り込む内容

盛り込む内容は、その論文試験のステータスや以下のレベルで若干異なります。

  • 入社、採用
  • 契約社員から正社員登用
  • 平社員から課長

下の項目ほど、とらえる内容にはより高いレベルが求められます。しかし、どの論文試験にもキーワードとして盛り込むと印象が良い要素があります。それは、以下の含みをもたせた要素です。

  • 生産性の向上
  • 人材の育成
  • 組織を強くする

会社とは、人材を教育、育成して、組織の機能を活性化させることにより、生産性を向上させてより多くの利益を追求することへ常に向かっています。会社はこのような観点をもった人材を求めているのです。ひとつずつ例を挙げます。




生産性の向上
  • 作業時間や人数を変えずに製品のコストを下げる
  • 成果の質を下げずに担当者の人数を削減する
  • ひとつの作業をこなす時間を短縮させる
  • 同じ物を半分の作業スペースで作る

利益アップにつながる

人材の育成
  • 後輩に業務の教育
  • 部下に研修を勧める
  • リーダーや企画を任せる
  • 課の全員で勉強会
  • 研修システムを構築

社員のレベルアップにつながる

組織を強くする
  • 全員が高い意識で目標に向かう
  • 社員同士の信頼関係を強くする
  • みんなが自由に発言できる環境をつくる
  • お互い支援し合い高い成果を出す

組織の活性化につながる

論文内に程よく書く

生産性向上や人材育成など、訴求力のある要素を論文の中にところどころ含ませることで、会社員としての意識の高さを読み取ってもらうことができます。
しかし注意することがあります。お題にない要素はあまり長々とは書かないことです。本筋から離れてしまい「題意にそぐわない内容」として減点の対象になります。題意に的確に記述することが重要です。

もし論文に書く材料(ネタ)が思い当たらなかったら、以下の記事で日常業務にある論文ネタのヒントをご参照ください。
昇格試験の論文を書くネタ、知っておくと使える22の記述材料

文章を上手に書くための参考。
文章を上手に書くための6つの基本、例文で解説

昇格試験論文の合格を決定づける、少しハイレベルな4つの書き方 例文付きで解説

では実際にテーマを設定して、論文を書いてみましょう。




実際の論文例で解説

このページでは、文系職種である営業系職種を想定した論文例を記述します。理系職種、品質保証系の論文を参照したい方は、以下をご覧ください。ただし、文系職種も理系職種も論文を記述する観点は同じですので、すべての論文例を読んで、論文を書く視点を習得することをおすすめします。

理系の社員向け、昇格試験の論文例

品質保証、検査業務の昇格試験論文の記述例

論文をいきなり書き始めるより、要約メモを最初に作成したほうが、よりスムーズに書くことができます。
参考したい方は、以下ページをご覧ください。

昇格試験の論文をスムーズに書くコツ

文系職種向け論文例ここから


問題文
「仕事をする上で問題解決は欠かせません。これまで仕事で経験した問題と解決策を述べ、その経験を今後の業務にどのように生かしますか。」
(論文ここから)

仕事には、問題の発生や慢性的な課題がつきもので、問題や課題を解決しないと先に進まず、スタッフの成長も促進されません。自らの力で、ときには周りの人を巻き込んで問題を解決することは、仕事をする上で不可欠なプロセスといえます。

現在、営業アシスタントとして営業主任のスケジュール管理と顧客要望のサマリー作成、主任が商談で使用する資料の作成業務に従事してきた。これらの業務の中で2つのことが問題となっていた。
1.営業主任の商談がスケジュール通りに遂行されていない
2.(必要であれば2つめの問題を書く)

私は、これらの問題を通して原因を調査し、対策を講じた。

1.営業主任の商談がスケジュール通りに遂行されていないことへの対策
スケジュール通りに遂行されていない原因をまとめた結果、
原因1 一日のスケジュールを過密に設定していた
原因2 訪問先での打ち合せ時間が延長する傾向がある
の2点が主要因であることが分かった。

■原因1への対策
過密スケジュールについては、従来、移動時間や多少の余裕などを考慮した計画を作っていたが、さらに打ち合わせが長引くことを想定して、より余裕をもった計画を作るようにした。主任からこれまでの遅延時間の聴き取りを行い、打ち合わせが長引いても次の訪問先への遅刻や再調整が発生しないような計画を策定し、まずは早急な対策とした。

原因1の対策をしたものの、商談を消化する効率が悪くなり、根本的な解決策ではないため、そもそも打ち合わせが長引かないような対策を施すことが本質的な対応である。以下にその対策を述べる。

■原因2への対策
打ち合わせが長引く理由は、打ち合わせ先で、事前準備以上の内容に及ぶことが多いためである。資料の持参が間に合わないため口頭での説明になり、結果として長引く、ということであった。事前の資料準備は私の担当だが、あらゆるケースを予想しての紙出力は、無駄が発生することも多く手荷物も増えるため、新たな手段として「携帯用タブレット端末の導入」を提案した。ノートPCでは、操作性や持ち運びなどの問題で、商談には向いていないのに対して、タブレットは持ち運びやプレゼン用途としても最適である。しかし、セキュリティ上の問題もあり、以下の提案を追加で行った。
・先月発売された大手ソフトメーカー製のセキュリティレベルの高いソフトの使用
・タブレット導入で見込める商談遂行の効率化による部門利益アップの概算
タブレット端末を導入することによる業務効率アップも見込める。課内の営業スタッフ、アシスタント全員を招集して協議を行い、それぞれ、セキュリティソフトの調査、営業スタッフの現状や意見のまとめ、提案資料作成など分担してもらい、関係者に対して自ら発表した。最終的に事業部からタブレット端末の導入が承認された。この取り組みの結果、資料の紙出力は最小限にまで削減され、営業アシスタントの業務は効率化し、主任のみならず営業スタッフ全員の商談の遂行効率が3割向上した。

今回業務効率化されたことだけでなく、一人ひとりが通常業務の枠を越えた取り組みにより成長し、課の提案力も向上し、また課員一致団結してひとつの目標に向かって良い結果を導いた。課としての組織の活性化にもつながった。そこに自分が中心がになって動いたことは、とても良い経験であった。

2.(必要であれば、2つめの課題と解決策を書く)

上記の問題解決は、即座の対処と本質に迫る施策の両方に対応できた事例である。結果として、部門の業務効率アップにより会社の利益を上げるという生産性向上、また課という1つの組織をまとめて団結力を強化することにつながり、大きな成果となった。今回の経験を、今後の業務に向けて以下のように生かそうと考えている。

  • 問題に対して、まず暫定対策を早急に行う
  • 問題の根本と取り巻く状況を鑑み、本質的な恒久対策を短期間で行う
  • 自分の業務の効率化に加えて、部門全体の業務効率化と利益を考え、最適な解を探す
  • 新しい取り組みを行うことで、一人ひとりが成長できるような環境を作る

これからも早急なる問題解決を行い、会社の利益を常に念頭において、現状の環境だけにとらわれず、自分の知識とアイデアを十分に活用して業務を遂行したいと考える。

(論文、終了)

以下、まとめです。




まとめ

一例でしたが、いかがでしょうか。流れは、起承転結や序論・本論・結論を意識しながら以下の順に書きます。

  • 問題を挙げる
  • まず問題を火消しための暫定対策を講じる
  • 本質的な観点で恒久対策を講じる

ストーリーを作ります。そのアクションの背景に以下の要素を含ませます。

  • 部門や会社の利益の向上
  • 業務効率を上げる、生産性向上
  • 基本的には部門や会社の方針に沿う
  • 社員や組織が成長する(人材育成)

これにより論文採点者は「この人は分かっている」となるわけです。

理系の社員向け、昇格試験の論文例

読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

論文の試験に合格するためには、論文を何回も書いて、得意な人に見てもらい添削してもらうことで、どんどん上達します。うまくいくことを祈っています。