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一般企業が中途社員として入社してくる人に求めるスキルはたくさんあります。もちろん、すべてを兼ね揃えている人なんてほとんどいません。
しかし、何を求められているか、どういうことができるべきであるか、知っているのと知らないのとでは大きな違いです。

この記事は以下のような人を対象に書かれています。
・会社でどんなスキルが必要なのか知りたい
・今後組織の中で働かなくてはならない
・会社で必要なスキルを習得したい
・今の職業が、保育士、介護士、作業員、野外での勤務、などの職種で、オフィスワークの経験はないが、会社に中途採用で転職したい
・就活中の学生

会社から求められる10のスキル項目と、その習得方法について解説します。

会社で求められるスキルをおおざっぱにいうと

前の職場で得た知識や経験が、自社でどのように生かせるのかを、会社はジャッジしてきます。

中途社員には、いちから社会人としての教育を施す必要はない、と会社は考えています。中途で入社する人に求めるスキルは、
・礼儀正しい態度
・コミュニケーション能力
などは当然のこと、そのほか、
・募集職種の専門性
・問題解決の力量
・自頭力、発想力
などがあります。さらにレベルの高い要素では、
・正しいプロセスで仕事を進める
・リーダーシップを発揮して成果を挙げる
・後輩の教育ができる
というスキルが求められるケースもあります。社会人としての経験年数によっても、求められるスキルの幅は異なります。

さすがに上記のすべてを身に付けていることを求められるわけではありませんが、中途で入社を希望する応募者がこれらの多くを兼ね備えていれば、ほかの候補者よりも優位に立てます。「ぜひこの人を欲しい」と思わせたいところです。

会社で使用する言葉使い、尊敬語、謙譲語、丁寧語、これだけ押さえておけば大丈夫

1. テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、専門的な知識のことです。たとえば、
商社 :契約、法律、経済
営業 :販売、経済、計算、管理
技術 :専門学問、数学、物理化学全般
研究 :専門学問、研究プロセス、論文
事務 :PC、文章、費用処理、計算
など、その業務を遂行するにあたり必要となる知識やスキルです。
事務職が最もハードルが低いことは明らかですが、そのぶん競争率も高い、ということになります。

会社経験がないところから会社員を目指すということは、会社が求める専門スキルをもちあわせていない人が多いと思います。専門性は、地道に積み上げていくものですから、年齢によっては、高い専門性がなくてもそれほど不利にはなりません。
スキルの習得が間に合わなければ、「このようなことを現在学習中」と伝えることもできます。
そのためにも、興味のある分野の、
・関連の専門書で学習
・Webサイトで情報収集&学習
・有料または無料動画サイトで学習
・講習会を受講
・e-Learning講座を探して受講
など、できる限りのことを進めてみましょう。

専門分野の業務を遂行する上での最も基本的なスキルとして、文章力とPCスキルが挙げられます。

2. 文章能力

手足を使った単純労働(工場組立ライン、物品運搬)でなければ、PCを使用しての文章を書く作業はほぼ毎日ある、といっていいでしょう。
前職にも、連絡帳に毎日の出来事を書いたり、配布物への文章書きなどをした人もいるかもしれませんが、より高いレベルが求められると思っておいたほうがいいです。
情報共有に厳しい人たちや、多数のお偉いさん達に一斉送信で、的確な内容でメールをする、ということもあるでしょう。
文章の基本は、
・概要や結論を最初に簡潔に書き
・具体的な詳細内容を明記し
・最後にまとめる
という流れを徹底します。自分でも確認でき、相手に伝わる、という利点があります。これを「説明資料」という形で表現する場合もあるため、ハードルはかなり高いといえます。文章スキルアップの記事と、資料作成スキルアップの記事をご紹介します。あとで読んでみてください。

文章を上手に書くための6つの基本、例文で解説

お仕事で資料を上手に作るコツ、例を挙げて資料作成の基本を解説

3. PCスキル、Excel、Wordなど

PCスキルとは、現在、
・Word
・Excel
・PowerPoint
とイコール、といっても過言ではありません。会社によっては、使い勝手の良さでGoogleのツールを使う会社もあるかもしれませんが、基本は、Microsoftのこの3ツールです。
Word、Excel、PowerPointの操作スキルアップに関しては、すみませんが当サイトではカバーできていません。自信のない方は、Webサイト、Youtubeなどで学習してみてください。「学習」「無料」といったキーワードで検索すれば無数に出てきます。

PCそのものを使うスキルは、もちろん求められますが、PCの仕組みやアルゴリズム、サーバーなどの知識を求められることはまずありません。専門性が高すぎます。
電源を押して、起動して、ファイルを開いたりコピーしたり、ソフトウェアをインストールしたり、終了などができれば問題ありません。毎日使えば、仕事に必要なスキルは自然に身に付きます。PCをもっていない人は、購入して毎日使用することで慣れておいたほうがいいでしょう。

職種にもよりますが、PCキーボードのブラインドタッチはマスターしておくことをおすすめします。仕事の効率が何倍も変わってきます。なにしろ、「仕事ができる人」のように見えます。
ブラインドタッチがもたらす3つのメリット、優れた無料練習サイトを3つ紹介

4. ヒューマンスキル

これは、性格が良い、ということもありますが、コミュニケーションスキルのことです。優れたコミュニケーションにより、対人関係を円滑にコントロールして高い成果を挙げることが必要になります。

参考記事
「人物良好」という評価をもらうために必要な4つの要素

出世のために、人間力を身に付ける

そのほか全般的なスキルは?

テクニカルな部分とヒューマンの部分以外に、求められる要素がたくさんあります。
今後、技術が進化し、業務にAIやRPA(Robotic Process Automation、業務のオートメーション化)が取り入れられると、以下に挙げるスキルの要求が増してくるでしょう。真面目にコツコツと業務をこなす、とか、正確に丁寧に繰り返し作業をする、というスキルは、重要度の低いスキルに位置付けられるようになります。これからは、
・新しい物事を考案
・臨機応変な対応
・問題解決
・人を育てる
・人を束ねて業務を動かす
といった、ロボットが苦手なこと、人間にしかできないことが求められてきます。

テクニカルやヒューマン以外で会社が求めるスキルをいくつかご紹介します。採用面接で、これらを兼ね備えていることを説明できれば、優位に立てます。

5. 考える力、自頭力

物事をしっかり考えて仕事をすることは、これまでも意識していたと思います。しかし、限られた時間の中で効率的に高品質の商品やサービスを創出し、利益を最大化する、という側面は、会社でクリエイティブに仕事をする上で強く求められます。会社で思考を働かせて仕事をするために重要な要素として、以下のようなものがあります。
・全体を見て漏れのない検討を行う
・物事の本質に迫る
・ユーザー目線で物事を考える
・発想力で新しいものを生み出す
・瞬時に仮の結論を導く
これらが正にロボットではなく人間が得意にできる要素です。詳細解説記事を参照ください。

思考を働かせて仕事の成果をあげる5つの方法、実用例で解説

6. 問題解決能力

仕事をしていると、大小含めて毎日問題解決をしている、その積み重ねです。そのたびに先輩や上司に相談していると、業務遂行能力の欠如を疑われてしまい、残念なことになります。
先ほどの、思考を働かせて成果を出す、というスキルを身に付ければ、問題解決もスムーズに対応できるようになります。
問題解決を説明するには、とても一言ではいえませんが、だいたい以下のようなプロセスを踏むことが基本です。

1. 影響の範囲を考える
 (部門、顧客、金額、日程など)
2. 事が大きければ上司に報告、指示を仰ぐ
3. まずは暫定的処置(火消し)を考える
4. その暫定処置を関係者に連絡し、実行
5. 本質的な原因を捉え、対策と日程を共有
6. 根本的解決を実行
7. 再発しないような策を講じる

問題が小さければ、自分で根本的解決を即座に施すします。何年か経験を積む必要はあります。すぐに相談することだけは避け、少しでも自分で考えてからの報告が大切です。常に全体最適を考えて問題解決ができるようになると、周りからの信頼も厚くなり、頼られる存在になります。


7. プロセスを踏んで仕事を進める能力

世の中には「PDCAサイクル」というものがあり、仕事を進めるプロセスの考え方の基本として、多くの会社で重用されています。
「PDCA」でインターネット検索すると、多くの説明サイトがヒットします。かなり細かく説明されているサイトがほとんどですので、ここでは簡潔にします。以下のような考え方です。
P(Plan) 計画を立てる
D(Do) 実行する
C(Check) 確認し、改善や向上を考案する
A(Action)改善、向上策を施行する

Aまできたら、またPに戻る、というサイクルです。普通に仕事をしていれば、だいたいこのサイクルには乗ってくるものです。
仕事のプロセスとは、マニュアルに沿って正しい仕事をすることもひとつにはありますが、このPDCAサイクルに沿うことも、ぜひ知っておきましょう。加えて、自分の所属部門での方針に沿います。

「正しい仕事を正しいプロセスで実行しよう」みたいなスローガンを掲げる職場では、このPDCAサイクルを重視していることが多いです。

PDCAサイクルに忠実に従って業務を進めることを良しとしている会社では、計画やらプロセスそのものが仕事になってしまい、結果を出すまでに時間がかかり、機会損失となっていることがあります。「プロセスや計画ばっかり気にしてないで、さっさと実行すればいい」と唱える実業家も多くいます。
実行あるのみ、といっても、このPDCAサイクルを知っての上での遂行だと説明がつきます。

8. 人に伝えるスキル

会社では、関係者に的確に物事を伝えることが求められます。「仕事の報・連・相」や電話、メール、プレゼンテーション(発表)などがそれに当たります。

「仕事の報・連・相」は、的確なタイミングで、報告、連絡、相談することです。これができると、コミュニケーションや情報共有をしっかりできる人、と見てもらえます。
今は会社では、情報共有の基本はメールやチャットです。緊急性が高かったり、相手が手厚いサポートを必要としている場合には電話をすることもあります。会社の文化に従います。

人に伝えるスキルが最も顕著に表れるのは、プレゼンをするときではないでしょうか。プレゼンだけで1冊本が書けるくらい、奥が深い要素です。プレゼン資料のクオリティもその要素の1つといえます。
プレゼンを上手にできるということは、テーマのポイントをしっかり捉えて、まとめることができている、ということですので、そのインパクトは大きく、その先にさまざまな大きな舞台を用意してもらえます。評価も高くなり、ビジネスチャンスがぐっと広がります。




会社でのプレゼンテーション、成功のために心得るべき4つの要素

9. リーダーシップ

リーダーシップは、どの会社でも求められます。大勢の人間を束ねることだけがリーダーシップではありません。規模は小さくても大丈夫です。関係部門の数人に物事を依頼して、結果的に1つのアウトプットを自分が出したら、それも十分リーダーシップの1つです。複数のスタッフを指揮して成果を出すことが重要です。

リーダー経験がない場合でも、基本的に以下のようなことを意識していれば、リーダーシップが身に付いてきます。
・業務やプロジェクトの全体日程に気を配る
・メンバーからの情報共有を求める
・進捗が遅れている人(業務)に対処する
・メンバーのスキルアップを図る
・メンバーのモチベーションを上げる
・世界標準の情報を集め、チームに共有する
そのほか当たり前の、ほかのチームと自チームのうまい橋渡し役となる、とか問題解決力など、たくさんあります。
リーダーシップに関する書籍は、あまりにも数が多すぎます。いろんな人がいろんなことを書いていますので、どの本を読んだらいいか、迷ってしまいます。もし、体系的な知識を得たい場合には、「チームで成果を出す」とか「リーダーに必要なこと」などをテーマにしている本を1冊読んでおけば、リーダーシップの全体像を理解できるでしょう。

10. 人材育成のスキル

リーダーシップの項目で、「メンバーのスキルアップを図る」と書きましたが、チームメンバーだけでなく、同じ部門や自分も含めて、人が成長するためにどうすればよいか、知っておくと、会社には高く評価されるでしょう。

人材育成は、とても奥が深く、この記事の数行で語り尽くせるものでは到底ありません。概略を書きますので、「会社にはこういう考え方がある」という程度に理解しておくだけで十分です。

会社員は、基本的に
・会社での仕事経験
・仕事での研修
・自らの学び
の3つで成長します。成長のためには、この根底に、やる気、モチベーションがあります。この成長を後押しする環境の中で、
・目標達成による貢献を実感
・仕事のやりがいを感じ、さらなる成長
といったことを実現させるために、部下や後輩、同僚に成長を促します。
結果として、
個人の成長 ⇒組織の成長 ⇒会社の成長
となり、会社の利益向上、発展へとつながります。

具体的な行動としては、
・自身が学び、成長する
・研修や講習の情報を部門で共有する
・業務、プラスアルファの教育を後輩に施す
・成長することの意義をしっかり説明する
・部下、後輩のやる気を引き出す
・昇格試験があれば、後輩受験者を指導する
などです。
会社に入る時点で確たる人材育成ポリシーをもつ、というほどでなくてもいいですが、後輩を育てたり、周りの人に「学び」の影響を与えるような姿勢があるのが望ましいです。
管理職になると、さらに人材育成の高いレベルを求められますが、会社によってその思想は異なります。その思想に従い、なおかつ自分のポリシーもあるといいでしょう。


場合によっては、語学力も求められる

転職において、英語は必須ではありません。
日本の企業では、語学力すなわち英語力を強く求めるところはまだ少ないです。英語でマニュアルを作る、外国人相手に何かを案内する、または翻訳や通訳など、英語を使うことそのものが仕事になっている場合には、求められます。高い専門性や幅広いビジネススキルに加えて、英語も話せる、という日本人自体、少ないはずです。したがって、英語ができると、プラスアルファで評価が高い、ということです。

外資系企業、特に欧米系企業であれば、英語力を求めるケースがほとんどです。また、中国に支社や大きなマーケットをもっている会社だと、中国語スキルを求めることもあります。反面、ドイツ系やフランス系の企業で、それぞれドイツ語やフランス語が必須というところは稀です。

日本人ビジネスマンにとって重要度の高い外国語が英語であることは、今も昔も変わりません。英語力が高いと、その会社での業務効率向上や、周りからの評価が高くなるだけでなく、プライベートの充実、英語を生かした副業、などさまざまなメリットが得られることで、人生を大きく変えることができます。
また、確たる専門知識を確立した上で英語力も兼ね揃えていれば、「英語力必須」といわれるGoogleやAppleなどの超優良企業へのチャレンジも叶います。

転職にあたり、何から始めたらいいか分からない、という人は、とりあえず英語の学習だけても始めておいていいと思います。真面目にコツコツ取り組めば、1年~2年もあれば、仕事での英会話はほとんど苦労なくこなせるようになります。
短期間で英語を話せるようになる、学習方法を速攻でポイント解説

各スキルの習得、実行の目安

本記事で紹介したスキルの大まかな位置付けを示します。転職活動での目安にしてみてください。

■専門書、Web、講習で学習
重要度 :高い
・テクニカルスキル(専門スキル)
・PCスキル

■概要を知った上で、日々実行あるのみ
重要度 :高い
・文章力
・ヒューマンスキル
・問題解決

■概要を知った上で、地道に取り組む
重要度 :少し高い
・人に伝えるスキル
・考える力、地頭力

■知っておくだけでOK、いずれ発揮
重要度 :普通
・プロセスを踏んで仕事
・リーダーシップ
・人材育成

■補足
語学力は、自分の目標や、会社が求めているかによります。習得を志すなら、以下の記事を参考にしてみてください。
留学しないで独学で英会話をマスターするための勉強法

まとめ

一般企業でのオフィスワークの勤務経験なしで、会社の中途採用に合格するためには、習得しておいたほうがよいスキルがたくさんあることが分かりました。
すべて習得するのは難しいですが、会社で働くときに必要な観点をお分かりいただけたと思います。
筆者の観点で、その習得や重要度の目安も書いていますが、転職支援サービスの担当者と相談すると、より具体的なアドバイスをもらえます。ぜひ利用してみてください。
当サイトでも、ビジネスや転職の参考になる記事を今後も増やしていきますので、ご参考にしていただければ幸いです。