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転職、というのは経験していないとなかなか一歩踏み出せないものです。この記事では、転職未経験の人のために、スムーズに転職活動を進めるのに必要なこと、やっておいたほうが良いこと、そして、転職が人生で大きなメリットをもたらすことなどについて解説します。




転職がもたらすこんなにも多くのメリット

転職は、しなければしないに越したことはない、という考えもあります。現状自分がおかれている状況にトータルで納得できていれば、わざわざリスクを負う必要はありません。

仕事の一部またはすべてに不満があり、転職活動を決意するわけですが、転職することで今より状況が悪化するのではないかと心配する人もいます。しかし、転職することで得られるメリットは、こんなにもたくさんあります。

複数の会社の経験が得られる

転職する、すなわち勤務する会社が変わるので、社風、文化、設備、食堂など、多くのことが新しくなります。慣れるまではしばらく大変ですが、数カ月で馴染んでくるものです。

ひとつの会社しか知らなければ、会社=自分の会社が基準、となるわけですが、複数の会社のことを知っていれば、客観的に良し悪しの判断ができます。当たり前だと思っていた環境が実は次の会社では、全く異なる環境、ということを知るだけでも、その後の会社員人生に向けて、物事を見る目を養うことができます。

複数の職種(業務)の経験が得られる

転職で職種を変えれば、複数の分野での専門性を持つことになり、将来の仕事への選択肢が広がります。転職で同じ職種でも、手法が異なれば、ひとつのアウトプットを出すための多くの引き出しを兼ね揃えることになります。

同じ職種で転職したとしても、会社が違えば、日常の業務内容は異なります。「生産管理」という仕事だとしたら、その管理する範囲が変わったり、実際の納品部品などの管理まで任されるか、PC上での数字管理だけか、その会社によってさまざまです。

仕事を遂行する上で、その手法や問題の扱い方、技術やサービスなど、新職場では新しい物事ばかり、ということがほとんどです。それらすべてが自分のノウハウになります。転職した会社の数だけ経験値が増えます

過去の自分の経験よりも非効率な手法で業務を遂行している職場だったら、問題提起して改善し、存在感をアピールすることもできます。

多くの人脈が得られる

当然のことですが、仕事で関わる人も変わりますので、人脈は増えます。前の会社の人達と良好な人間関係を構築していれば、転職後もコンタクトを取ることで、人脈のネットワークは広がります。さまざまな業界、会社の人達との付き合いがあることで、自分が属していないところの生の情報が取れるというのは非常に大きなメリットといえます。

末長く付き合いがあるほど、「あなたがいた時のアレは、まだ相変わらずだよ」「ずいぶん変わったよ」などと教えてくれます。その情報により、自分が属していた時のルールや文化が会社特有のものだったか、または時代背景によるものだったか分かります。

自分を客観的に見れる

ひとつの会社にのみ働いていると、自分のスキルや仕事のやり方のレベルが高いのか普通なのか、分かりにくいです。周りが低すぎるだけなのか、レベル高過ぎなのか? 他の会社でのまったく違う文化のなかで育成されてきた社員を見ることで、自分のレベルを客観的に捉えることができます。

これにより、万が一、高かったはずの自分のレベルが実は大したことがなかった、ということが分かれば、スキルを一から磨き直すきっかけにもなります。

転職を人にアドバイスできる

転職をすれば、それが成功しても失敗しても、転職そのものがひとつの人生経験として残ります。もちろん自分が更なる転職をするときにその経験は役に立ちますが、自分の大切な人や友人などが転職を検討しているときには、力になってあげることができます。経験者からのアドバイスは信憑性もあり、より良い信頼関係を築くことができるでしょう。




転職を思いたったらまずやること

転職するのに際して明確な順番などはありませんが、次の項目のできることから始めましょう。漏れなくやることが望ましいです。

自分が職業に求めるものを確認

「今の会社は残業が多すぎて自分の時間が取れない」など転職を決意するきっかけがあります。「次の会社は残業の少ない所ならどこでもよい」と考えて、転職してしまいがちですが、プライベートの時間が増えたのに収入が下がって、財政的に厳しくなった、など検討不足で失敗することは避けなければなりません。

転職する際には、現職で心も体も疲れきっているケースがあり、落ち着いて判断しないといけません。

転職活動をきっかけに、自分が仕事に求めるものを今一度考えてみるとよいでしょう。これを再確認出来れば、転職先の仕事に求める条件が明確になってきます。

仕事を取り巻く要素を以下に挙げたいと思います。

■勤務地に関するもの
・通勤時間
・通勤手段
・都市部か校外か

■給与に関するもの
・給与
・賞与
・給与体系
・昇給

■仕事に関するもの
・職種
・業務内容
・語学
・PC

■労働条件に関するもの
・一日の労働時間
・始業時間
・昼の休憩時間
・残業
・休日出勤
・年間休日数

■異動、出張に関するもの
・国内出張
・国内転勤
・海外出張
・海外転勤

■会社に関するもの
・会社の規模
・会社の福利厚生
・会社の教育体系
・昇進のしやすさ
・会社の安定性
・会社の将来性
・会社の設備
・グローバル展開



ざっとこんな感じでしょうか。自分が次の転職に求める要素に優先順位でもつけてみると、スムーズに探すことが出来るようになります。

自分が仕事で本当にやりたいことを整理

仕事に求めるものが明確になっていたとして、それが給料や勤務地だったとしても、やりがいがないとモチベーションが持続せず長続きしません

改めて自分がやりたいことを確認するとよいです。例えば、
英語が得意だから英語力を生かした仕事がいい
ど考えていた場合、転職先は、英語ができる前提で採用してくれるわけですから、英語ができて当たり前という扱いをしてきます。職場では自分の英語力を大して評価しないわりに、英語スキルをいいように利用されてしまうことだって考えられます。

このような状況になったとしても、英語を生かした仕事をやりたい、と覚悟が決められるかが重要です。こんなことになるなら、他の専門性を新たに磨いて、英語はプラスアルファの武器にしよう、などとさまざまなアイデアが浮かびます。

特に今の時代、「やりたいこと」がAIに取って変わられそうな仕事の筆頭にあるような職種の場合、避けておいたほうが無難です。

ぜひ一度やりたいことの再確認をしてみてください。




自分のスキルの棚卸し

転職する、ということはこれまでの職歴で培ったスキルやノウハウがあります。それを全て書き出してください。些細なものでも何でもよいです。

■スキル大項目の例
理系:
研究開発、設計、製造、プログラミングなど
文系:
営業、金融、証券、保険、広告、経理、コンサルなど
その他(芸術系など):
デザイン、作曲、制作など

→スキルの大項目は、職種とイコールです。自分の肩書きそのものです。
設計士、金融マン、デザイナーなど

■スキル中項目の例
その職種をこなす上で発生する特殊スキルです。業務を遂行する上で必要なツール、機器、ソフトウェアなどの使いこなしが、それに当たります。設計の職種で一例を挙げます。
・引張試験機
・オシロスコープ
・電子走査顕微鏡
・CAD(コンピューターによる設計製図)
・Illustrator(画像編集ソフト)

■事務スキル、ビジネススキル
これは、どの職種にも発生するスキルです。パソコンを使える、というのも立派な事務スキルです。これらのスキルの例は、
・Excel,Word,PowerPoint
・資料作成やデータ処理
・文章能力
・リーダー経験
・プレゼン経験
・組織活性化 など

■語学力
簡単な日常会話、メールでのやり取りができるレベルであれば、その言語を所有スキルと称して問題ありません。

英語に関して、しゃべることが目的ではなく、履歴書への記載やPRが目的の場合、TOEICのスコアを所持していたほうがよいでしょう。その上で「会話が出来る」「メールでやり取りできる」という実スキルが際立ちます。目安は、最低600点です。会社で海外出張や赴任などの際、600点以上がおおよその基準となります。

その他の外国語の場合も、○○語検定○級という資格の記載が出来ればベストですが、もし取得していない場合には、入社面接で経験を話せるくらいのことを押さえておくようにしましょう。


転職サイト、転職エージェントに登録

ターゲットの会社を既に決めている場合も、これから決める場合も、まずは、転職サイトを見てみることをおすすめします。

自分の希望条件で検索してみて、世の中にどの程度の求人があるか、大枠で捉えることにより、自分のスキルの客観的位置付けや妥協ポイントなども見えてきます

就職・転職エージェントへの登録をすることも大変重要です。担当者と面談などでしっかり話して、経験、スキル、希望などを話すことにより、非公開求人情報を提供してくれる事もあります。これは、一般の多くの人に見せることは出来なくても、適任者が現れれば推す、ということになります。企業から求人が来ているが、まだウェブ公開まで入力完了できていない、ということもあります。

ちなみに、既に志望会社が決まっている場合には、その会社のホームページの採用メニューの、
中途採用
キャリア採用

などの項目で情報を入手します。

もし、「キャリア採用の募集は現在ありません」とあったとしても、そのサイト上で募集が無いだけで、転職エージェントをうまく利用してアプローチをお願いすることもできます。決して諦める必要はありません。

とにかく、まずは転職エージェントに登録して、本気度を伝えることで、本格的に転職市場の土俵に乗ることができます。


志望企業の採用試験を調査

志望会社が固まったら、その会社の採用試験情報を徹底的を調べます。

・転職エージェントを通じて調査
・会社の採用部門に直接問い合わせ
・会社公式ウェブサイトで検索
・ウェブ掲示板や口コミ情報(自己責任で)

筆記試験がある、とか、面接は二次試験まで、など出来るだけ詳細に情報を入手し、完璧なまでに試験対策します。

大手転職エージェントの紹介なので形式的な試験、なんてことはありません。会社は、基礎学力や専門性人間性頭の回転常識、など緻密にジャッジしてきます。万全を期す必要があります。その対策を次の項で解説します。




採用試験の対策

採用試験の対策は、課される試験項目数にもよりますが、十分な期間を設けて取り組んでください。

筆記試験

学力試験がある場合、これは、新卒や中途採用の試験時に課される試験と同様のものになります。書店でもamazonでもどこでもいいので、J-MATやSPIⅡなどの問題集を5冊ほど練習して解答方法をマスターしておけば、大体7~8割は解けるでしょう。就職試験でも資格試験でも合格ラインは6割ですので、80点獲得できれば、筆記試験はOKです。できれば5冊の問題集を2周勉強できると理想です。

■数学
試験ボリュームは、
鶴亀算、植木算、食塩水、追越算、確立など約30問
時間は約40分

数学は全て文章題なので、1問の解答にかなり時間が掛かります。筆者もこのような筆記試験を何度も受けたことがあります。理系ですが、数学のほうが大変だったという印象です。40分間集中してひたすら解き続ける、という感じです。迷ったら、「はい、次!」と次の問題に移る、というように時間配分を考えないと、すぐに終了してしまいます。限られた時間の中で的確に判断して多くの正しい答えを導き出す、という能力の客観的スキルを審査されています。

■国語
試験ボリュームは、
漢字、熟語、反意語、類義語、文章問題など約40問
時間は約30分

国語は、知っていればすぐに解答出来る、という問題が多いです。数学のように、「まったく分からない、どうしよう」という問題に出会うことはあまりないでしょう。「どっちの選択肢かな~」と迷うことはあります。国語は勉強した分だけ高得点が出せる、という科目になります。言葉の意味や読解力など、仕事をしていく上での基本的な国語力を審査されています。




論文試験

中途採用に論文試験が課されることは稀ですが、もし論文が課される場合、これまでの仕事の取り組みに対してのテーマとなり、苦労した点やその実績や成果などを明確にしておく必要があります。

また、社会人としてもっているべき観点、
生産性向上
人材育成
組織の活性化

の視点は確認しておかないといけません。これまでの仕事の内容にもよりますが、
品質
コスト
納期
環境

についての自分の取り組み実積も押さえておき、何パターンか書けるようにしておくとよいでしょう。

論文の書き方についてですが、社会人が会社から課される論文試験は、書き方がだいたい決まっています。詳細に解説した記事がありますので、こちら↓を参照にして下さい。
会社の論文試験に合格する! 昇進試験、採用試験での論文の書き方のコツ、対策を解説




面接試験

中途採用の面接試験では、必ずといっていいほど、
前の会社を辞めた理由を質問されます。まだ辞めていない場合は、辞めようと思った理由を質問されることになります。

当然のことながら、ポジティブな回答をしなくてはなりません。自分のスキルや興味関心からステップアップを目指すということに主眼をおいて話します。

決して後ろ向きな発言をしてはなりません。

会社員の面接での一般的な対策をまとめた記事を別途書いていますので、こちら↓を参考にしてください。
会社の面接試験に合格する! 中途採用試験、昇進試験の面接のコツ、対策を解説

入社前にやっておいたほうがよいこと

中途採用試験の対策ではありませんが、無事に採用通知を受け取り、あとは入社するだけ、となってからの取り組みについて最後に解説します。新たな会社で働き始める前にやっておいたほうがよいことがいくつかあります。

ブラインドタッチの習得

言うまでもありませんが、パソコンのキーボードを見ないでタイピングすることです。ブラインドタッチは、キーボードを見ないで楽にタイピングするためだけの技術、という訳ではなく、生産性を向上させるビジネスでも重要なスキルのひとつです。詳細に解説した記事を書いています。いきなりブラインドタッチ練習サイトに行く前に、ご一読いただき、観点を理解してから習得することをおすすめします。

ブラインドタッチがもたらす3つのメリット。優れた無料練習サイトを3つ紹介。

まとめ

転職、というのは動き出すまでは躊躇してしまいますが、終わってみると大いに達成感があります。転職活動の中から社会の動きを見たり、業界の情報を学ぶことも多いです。確実にいえることは、転職を経験すると社会人としては確実にレベルアップする、ということです。ぜひ、転職を成功させて充実した日々をお過ごしください。