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高卒でしばらく経ってからでも、機械設計者になりステップアップしていくプロセスをお話しします。

1.就職エージェントまたは派遣会社に応募
2.機械設計者してのキャリアを積む
3.キャリアを武器に大手企業に売り込み

就職エージェントまたは派遣会社に応募

就職エージェントや派遣会社はどこでも良いです。応募資格として次のようなキーワードでの募集が必ずあります。
「未経験でも歓迎」
「学ぶ意欲のある方歓迎」
「高校卒業以上」
「育成サポートあり」
「機械いじりが好きならOK」
など、機械設計の職歴や機械工学の知識がないことを前提とした募集キーワードです。どれかに該当したり、これらのキーワード全てを満たす募集でさえも多く見つけることが出来ると思います。
要するにその会社は、あなたが全く機械工学の知識が無くても、機械設計者としての職歴がなくても、機械設計者候補として迎え入れますよ」と言っているのです。
このような募集を中心に探し、自分が興味のある内容や、勤務地、給与など条件に合ったところを選びます。
この選ぶ案件によって、その後の動きも異なってきます。


■就職エージェントを通じた案件
正社員案件であることが多いです。文字通り正社員募集のことで、その就職エージェントに紹介された勤務先で、正社員として働きます。正社員となるので、そこでは長期目線でいち専門家として一人前になれるようしっかり教育してもらえます。手厚く教育してもらい、徐々に設計業務に入り、やがて一人で出来るようになって行きます。
会社によっても教育体制はだいぶ異なりますが、以下のようなことを教えてくれます。

その会社の製品に必要な技術的なこと
製品全般に関すること
業務の流れ
CADや設計ツールの使い方
設計に関するルール、標準

などです。様々なことを教えてくれます。
CADというのは、Computer Adid Design (コンピューターによる設計)といって、パソコン上で製品の形状を作図して設計を進めるシステムのことです。
この、「CADを使うこと」自体がひとつのスキルとして認められます。このような基礎教育も大抵やってくれます。




■派遣会社を通じての就労
派遣社員として働くメリットを挙げます。
・専門業務に専念して取り組むことができ、専門性のスキルアップ出来る
・派遣先企業の習慣や方針、会社のしくみを学べる
・数年で数社経験することもでき、社会的視野が広がる
・数社経験すれば様々な製品の知識が身に付く
・給与、勤務地、職務内容など自分に合った仕事を選べる
といったところです。
派遣会社の募集案件の場合、

派遣会社に登録をしてから募集企業に派遣され勤務

という場合と、

派遣会社の正社員として就職し、その後企業に派遣

という2パターンあります。どちらを取ってもそれぞれメリットはありますがどちらかというと、「派遣会社の正社員」のほうです。
派遣会社に登録してから派遣される場合、そこでは残念ながら即戦力が求められる場合があるからです。
ふたつをそれぞれ見ていきましょう。


■派遣会社に登録して派遣される場合
今更ですが派遣で働く仕組みを少し説明します。
派遣会社に問い合わせをして、登録をします。そして、希望や条件に合った仕事を紹介してもらい、派遣先企業にて働き始めます。
派遣労働は期間の定めがあり、およそ3年です。契約期間が経過すると、契約終了となり、そこでの勤務が終了します。そのあと派遣会社を変えても良いし、同じ派遣会社に次の勤務先を紹介してもらっても良いです。
メーカーが派遣労働者を求める場合、即戦力を求めることが多いですが、稀に「未経験でもOK」という求人もありますので、要チェックです。
派遣会社に登録して派遣されるメリットは以下のようなものです。
・好きな会社を選べる
・大企業だって選べる
・いやならやめてもOK(本当はあまりよくない)
仕事を紹介してもらうだけですので、多少のわがままも許されるケースが多いですので、自分の希望をかなり通すことも可能です。
派遣先で認められれば、本当に運が良いと、「ウチの正社員にならないか」と打診が来る場合もあります。「登録派遣社員」は「正社員派遣」と違ってフリーですから、社員の横取り、ということにはならないのです。

しかし、この派遣会社に登録して派遣労働、は実はあまりお勧めできない点もあります。もしゆくゆく自分が大手企業や中堅クラスの企業を目指す場合、設計スキルは認められても、派遣として働いていたという経歴、つまり正社員というステータスで働いた経歴がないことは、評価が下がる可能性が高いです。
会社とは、社員に対して、設計や管理などの専門スキルの他に、仕事のプロセスや考え方、リーダーシップ、その他様々な教育を施します。世の中のほとんどの会社が派遣社員にまで手厚く教育はしないので、「派遣社員」イコール「専門以外の教育をほとんど受けていない」という見方になるのです。「中途でウチの会社に入って来るのに基礎教育からなんてやってられない」ということで、門前払いになる可能性が高いのです。よって、この次に解説する「派遣会社の正社員」として働くほうが後々自分を売り込む上では有利と言えます。

■派遣会社の正社員になり企業に派遣される場合
文字通り、派遣会社の正社員として就職します。
そこでは、社会人として、またその会社の社員として必要な基礎教育もやってもらえます。電話の応対の仕方から名刺の渡し方まで手厚い教育内容であることが多いです。
正社員派遣は、全ての派遣会社がやっている訳ではないので、調べてみる必要があります。技術者派遣として有名なアルプス技研などがそれです。
正社員派遣のメリットは、
・「正社員」としての職歴がつく
・企業での派遣労働の前に派遣会社で教育を受けられる
・派遣会社から教育以外でも手厚いサポートを受けられる
・派遣先企業移り変わり時期は自己啓発も出来る
・ボーナス(賞与)が支給される
キャリアを積む、ステップアップの観点ではボーナスのことは関係ないかも知れませんが、実際重要ですね。派遣先企業から派遣会社に帰任して次の派遣先が決まるまでの間も、給料は支払われます。これも正社員であるがゆえの待遇です。この隙間期間は、やや給与は減額になります。正社員派遣は時給制ではなく、給料制で、派遣先で働いている間は、「職務手当」みたいな感じで「基本給」への上乗せがあります。隙間期間では、この「職務手当」がなく、「基本給」だけの支給になります。

正社員派遣の場合、派遣会社のメリット・デメリットを十分に考える必要があります。自分にとってあまり関心のない業務内容であっても、自分のスキルが十分で会社にとっておいしい業務案件だったら、断ることが難しく、本意ではない職務に数年当たらされることも稀にですがあります。ほとんどのケースが本人の希望に沿った職務に就かせてくれます。強く希望すれば、自宅から通えない場所でも寮を構えてくれることもあります。




■就職エージェント利用や派遣社員として働く前に絶対にやっておきたいこと
自分がもし「最終的には大手の〇〇会社で働きたい。しかし、今はとてもじゃないけど入れない。」という思いがあれば、次のような優先順位で進めてください。

まず、ズバリ〇〇会社の就職試験を受けてみる
求人がなさそうなら、
就職エージェントに〇〇会社の紹介を希望する
だめだったら、
1.〇〇会社と同業種の他の会社で正社員として働く
2.〇〇会社とは他業種だが正社員として働く
3.〇〇会社で派遣社員として働く
4.〇〇会社と同格の大手で派遣社員として働く
5.〇〇会社と同業種の他の会社で派遣社員として働く

下に行くほどハードルは低くなりますが、上の方ほど社会的評価、最終目標の〇〇会社の評価は高いです。〇〇会社が中途で専門家を採用する場合、何を基準とするかを考えると自ずと分かります。やはり、メーカーの正社員として働くことが一旦遠のくようでもやがて希望の会社に近づくことが出来るのです。
労働スタイルが変わって来たと言っても、やはり日本はまだ、自由で奇抜なアイデアマンより正社員として真面目にやって来た人が評価される風潮があります。まず何年かはじっくり専門家としてスキルを上げつつ、社会人としての素養を鍛えることが重要です。

次に、機械設計者としてのキャリアを積むプロセスについて解説します。
機械設計者としてのキャリアを積む