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アルバイトとして働いていて、なかなかうまく自分の仕事を回せない、という人は多いのではないでしょうか?
基本的にアルバイトは、単純作業が専らですが、その作業の中でも細かいいくつかの仕事の要素があります。その優先順位を間違い、ある事柄を放置したことにより、リーダーに大目玉を喰らう、ということが無いようにしたいものです。
ここでは仕事の優先順位の付け方を例を挙げて解説します。是非参考にして下さい。

仕事の優先順位の付け方の例

仕事をする上での優先順位の付け方を、ファミリーレストランでアルバイトしていた場合で例を挙げて説明したいと思います。

自分は、フロアのリーダーで、店長が外出で不在です。
客席もキッチンも両方を束ねて責任を負っている立場です!
以下の事が同時に発生しました。
どうしましょうか?

A 洗い場のパートのおじさんが包丁洗浄時に指を切った。
B 次週分食材発注依頼が出ていないと本社調達部から確認の連絡が来ている。
C ホールスタッフがグラタン配膳時に皿ごとひっくり返してお客の頭の上にこぼした。
D バイトのシフトを変更して欲しい、と後輩がメールしてきた。
E トンカツはまだか!と怒鳴る客が居る中、キッチンからトンカツもう無いと言われた。

さて、あなたはA~Eについてどの順番でどのように処理して行きますか?




いきなり答えを出す前に、物事の優先順位を決めるコツ、特に仕事をする上でのコツを話します。


判断基準は、

重要度
緊急度
事態を放っておいた場合の影響の範囲

で判断します。
先ほども書きましたが、放っておいてもさほど影響の範囲が大したことない場合は、無視します。

A 洗い場のおじさん指を切る
重要度: 出血多量? 命に係わるほどではない。
緊急度: 早く止血してあげる必要がある。
影響の範囲: おっさんかわいそう、家族もいる。洗い場居なくなる。

B 本社から発注の確認要請
重要度: 自店の不手際で本部業務停滞? 次週分納品遅れたら品切れ連発まずい。
緊急度: 早く対応しないと次週分納品遅れ濃厚。
影響の範囲: この店の売り上げが減少してしまう。自店対応遅延で本部がお冠。

C お客にグラタンひっくり返す
重要度: お客様にケガさせているので状態の確認、安全の確保など対応が必要。
緊急度: 即座に冷やす対応しないと悪化する。救急車呼ぶ必要も?
影響の範囲: お客様にケガをさせて対応が悪いと慰謝料だけでなく謝罪、営業停止、
会社のイメージダウンなど。

D 後輩からのメール
重要度: シフトの決定。自分の予定の確認、調整。
緊急度: 後でも良い?
影響の範囲: 即レスしてあげないと、後輩も予定を入れられない。

E 怒鳴る客、トンカツもう無い
重要度: お客様のクレーム対応は重要
緊急度: 早くしないと、怒っている。
影響の範囲: そのお客が怒って、もう来なくなるかも知れない。

 

以上を踏まえて、答え合わせします。

優先順位付けは以下になります。

C ⇒ B ⇒ A ⇒ E ⇒ D

第1位のC、最下位のD、は簡単だったと思いますが、B,A,Eはどのように優先順位付けをすれば良いのでしょうか?

重要度、緊急度はどちらが優先でしょうか?

重要度

です。すなわち、

重要だが緊急でない > 緊急だが重要でない

ということです。「重要だが緊急ではない」という案件は放っておくと徐々に緊急性が増して、「重要で緊急」な事柄になって来るのです。本社調達部からの発注の催促は、即座の対応の必要がなくても放っておくと締め切りになり、何も納品されない事態を招く可能性があり、経営に支障があります。

今回の例の、レストランで仕事(バイト)する上で重要なのは、ずばり「レストランの経営」です。とにかく経営が円滑に進むようにするための選択肢を常に取り続けます。

お客さん一人がキレていても、ここで冷静に考え、その一時(いっとき)のクレームに対応するために時間を割いて、次週の納品を遅らせてしまえば、食材が揃わない中でのレストラン運営を強いられてしまいます。これは経営が円滑に進められていない、ということになります。

またトンカツが遅ぇー、というスケールの小ささも優先順位を下げる要素と考えます。
品切れか、単にまだ作っていないか、は実はどうでも良いのです。それを影響の範囲で判断します。

レストラン、すなわち会社の経営では、ヒトも資産ですから、人命に関わる事態は見過ごす訳には行きません。よって、おっさんが洗い場で指を切った、ということは少なくともトンカツのクレームよりは優先的に見るべきポイントになります。しかし、影響の範囲を見ると、洗い場に一時的に人が居なくなる程度なので、本当に命に関わる事態でない限りさほど大きくは捉えません。
影響の範囲、とはあくまで経営目線で考えます。

仮に、指を切断をした、ということになると、出血多量で人命に関わるので、最優先対応事項にもなり得ますが、ここでは、切り傷というケースで考えました。

影響が、

個人間だけに留まる ⇒店内だけに留まる ⇒全社にまで及ぶ ⇒社会一般に知れ渡り経営が悪化する

というカテゴリーのどの部分に当てはまるかで判断すると、その案件の優先度が見えて来ます。当然、社会一般に及ぶ案件から順番に処置して行きます。

あと、レストランによって異なると思いますが、本社とのやり取りは基本的には社員がやる、という方針の所もあり、本部からの問い合わせにわざわざバイトが対応する必要がないケースもあります。この場合、あくまで「バイトのリーダー」として対応するべき案件の中から、B 本社からの催促 を選択肢から無くす判断もあります。

起こる事態の全てを自分で対応する必要はなく、自分の立場を見極めて、自分のやるべきことを優先順位を付けて対応することで、アルバイトという立場でも、

柔軟な対応力

を学ぶことが出来るということになります。ご理解頂けましたでしょうか?

まとめ

上に挙げた例の案件の判断を書いておきます。

C お客にグラタンひっくり返す
重要度◎ 緊急度◎ 影響の範囲:大

B 本社から発注確認要請
重要度◎ 緊急度△ 影響の範囲:中

A 洗い場おじさん指を切る
重要度〇 緊急度◎ 影響の範囲:小

E 怒鳴る客、トンカツもう無い
重要度〇 緊急度〇 影響の範囲:小

D 後輩からのメール
重要度△ 緊急度△ 影響の範囲:小



アクション:
「お客様のケガの状態を確認し、応急処置して、必要なら救急車を呼ぶ。
そして本社には、その旨報告し、指示を仰ぎつつ発注の件も店長が戻り次第確認し連絡すると伝える。その後、ケガをした従業員の指の状態を確認・処置し、ホールスタッフを一人洗い場に充てる。その後トンカツ催促のお客様に説明に行きお詫びする、客の怒り具合によって1品サービス対応。店の案件が全て片付いたら、休憩時間に後輩にメールの返信をする。」

ちなみに、今回挙げた例、実際の現場では異なる順番で対応をするかも知れません。
客がギャーギャーうるさかったら、本社への対応よりも先に対応するでしょうか、、。 「少々お待ちください」と言って一旦保留するくらいなら数秒ですから実際には即対応かも知れませんね。または、他のホールスタッフに早めに対応をお願いしておく、ということも実際には有効です。

しかし、この発生した案件の優先度を決める、という観点は大切なことです。会社・組織として働く場合、重要度や影響の範囲を考慮する必要がある、ということを知っておくことで、「仕事の出来るアルバイトの人」と一目置かれるようになります。