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高卒でも高い給料をもらえる仕事、ということでリポートしていますが、その超おすすめ職業として、
機械設計者
ウェブデザイナー
のふたつを挙げました。このページでは、大学を卒業していなくても機械設計者として稼げるようになるプロセスについて解説します。

機械設計技術の仕事について簡単に説明

機械設計の仕事、と聞いただけで大卒の匂いはプンプンしますね。確かに大学の機械工学科やシステム工学科卒、ロボット工学を専攻した人などが圧倒的に多くを占めるのは間違いありません。
しかし、大手企業、中小企業をはじめ、多くの高卒の機械設計者が働いている現実をご存じでしょうか? なぜでしょうか? それは、機械設計の仕事が、

資格が不要
専門知識が浅くても発想や調整でカバーできる

というだからです。医者、弁護士、弁理士、看護師、薬剤師、保育士、幼稚園教諭など、よく聞く職業は、全て資格がないとその仕事に就くことができません。機械や電気、化学などの自然科学系の資格的なものは一応存在し、技術士資格というものがあります。しかし、設計職にそれが求められることはほとんどなく、それよりも、実務経験や実際に設計力がどの程度あるか、また発想力がどの程度あるか、などが重要になっています。

資格なんかより、知識や発想力、そして設計力があることが重要ではありますが、「機械」に関する全領域をカバーする、なんてことは機械設計の仕事をする上ではそれほど重要なことではありません。(もちろんそれにこしたことはないですが実際難しいのです。)
この実情は、高卒の人にとっては非常にラッキーなことであり、現状で未経験でも、知識を積んで、やる気を見せていけば、その職を手にすることは十分に可能ということになります。

「機械設計」と一言で言ってもイメージが沸かないかも知れませんが、どんなものがあるかというと、

板金枠体設計
製品の筐体設計
プラスチックカバーなど成形部品の設計
エンジンなどの内燃機関の設計
単純な形状設計
バネやステージ、モーターなど動きモノの設計
特に小さな部品などの精密機構の設計
加工が伴う部品や製品の設計
上記の様々な設計品を組み立てるための設計
電気系統のユニットとの組み合わせの設計
光学系のユニットとの組み合わせの設計

などなど、いくらでも挙がります。部品の設計、組立を設計、部品や材料に加工を施すことを考慮する設計など色んなことを設計することが分かります。上に挙げたそれぞれの項目に対して必要な学問があります。いくつか例に挙げますと、

■板金枠体設計
⇒塑性力学、溶接、材料力学、機械材料
■エンジンなどの内燃機関の設計
⇒熱力学、機構学、機械材料、材料力学、機械力学
■加工が伴う部品や製品の設計
⇒機械材料、機械製作法、材料力学

まあ、一例ですが、ひとつの設計をするにも、たくさんの専門分野の知識が必要なことが分かります。もちろん数学や物理法則の基本も分かっていたほうが良いですが、では、

専門分野の知識がないとその設計が出来ないか?

というと絶対そんなことはありません。
専門分野の知識を完璧に網羅している、なんて人は「設計」という仕事をしている人の中にはいません。完璧に網羅しているのは、大学の先生とかその分野の研究をしている人達です。「設計」という仕事をするために、それぞれの分野の中のポイントだけ押さえておけば良いのです。ポイントさえ押さえておけば、あとは発想力、興味、やる気で、その技術領域の幅はどんどん広がっていきます。
機械工学の全てを網羅する必要など全然ない、ということで気持ちを楽にしてください。




機械設計者たちはどのように仕事をしているか

数学、物理の基本的な知識と専門領域のポイントを押さえておけば十分に仕事はこなせます。大卒の人だって、機械高学年全般の知識が乏しい人だっていますし、発想力や調整力、問題解決力などで設計職をこなしている人がいることも事実です。自分でハードルを上げる必要は全くありません。

機械設計の仕事のある1日を見てみましょう
09:00~課の朝会で昨日までの進捗報告と今日の予定をチームに報告
09:30~設計作業開始
10:00~配線基板の寸法の張り出しが最大何ミリになるか電気担当者に確認
11:00~形状を考えながら寸法のスケッチして、それを3Dにモデリングしていく
12:00~昼休み
13:00~製品開発チーム会出席、最新情報の入手、設計進捗と試作品確認日程を報告
14:00~コツコツと設計を進めつつ、発表資料をまとめる
15:00~機械設計メンバーに設計コンセプトをまとめた資料でプレゼンをする
15:30~先輩設計者と相談しながら、より良い設計内容について議論
16:00~分からない事を専門書やインターネットで調べてアイデアをまとめる
17:00~機械検討部品と前バージョン製品を見て、強さや動きなど性能を再確認
18:00 一日の業務終了

イメージを掴んで頂けたでしょうか?
機械設計の仕事は、自分の考えるままにバンバン設計だけを進める、というものではなく、チームでの情報共有やメンバーとの相談、自分の設計内容を伝えるための発表、など多彩です。かたや一日の間に打ち合わせなどが全くなく、ひたすら設計業務だけを進める一日、という日だってあります。組立ライン作業や窓口業務などの定常業務と違って変化のある毎日で、飽きが来ることはありません。

会議で報告したり設計コンセプトをプレゼンしたりするのは苦手、という方もいるかも知れません。しかし、設計のお仕事の駆け出しうちからこのように人前で発表したり資料をまとめたりすることを覚えておいたほうが自分のスキルがどんどん上がっていき、設計者としての総合力が身に付きます。もし資料作りや発表などが課されていなくてもどんどん提案してアクションを取るべきです。




機械設計業務の簡単な流れ

世の中に新商品が出ていく流れの中で、機械設計はどの部分を担っているのでしょうか?
新商品の構想から世の中へのリリースまでの流れは以下のようなものです。

構想:会社としてこういう商品を作ろう

企画:仕様、日程、デザインなど

設計:機械、電気、光学、化学系など各モジュール

試作:プロトタイプ製作

評価:性能チェック、使い方などテスティング

製造:大量生産開始

発売:世の中にリリース

かなり一般的に書きましたが、機械設計者は、「設計」の部分を受け持ちます。
会社によってその流れは千差万別です。例えば、大量生産ではなく受注生産とか、設計の段階から評価が入るとか、構想や日程が親会社から落ちて来るから設計から始まる、などなど。ですが、商品の流れとしては、どこも基本はこの構図に大体おさまります。

会社の規模があまり大きくないと、構想のところや評価、製造のためのサポートまでやる場合もあります。共通なのは、

設計のところは必ず設計担当が行う

ということです。なるべく多くの業務プロセスを経験してください。
先々、大手企業への就職を狙ったり、自分で設計事務所を持つにしても、設計だけの狭い範囲だけでなく多くを知っていたほうが断然有利です。幅広い視野で臨んでください。

では、いよいよ具体的にどのようなステップで進めるか、解説していきます。

機械設計者への就職ステップ