Pocket

論文が苦手、文章を書くことそのものが苦手、という人のために、上手に文章を書くための基本的な手法を6つご紹介します。

この基本編を理解して実践できれば、会社の昇格試験の論文くらいは書ける、という内容にまとめています。

昇格試験論文の合格を決定づける、少しハイレベルな4つの書き方 例文付きで解説

読みやすい文章表記50選、これだけ覚えればかなり書ける

文章を書くとき、最も大切なことは、何を伝えたいかを明確にすることです。
この明確に伝える、という目的を果たすために、分かりやすく書いたり、気持ちよく読めるように書いたりします。




読む人に合わせた書き方をする

自分の日記であれば好きなように書いて問題ありません。誰かに向けて書く場合には、その相手に合った書き方をします。


■友人、家族、後輩
 ⇒丁寧語またはタメ語
「先日買った発電機の使い方を教えます」
同レベルの人向けの書き方です。

■上司、お客様
 ⇒尊敬語、謙譲語、丁寧語
「先日ご購入された発電機の使用方法をご説明します」
目上向けの書き方です。不特定多数の人たちに発するときも、同じ書き方になります。

■小さな子供たち
 ⇒タメ語または丁寧語
「このあいだ買った、キカイの使い方を、おしえます」
年齢にもよりますが、分かりやすく書きます。

読み手が心地よく読めるような言葉使いにしないと、途中で読むのをやめられてしまいます。

会社の昇進試験の論文や、ビジネス資料では、もちろん目上の人向けの書き方になります。場合によっては、「です、ます」調ではなく、「だ、である」調やキーワードやフレーズで表現し、文章にしないこともあります。




結論を最初に書く

結論は、最初に書きます。とはいえ、最後にはまとめを書くので、まったく同じことを最初と最後に書くわけにはいきません。概要に触れる程度で書きます。
課員にメールで連絡する、という状況での例です。

「新しいセキュリティソフトのインストール方法を、以下に記載します。期日までにインストールしないと、ウイルス感染を引き起こす恐れがあります。余裕を持って期日までに早めにインストールを行ってください。
(詳細な説明内容)
以上、正しい手順をご確認のうえ、必ず期日までに終了するようお願い致します。」

詳細な説明に入る前に、「早めにインストールしてほしい」「しないとどうなるか」を簡潔に書くことで、伝えたい内容が明確になります。読み手は何に注意して読めばよいか分かります。
結論は「必ず期日までに終了」ということで締めます。
1 最初に結論(概要)
2 詳細内容
3 最終結論
の順番で書くことにより、メール、ビジネス資料、手紙、論文、どれも自然でスムーズな流れになります。




表現方法を統一する

文章を書くときには、すべての文を、
同じ言葉使い
同じ方向性

で書きます。
たとえば、目上の人に書く場合、「です」「ます」や「致します」「いただく」などの、丁寧語や謙譲語、また「なさる」「される」のような尊敬語で一貫して書きます。

■良くない例
「今度、新しいアイデアについてご説明させていただきたいです。以下の日にちが私の提案する候補日である。都合の良い日に○をつけて返信してください。」

「いただきたいです」と、謙譲語で書いていますが、次に来る文が「である」調になっています。淡々と事実を述べたり、論文を書いたりするときには「である」調でも問題ありません。しかし、目上の人へのメールや手紙、大人数への一斉配信のときは、ふさわしくありません。自分の意見や気持ちが入った文で「である」調にすると、偉そうで生意気な印象になるため、注意が必要です。

「返信してください」は、命令形です。「返信しろ」は論外ですが、「してください」は丁寧な命令と考えるとよいです。英語でいえば、「Please do it!」です。

■良い例
「今度、新しいアイデアについてご説明させていただきたいです。以下の日にちが私の提案する候補日です。都合の良い日に○をつけてご返信いただけますでしょうか。」

言葉使いを統一すると安定感が生まれ、読み手に対する訴求力が高まります。文章を書きながら、そして書き終わった後も、ぜひ確認してみてください。




文章はなるべく短く書く

文章を書くことに少しずつ慣れてくると、長文になりってしまうことがあります。文が長くなると、読んでいて理解し難くなります。文が長いと感じたら、ある程度の意味をなすところで、一度文を切ります。

■良くない例
「当部門ではこれまで多くのサービスを展開してきたこともあり、さまざまな問題解決の経験から蓄積されたたくさんの顧客対応のノウハウを生かした新サービスを企画しているため、今年度中には、課、部をはじめ、経営層やクライアントへの発表の場を設けることが可能かどうかの判断を、今月中に部長に報告したいと考えています。」

ひとつの文の中で、たくさんのストーリーが展開しているかのようです。もはや何を言っているのか分かりません。だらだらと長い文は支離滅裂になっていることもあるため、単純に区切ってもつながらないときがあります。文章校正もしながら、意味をなすところまでで文を区切っていきます。

■良い例
「当部門ではこれまで多くのサービスを展開してきました。これまでのさまざまな問題解決により、顧客対応のノウハウがたくさんあります。
これらのノウハウを生かした新サービスのプレス発表を、今年度中に行う計画です。これに先駆けて、経営層への報告を行いたいため、今月中に企画の詳細についてご報告させていただけますか。」

まだ長い感じもしますが、だいぶ読みやすくなりました。

「~しながら」「~をしつつ」「~ということもあるので」などの副詞的な表現を使うと文が長くなりますので、注意してご使用ください。わざわざ書かなくても伝わる場合には、なるべくややこしい表現を使わずにシンプルに仕上げて下さい。たとえば、

「昨日は業務が忙しい中にもかかわらず、本件のために貴重な時間を割いて頂き、ありがとうございました。」
⇒昨日はご多忙の中、ありがとうございました。

といった具合いに、「にもかかわらず」を、使わなくても表現できます。

シンプルな文は理解しやすいため、読み続けてもらうことができます。難しい言い回しがカッコいい、ということは決してありません。肝心なことは、伝えることです。

表現を文章で行う必要があるかどうかの判断も必要です。発表資料であれば、キーワードだけを大きく表示することでも伝わり安くなります。




話し言葉にしない

文章には、口語(話し言葉)を使うことはおすすめできません。用途に応じて全体で話し言葉で一貫させることはありますが、会社でのメールやビジネス資料で口語を使うことはほとんどありません。

文に話し言葉が混じると、事実を述べているのか、語りかけているのか、などコンセプトが見えません。また明らかに校正してないことが分かってしまい、信頼性の低い文章になってしまいます。

いくつか例を挙げますと、
なので、やってた、かなりの、なくはない、ありがち、ずいぶん、思います
などです。

「なので」は、特に文頭に持ってくると文法的にも間違いです。
「かなり」は会話の中では問題ありませんが、文章で書くときには、定量的に書くことが望ましいです。
「思います」は、手紙で書くぶんには問題ありません。

■良くない例
「この新しいやつ、ちょくちょくダメになるって聞いてたんで、早めに対応しといたほうがいいって感じですね。」

しゃべったことがそのまま文に起こされたような書き方です。だいぶ極端な例ですが、この口語の書き方を文語で2パターン書きます。

■良い例
「この新製品は頻繁に不具合を起こす、と聞いています。早期の対応が必要と考えます。」
少し緩く書くなら、
「この新しい製品ですが、問題がいくつかあるようですので、早急に対応したほうがいいと思います。」

長文や、複数ページに渡る資料を作っていると、話し言葉のような表現が入りがちです。話し言葉にならないよう注意しましょう。




タイトルと内容を一致させる

チャットやショートメールでやりとりをする場合、タイトルはつけられませんが、メールやビジネス資料などでは、タイトルを付けることになります。

その内容(文章)にふさわしいタイトルを付けます。先ほどの目上の人に新しいアイデアを聞いてもらう件であれば、そのタイトルには、
「新アイデアを説明します」
「ご都合の良い日を教えてください」
「【返信希望】新アイデア説明会」
など、どのようなことが書かれているか即座に分かるように付けるといいでしょう。

あまりおすすめしないタイトルは、
「新アイデア」
「説明会の候補日」
「返信ください」
なとです。メールを読まないと内容が分かりません。タイトル付けがテキトーな感じに受け止められ、せっかく内容が優れていても、残念な印象になります。
最終的に書き終わった文面を見て、改めてタイトルが適切に命名されているか、確認しましょう。

タイトルを付ける、ということは、文章を書くこととは違うのではないか? と考える人もいるでしょう。確かにそうかもしれませんが、これは大切なことです。どんなタイトルを付けても内容と合致しない場合、内容に複数のテーマが混在していたり、方向性や結論にぶれがある可能性に気づくことができます。タイトルと内容が合致していれば、テーマに沿った流れができている、という確認にもなります。

まとめ

以上の5つを意識して書けば、会社のメールやビジネス資料、昇格試験の論文など大抵の文章を自然に書けるようになります。短い文から少しずつ長文に展開していけるように、たくさん書いて、これらの基本法則が徹底されているか確認してみてください。

文章を上手に書くには、もちろんこれら5つだけで足りるわけではありません。応用的な記事も今後追加していきます。