大学進学を目指している高校生、または社会人で大学受験を考えている方に、大学の理系の学部に進学する大きなメリットについて、お話ししたいと思います。
大学で理系に進むと、その後の生活に役立つ
理系の学部で勉強することで得られるメリットはあるのでしょうか?
たくさんのメリットがあります。その後の人生、生活に及ぼす多くのメリットについてお話ししたいと思います。
現在高校生の方で、
「数学は苦手だが日本史はかなりイケるので文系がいいかな」
と考えている方もいらっしゃると思います。
しかし、文系に進むより理系に進学したほうが、「人生」においてのメリットが大きいので是非、ひと通りお読み頂きたいと思います。それでも文系が良いと思ったら文系にお進み頂ければよいですが、理系に進むとこんな感じになるんだな、と感じて頂くだけでも今後の参考になります。
理系に進むとどんなことを学ぶか?
細かい専門的なことではなく、生活の知恵として役立つものについて考えます。
理工系の学部に進むと、学部を問わず、生活に役立つ基礎知識が盛りだくさんの科目がたくさんあります。いくつかの例を挙げてみたいと思います。
工学系の学部なら、機械、電気、建築、応用化学などですが、履修科目の中に大体基本的なネジ締めや工業材料、電気のしくみなどを扱う授業があります。学科によっては選択必修として扱う大学もあるかも知れません。
理学系の学部なら、「基礎工学」みたいな選択必修科目として、工学の基本を学ぶことが出来ます。
いくつか例を挙げてみたいと思います。
■ネジ締め
一見簡単そうですが、意外と多くの人が知らないものです。理系に進むとこのねじ締めのことに関して、苦手意識が一切無くなります。中学や高校で学ぶ技術系の授業は基礎過ぎて生活面で理論的に考えるにはやや弱いです。
機械、建築、といったネジ締めそのものにフォーカスする学部は特に知識を深めます。
電気、化学、物理、生物などの学部でも、実験機器や計測器などを使用するため、
・故障したら分解して直してみる
・これをこっちに取り付ける
・配線を取り付け直す
・基板がショートしていないか見てみる
などドライバーを持ってねじ締めする作業を避けて通ることは出来ません。より専門的な扱いでねじ締め作業を行うため、家庭用の機器の分解、取り扱いなど、はっきり言って楽勝です。
自分の家の中を見てみると分かると思いますが、物を固定するには、だいたいネジが使われています。軽い物の取り付けの場合プラスチックの爪でパッチン、という取り付けもありますが、あまりそれを多用しすぎると、爪が割れた時にすぐに修理することが難しいため、必要な個所には金属製のネジが使用されています。
たとえば、
・トイレのウォシュレットが最近ガタついて、座ったらずれる
・ドアノブのあそび(ガタ)が大きく使用感がいまいち
・ベビーチェアの座面がズレる
⇒全てネジの緩みが原因です。機器の周りを全て見回して、ネジの緩みを確認して、締め直して解決です。
業者さんに依頼してお金を払う必要などありません。
ネジの様々な種類も学ぶので、あるものが壊れていた時に、「このパターンは、あの類のネジが使われているな」と予想もつきます。
■工業材料について学べる
工業材料と言うと、やや難しく聞こえてしまいますが、簡単に言えば、鉄とかプラスチックのことです。
どういう所に鉄が使われて、どういう所にアルミが使われて、そしてプラスチックが使われるのか、その基礎を学ぶことが出来ます。
家、家具、外壁、棚から民生機器など、全ての物が理由があってその材料が使われています。
だからなんなの? と言えばそれまでですが、、自分が家の中または外に何かを独自で付けよう、と思ったときに、どの材料を使用するかをテキトーではなく確たる根拠を持ってしかも余裕で材料を選べるようになります。
材料の特徴、こんな感じです。
鉄: 強い。重い。錆びやすい。安価。
ステンレス: 強い・重い。錆びにくい。やや高価。
アルミ: まあ強い。鉄より軽い。錆びにくい。高価
プラスチック: 弱い。軽い。錆びない。安価。
非常におおまかに書きましたが、鉄にもプラスチックにももちろん種類があり、アルミよりもっと高価なプラスチックだってあります。
また、こういった材料の特徴はインターネットで検索すれば一発で出てきますが、素人がインターネットをいくつか見ただけで材料の知識を全体的に捉えるということは大変です。
大学の授業では、世の中で一般的に使用されている工業材料を専門的に教えてくれるので、日常生活で目にする物がなぜその材料が使用されているかの理解が深まります。それによって、自分が生活の中で新たに使用したい物の材料の選び方、その材料の使い方などが上手に出来るようになります。例をひとつ挙げます。
・ベランダの柱に植木鉢や棚を固定したい。
⇒ホームセンターには、物は同じでも複数の材料の固定部材がある。
ここで、ステンレスを選びます。雨に濡れると錆びますし、風が吹いたときに固定部材が弱くてひびが入ると困る。
部屋の中だったら、プラスチックの部材を選びます。しかもプラスチックは紫外線に弱いということを知っていれば、窓際をさけて、常に日影の所で使用します。
化学系の学部を専攻すると、高分子材料をより深く学ぶので、プラスチックに関しては非常に高度な知識が身に付くことでしょう。
■電気のしくみを学べる
もちろん中学、高校で、100Vだの電気の流れなどと教わりますが、大学ではより専門的に学びます。
配線を自分で引き回したり、基板を作ってみたり、修正したりと難しいことを実習します。電気工学科でなくても、機械工学科や物理学科でも大抵は電気工学に関する実習があります。このような技術分野を会得すると、知らず知らずのうちに、自分の生活で出て来る電気に関する問題は難なく対応できるものです。
電化製品や子供のおもちゃが暫く使用されてなくて久々に使ったら動かない、という時、ふたを開けて分解すると、「ここの端子の部分が少し錆びていて絶縁されているから、軽くヤスリで削って導通させて復活」などお手のものです。
家の定格電流などの把握も、直観的に捉えることができ、何をどれくらい使用するとウチのブレーカーは落ちる、と意識出来ます。
電気に関する知識が深まると、家庭用電化製品のどういうものが電力を多く使用するのかも分かって来ます。
このように理系学部では、基礎的な工学知識を得ることができ、生活するうえでその知識を大いに役立てることが出来ます。
大学で理系に進むと技術に関心のある人達が集まることから、自分がそれほど知識レベルが高くなくても、一緒に実習授業を受けたり、試験勉強を一緒にしていくことで、知らず知らずのうちに知識を吸収できるものです。
次のページでは、理系学部で学ぶことで得られる、その後の人生にもたらされるメリットについて解説します。
⇒大学で理系の学部に進むメリット(2/2)