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PowerPointを使った資料作りを、実例を用いて徹底解説します。

ダメダメな資料からスタートして、少しずつ手入れをしながら、誰にでも伝わる資料に仕上げていきます。

早速スタートしましょう。

最初に作った資料

以下のような資料から始めます。「品質改善に関する説明会」の告知で、人通りのある廊下に掲示する、という想定です。

文章、文字、配置、色、イラスト、どれを取っても褒められる要素は何ひとつありません。
ごみ捨て場の貼り紙か、詐欺広告のようです。
このいまいちな資料も、レイアウトに気を配るだけで見映えが改善されますので、これから、まず4つのレイアウト改善を行います。
その後に各要素の改善、応用編としてデザイン要素を入れていきます。

レイアウトの解説に特化した記事もあります。
お仕事で資料を上手に作るコツ、例を挙げて資料作成の基本、レイアウトを解説




レイアウト改善1 スペースの確保

全周にスペース(余白)を確保

スペースを確保するだけでも見やすくなります。タイトルと内容の間にもスペースを設けることですっきりしました。
入りきらない場合には、文やイラストを削減するのですが、ここでは要素のサイズを小さくして、後で削減します。

レイアウトの改善2 揃える

要素の配置を揃える

各項目タイトルに対して内容の頭を揃えると、項目に対する内容が明確になり、対応表のように見えてきます。
イラストは、縦横長さを揃えてぴったり並べると、スペースが生まれ、目線もスムーズに流れます。

レイアウトの改善3 グルーピング

関連する要素をひとつの塊にして、関連しない要素とのスペースを取る

この資料のタイトル以外の部分は、以下の3つの要素に部類分けできます。

  • 前書き
  • 概要
  • イラスト

これらの塊でグルーピングすることで、見た瞬間に情報を部類分けできるようになります。

レイアウトの改善4 強調する

強調させるべき所を大きく目立たせて、そうでない部分との差別化を図る

最初に作った資料では「説明会に参加頂きますよう」と「クレーム削減」が、太字やアンダーラインにより強調されていました。しかし、この資料の内容からして、本当に強調すべきことではありません。この資料の作り手は、そこに気持ちがあったのでしょうが、この資料で最も伝えたいことは明らかに、説明会の日程や場所、またはプロジェクトや説明会の存在です。

レイアウトがそれなりに整ったので、この後は各要素を見ていきます。

不要なイラストを削除

イラストは、必須でなければ削除

ビジネスには不向きなイラストが多く使われていたので、すべて削除しました。イラストを使うことで内容の理解を促進できるような使い方でなければ、使用は避けるべきです。そのテイストにより資料の雰囲気を左右してしまいますので、注意が必要です。
大きく使ってイメージを一発で代弁してくれるような使い方ができなければ、一切使わずに内容で勝負します。

枠線

枠線をすべて廃止

背景要素の枠線は、落ち着きのないイメージが増してしまいます。囲いの内側と外側に対して別の色を使うことになるため、色の数が増えてうるさくなり、境界線も複数発生します。
タイトルと内容の間の境界線も含めてすべて廃止することですっきりします。文章や内容に十分集中できるようになります。
下の3つの四角の各コーナー部分の丸みを廃止しました。角丸になると形状が複雑なので、必要がなければ直角を採用します。角を丸くするのは、以下のような場合です。

  • 金属パネルやプラスチックパネル、部品などの角が尖っていると危ない
  • シールやステッカーの角が尖っていると、そこから剥がれやすい

資料で、どうしても角を丸くしたいなら、角丸寸法を統一し、徹底してその形状を全ページに使い続けます。
角を丸くすると、印象としては「親しみやすさ」となります。

背景色、文字色、影

背景の色、文字の色を修正し、下の3つの四角に設定されている影効果を廃止

背景の色を、標準色のピンクや紫などビジネス向きではない痛々しい色から、落ち着いた色に変えることで、全体的な印象が洗練化され、情報の信憑性が増します。ちなみに青系は、色として、誠実・慎重・落ち着きなどの性格をもっているため、この資料の「品質」のイメージと合うため採用しました。
真ん中の項目に使用されていた赤文字も、すでにグルーピングされて存在感がありますから、わざわざ派手な配色にする必要はありません。
影効果は必須ではありません。ボヤっとして見にくく、要素情報が無駄に増えるだけなので、廃止したほうが見やすく上品になります。

フォント、スタイル、行間

文字フォントをゴシックに、スタイルは標準、文章の行間を空けて、見やすく、読みやすく

これまでは、タイトルにデザイン書体、内容部分に明朝体を使用していました。デザイン書体は、文字の判別がしにくい上、幼稚な印象が増します。明朝体は、小説のような長文には向きますが、この程度の文字量なら視認性を優先します。よって游ゴシック体で統一します。游ゴシック体は、読みやすく、視認性も優れた、クセのないフォントです。
文字スタイルは、基本的に標準でいきます。タイトルや項目名に施されていたアンダーラインを廃止します。アンダーラインは、文字が読みにくくなるだけで、強調目的としてはいまいちです。
文章の行間はびっしり詰まっていましたが、適度にスペースを設けることで、読みやすくなります。行間を整えることでスペースが足りない場合には、文字を小さくするだけでなく、不必要な情報を削ぎ落とすことも考えます。「注意事項:私語厳禁、は、当たり前」という判断で、丸ごと削除しました。
せっかく行間を手入れしたので、項目名の文字数を2文字に合わせます。これで、項目名と対応する内容が、きれいに配置されました。

囲み

囲み(背景)を見直し

内容部分全体に敷かれていた背景を無くします。タイトル部分と十分にグループ分けされていますので、塗りの必要はありません。どうしても色バックを敷きたい場合は、無駄な境界線を作らないためにも、囲むのではなくバック全体を配色します。
背景の塗りを廃止したら、下の3つの四角の色をキーカラーの青系に変更します。これによって色の統一感が増します。

文章、内容

内容へのてこ入れ、余分な情報を削除

タイトルは、「~の内容についてのお知らせ」となっていますが、内容に関することは、まったく記載されていません。どう見ても「説明会のお知らせ」です。端的に「説明会」で区切って問題ありません。

前書き部分は、
「プロジェクトを実施することになった」
⇒口頭で伝えるならあってもいいですが、わざわざ文章で書き表すほどでもありません。タイトルに「プロジェクト」とあるので、分かりきっています。よって削除OK。
「事業部長が後押しする~」
⇒このように、プロジェクトの存在アピールや説明会開催に関する情報提供を主とした1枚資料には、誰々がどうした、という内部事情は余計な情報です。これも削除です。
「下記の概要をご覧頂き」
⇒言われなくても読むことが想定されますので、余計なことは書かなくても大丈夫です。ちなみに、「下記の」は誤りです。「下記」と書いたら、下に「記」「以上」と記します。

各項目部分は、
「目的」
⇒詳細過ぎます。説明会の中で言えばよいことなので、削除します。
「内容」
⇒あってもいいですが、これも説明会で話せばOK。

下の3つの四角の中身ですが、キャッチフレーズか、目標か、対象物か、位置付けがバラバラで何が言いたいか分かりません。真ん中の四角の中身を分解して並べてみました。「製品」「サービス」「工程」をそれぞれ漏れなく品質工程させる、とパッと見で分かるようにしました。その下に主管部門名を明記して信憑性を確立させます。

もし各部門への個別連絡をしない、一斉メール配信が遅くなった、という場合は、「日程」と「場所」の2行のサイズを大きくしてもいいです。

ビジネス資料の基本としては、だいたいこのくらいまで出来ていれば、OKです。


まとめ

資料を上手に作れると、情報の整理、問題点や訴求ポイント把握が明確になり、ビジネススキルアップだけでなく、周りへのアピールにもなります。ぜひ本ページのテクニックを生かしてみてください。