会社での資料作りを上手にやりたい、ということで、ほかの人の資料を参考にすることがあると思います。
ここでは、資料作りの際に参考にしてはいけない「テレビの報道番組に見られるフリップボードの紙面のデザイン」について語ります。
なぜ、テレビの報道番組でよく見るフリップボードは参考にしてはいけないのでしょうか?
それは、ビジュアルデザインの法則に従っていないからです。ビジュアルデザインの法則はさまざまな捉え方がありますが、実質的には以下の3つです。
- 近接
- 対比
- 余白
関連要素を近くに配置、そうでない要素を離す
重要な要素を強調、参考程度の要素を控えめに
要素の周りや全体に一定のスペースを設ける
人に見せて説明するビジネス資料作成の際、ビジュアルデザインの法則を適用するのとしないのとでは、訴求力や分かりやすさ、与えるストレスなど、大きく異なります。
以下の2つの資料、見ていて内容が瞬時に頭に入ってくるのはどちらでしょうか?
言うまでもなく、下の資料です。ポイントをつかんで、伝えるべきことが明確にされている、という感じです。「読む」という行為も必要もありません。
テレビの報道番組でよく見る、フリップに印刷されたデザインやレイアウトは、どちらに似ているでしょうか?
もちろん上の資料です。筆者が悪い例として作ったものなので、報道番組のフリップボードの紙面デザインは、さすがにここまで酷くはありません。しかし雰囲気がそっくりなことには気付いたと思います。
報道番組のフリップボードの紙面デザインをマネしてはいけない理由は、以下の通りです。
- 色の使い過ぎで、その色が何を示しているのか不明
- ひとつの紙面の中で文字フォントがバラバラ
- ひとつの紙面の中で複数のテイストのイラストや写真が使用され、落ち着きがない
- ネット上の無料イラストが使用され、安物感が出ている
- イラストが多すぎてなおかつ小さい
- 狭い紙面領域に文章や文字が敷き詰められて見にくい
- 関連要素もそうでない要素も近接していてまとまりがない
このようにさまざまな理由がありますが、テレビ番組のフリップボードの仕上がりを否定しているわけではありません。
テレビ番組では、毎日フリップボードを作らないといけません。そこにデザイナーの添削や作り直しを挟んでいたら本番にはとても間に合いません。
テレビ番組は長時間にわたって観てもらえるよう工夫が必要です。大胆なレイアウトや、カラフルなデザインのフリップボードに仕上げることで目を惹き、ほかのチャンネルに変えられないようにしたり、消されたりしないようにします。とにかく惹き付ければOKです。
テレビマンが作るテレビ番組のフリップボードに対して、ビジネスマンが作る発表資料や報告資料は、以下のように相違点があります。
- 関係者に見られ読まれることが前提にある
- 内容把握してもらい、決定、評価、代替案など、次のアクションがある
- 限られた時間で重要ポイントを確実に読み取ってもらう
テレビ番組のフリップボードのデザインは、ビジネスマンが作る資料のデザインとは別物であることを知っておきましょう。
まとめとして、以下のことを心得ておきます。
- テレビ番組のフリップボードのデザインは、まねしない
- ビジネスマンの資料作りには、ビジュアルデザインを適用する
- ビジネスマンの資料とテレビのフリップボードは目的が異なる
以上、テレビ番組のフリップボードの紙面デザインに関するお話でした。