大手企業と中小企業、就職するならどちらがいいか、それぞれのメリット、デメリットを比較していますが、大企業に勤めるメリットについて解説します。
中小企業に勤めるメリットはこちら
大手企業のメリット
1. 給料が高い
2. 安定性があり失業の心配は少ない
3. 社員が守られている
4. 社会的な信用が高い
5. 社内で豊富な経験が出来る
1. 給料が高い
就職活動生が感じる大企業のメリットの大きな部分ではないかと思います。
これは断言できます。大企業は中小企業よりも給料は高いです。
中小企業でも給料がべらぼうに高い会社もありますが、働き方が超ハードであったり、膨大なノルマを課されることがあるため、そのような会社はここでは除外して考えます。
世の中の給与情報からイメージをまとめると、以下のような給与体系です。
■大企業の年収
課長: 1,000~1,500万円
主任・係長: 800~1,100万円
上位の平社員: 600~900万円
一般平社員: 400~700万円
■中小企業の年収
課長: 500~800万円
主任・係長: 400~700万円
上位の平社員: 300~600万円
一般平社員: 200~400万円
世の中にはこの範囲を越える人もいると思いますが、多く会社員がこの範囲に収まっていると言って良いでしょう。
ポイントは、中小企業の課長より、大企業の係長のほうが給料が高い、というところです。
私がこれまで見て来た大企業の係長は確かに中小企業の課長より高かったです。もちろん求められる厳しさも課長クラスに匹敵するものがありますが、役職に対する給与では、大企業に圧倒的な軍配です。
特に昇進の意欲もなく現場作業員やいち事務員として長年働く場合でも、大企業のほうが給料は高いです。
また、単に給料が高いというだけではなく、残業代がしっかり支払われる、ということは大変大きいことです。
大企業はコンプライアンス(法令遵守)の意識が大きいため、残業した時間をきっちり記録させて支払うのに対して、中小企業はやはりまだその辺が徹底されていない会社があり、いわゆるサービス残業が常態化している会社は少なくないです。
給料の高い低いではなく、自分の労働時間に見合った年収であるかどうかで仕事のモチベーションにも関わります。
2. 安定性があり失業の心配は少ない
今や大企業でも倒産の危機はありますが、やはり中小企業と比べるとその危険性は少ないのが現状です。
中小企業よりも大企業のほうが安定性があるのは、事実です。仕事の厳しさはともかく安定を求める、という方は大企業のほうがお勧めとなります。
大企業が倒産の危機になるとニュースになりクローズアップされ、大企業も危ない、という印象を持ちがちですが、その陰でニュースにならないだけで多くの小さな会社は倒産しています。大企業が倒産すると何万人もの社員が職を失い、その会社との付き合いで経営を成り立たせていた多くの協力会社も一気に倒産に追い込まれ、その影響の範囲が広いためニュースになるのです。
倒産しなくても、大企業の子会社だと吸収合併などで、、吸収先の会社で労働環境の変更を急に余儀なくされることがあります。職種を変更させられたり、出世を先延ばしにされたり、これまでの実績をリセットされたりなど、不本意な扱い受ける可能性もあります。
大企業は、財政的に中小企業より勝るため、事業の失敗や為替の影響による財政危機にも持ち堪える体力があります。倒産の危険性は圧倒的に少ないです。
会社の都合で自分が失業したり退職を考えなくてはならない状況に追い込まれることは、明らかに中小企業のほうが確率としては大きいです。
3. 社員が守られている
大企業では、色んな意味で社員は守られています。
以下のような事があります。
■法律の遵守により社員は無茶しなくてよい
■仕事で失敗しても罰はない
■福利厚生など制度が充実している
ひとつずつ見て行きます。
■法律の遵守により社員は無茶しなくてよい
法律や道徳的な行いに対して、大企業ではしっかりと守るような取り組みがなされていることが多いです。
最も大きなことは、労働基準法の遵守です。
大きな会社は大抵その社名が自社ブランドとなっており、不祥事などでそのブランドに傷が付くことが会社の存続にとって致命的な打撃となります。
社員を不法労働させていた、となるとその会社のイメージダウンとなるため、労働基準法はきっちりと守ります。簡単に言うと、年間残業時間は法律の範囲内で且つ残業した場合にはその時間分の残業代が漏れなく支払われるケースが殆どです。
私がこれまでに勤務したことのある中小企業ではサービス残業が黙認されていましたが、大企業では必ずきっちりと残業代が支払われていました。
また下請け会社に対するアクションについても、細かいルールが細かく決められていて、そのルールに則って進めるため、自分の裁量で外部業者に対しての無理なお願いをする必要がありません。あとで問題になるような社員の暴走が起こらないような仕組みがしっかりと出来上がっています。
コンプライアンス(法令遵守)の意識が、中小企業に比べて高いのは間違いありません。
社員一人ひとりのモラル意識も大企業のほうが明らかに高いです。
■仕事で失敗しても罰はない
大企業では、ひとつの商品やサービスが世の中に出たときの不具合や失敗、クレームに至るまで、極めて多くの社員が関わっています。 多くの人が企画や設定、内容確認など承認を行なっているため、ひとつの失敗が発生しても、これは全体の責任、という流れになることが多いです。その失敗の元となった部門が総じて責任を取る、ということは稀で、ましてやイチ社員がその失敗のために吊るし上げられるなんてことは絶対に起こりません。
むしろこのような失敗が今後発生しないように、今後は皆でどのように確認しようか、という動きが取られます。もちろん原因を作った部門はしっかりと再発防止策を求められたりしますが、「お前のせいで」みたいな指を差されることはありません。
発生した問題は今後も起こり得る、と言って大きく取り扱います。
ほんとに小さい会社ですと、商品やサービスが世に出るまで数人しか携わらないケースもあり、自分のミスが原因で会社に何百万円も損害を与えた、なんてことになると修羅場です。さすがに損害分を給料から差っ引かれるなんて事は無いですが、「おめぇの責任だからな、明日までに何とかしろよ!」と言われて対応するということも覚悟が必要です。
小さな飲食店で、数百円の商品を無駄にしたバイトに対して店長が、「てめぇ、一時間多く働けよ。当然だからな!」と言っていたのは見たことがあります。最たるケースですね。
大企業では、失敗した場合、今後はちゃんとやろう、自分も前向きな考えになります!
■福利厚生など制度が充実している
最近は、福利厚生をどんどん削減している大企業は多いと聞きます。
しかし中小企業と比較すると、やはりまだ大企業のほうが福利厚生は充実しています。
家族手当や食事手当、独身寮などを始め、特に就職活動中の学生が気にしているのは、休暇がどのくらい取得出来るか、ではないかと思います。今回は「休暇」に特化して説明します。
大企業の年間休日は、中小企業のそれと比べると圧倒的に多いです。
特に製造業は巨大な工場を、GW・夏季休暇・年末年始に一斉に稼働を停止して社員を一
斉に休ませることにしており、7日間とか10日間などの長期の休暇を設定している所が多いです。また工場は一度稼働したらずーっと稼働させる方が効率が良いので、国民の祝日は全て出勤日にして、GWや夏季、年末などの休暇を長期に取るというメーカーもあります。
GWや夏季などの通常の長期休暇だけでなく、手持ちの有給休暇を連続で社員に取得させる制度を採用している企業も多いです。有給休暇の消化を推進する大企業ならではの制度と言えます。
あなたの親戚、友人との集いが今後もあると思いますが、その人達の勤めている会社の規模が大きいほど親戚や友人の集いでの参加率は高いでしょう。勤めている会社の規模が小さいほど仕事の都合でその人は参加できないことが多くなるはずです。
ちょっと福利厚生とは違うかも知れませんが、、休暇の取り易さも違います。大企業は、中小企業に比べて、取り組む事業のスケールが大きく、何ヶ月も何年も掛けて進めて行くため、一日二日では物事が動きません。よって、どうしても今朝は怠い、という時に比較的簡単に休めます。中小企業勤務時は、短期決戦だったため、ちょっとの発熱なら出勤していました。
大企業は、大抵は保養所を所有していますので格安で利用できます。また会社の敷地に大きなテニスコートがあったり、体育館があったり、財政的に余裕がなければ出来ない社員へのサービスが整っていることが多いです。入社した会社によって、これは様々ですから、自分が志望する会社のことは調査すると良いでしょう。
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4. 社会的な信用が高い
世の中の人々はあなたの価値を、あなたの勤め先の会社で推し量っている、と言っても過言ではありません。
やはり大手企業に入社するのは、倍率が高いです。
その企業に認められて入社出来た人、というのはその倍率を乗り越えて入社した優秀な人材という事になります。
住宅を購入する時のローン審査もあっさり通るでしょう。自分が男の場合、婚約相手の父親に許しを請う時も、あまり心配されずにOKが出ると自信を持って伺えます。
その会社の社会的信用イコールあなたの社会的信用、というふうに考えて良いと思います。
展示会や学会、カンファレンスなどの懇親会では、あなたの名前でなく、「〇〇さん」(会社名)と呼ばれたりします。自分の会社の威力に物を言わせて振る舞う感覚を味わうことでしょう。
5. 社内で豊富な経験が出来る
会社の規模が大きいと、当然構成される部門の数が多くなるため、嫌でも多くの部門との折衝が増えます。
これを自分にとって良い事と考えるか、面倒くさい事と考えるかはあなた次第です。
ここでは、自分にとって良いこと、と考える方向で話を進めます。
中小企業では、構成される部門の数は少なく、仕事以外の無駄な取り組み、コンプライアンスや法令に関する研修は少ないですが、専門的な仕事に掛ける時間は多く、スペシャリストを目指すにはうってつけだ、と既に書きました。
しかし大企業では、たくさんの事をやらなくてはならない反面、世の中に商品やサービスが出て行くまでにどのような部門が関連し、審議が施され、そのためにどのような法律が絡み、販売されて行くか見ることになります。問題が起こった場合の解決が盛り込まれて行く様、それが起こらない制度を作る過程を見て、といった様々な事を経験して行きます。場合によっては自分が別の部門に異動になったり、経験値を多く積み重ねることが出来ます。ゼネラリストの育成に向いているのが大企業と言えます。会社を辞めない限り、勤務年数を重ねるごとにその経験値はその会社で生きて行きます。
ニュースで、政府がある新しい方針を打ち出せば、大企業は早々と具体的なアクションに落とし込み、社内の制度として取り入れます。社会の動きに対して会社がどのように取り組みを実施するのか、肌身で感じることが出来ます。
将来、自分が自営業を始めることになった場合を想定した場合も、大企業での経験は生きます。
自営業では、もちろんその専門分野の経験は必須ですが、様々な角度からビジネスを見なくてはなりません。大企業のように多くの側面から商品やサービスを見て来た経験は知らず知らずのうちに、自分のビジネスマンとしての素養を鍛えているのです。
配属される部門にも依りますが、大企業に勤務すると、ビジネスマンとしてのスキルを上げるのに最適です。
さて以上、長々と、大企業と中小企業の比較について話してきましたが、いかがでしたでしょうか?
どちらにもメリットデメリットありますが、自分の性格を再認識したり、あなたが仕事に求める物を改めて考える良い機会になると嬉しいです。
最初に入社した会社だけでは人生決まりませんが、後悔の無いようにじっくり考えてみて下さい!