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理系の社員向け、昇格試験の論文例

どの会社にもある昇格試験の論文。この記事では、理系の社員が書く論文の例を実際に書きます。
昇格論文試験の詳細な解説と、文系向けの営業職想定の論文サンプルはこちら↓
会社の論文試験に合格する! 昇進試験、採用試験での論文の書き方のコツ、対策を解説





■問題
「グローバル化した今日の社会において、革新的に事業を推進していくことはとても重要です。革新的に事業を推進するには、現場での地道な生産性向上が不可欠となります。
現場での生産性向上が必要な理由について述べ、あなたが取り組んだ生産性向上について説明してください。」

■気をつけること

■ヒント
◎手順は以下のようにします。

  1. 冒頭の、グローバル化や事業推進に触れる
  2. 現場での生産性向上の重要性を述べる
  3. 自分の生産性向上の取り組みを述べる
  4. まとめる

◎より良く書くためにすること

■前提





いきなり書き始める前に、要約メモを10~15分くらいで作成して、それに肉付けするように書いていくことをおすすめします。
理系の社員向け昇格試験論文を、要約メモで効率的に書く

■記述例(論文ここから)

近年のメーカーは、製造工場を海外に設立する、製造+技術フォローをできる海外拠点を持つ、などのグローバル化を加速させている。
製造や一部の技術フォローまでを海外工場で行ってもらうことで、国内の設計開発部門では、業務革新を推進し、より創造的で付加価値の高い業務を遂行していくことが求められている。

革新的に事業を推進するためには、現場の地道な生産性向上が不可欠である。生産性向上とは以下のことである。

  • 投入するリソースを変えずにアウトプットを増やしたり高品質化したりすること
  • アウトプット量や品質を落とさずにリソースを削減すること

革新的事業推進のために現場の生産性向上が必要な理由:

  • 地道に効率化することで、全体では大きなコストダウンや無駄の削減になる
  • 数多くの業務革新の中から、斬新なものが生まれる
  • 業務を効率化することで、更に新たな取り組みに工数を充当できる
  • 業務革新や効率化の手法をグループ会社や海外拠点にも取り込む

生産性向上を着実に推進して期待できること:

  • 社員のスキルアップ
  • 革新手法の蓄積
  • リソースの余剰

この結果として新たな事業の創出へ繋がり、革新的に事業を推進できる、と考える。

現場での生産性向上を達成するためには、現場の一人ひとりの業務での工夫や提案が必要になる。私が取り組んだ生産性向上について説明する。

私の生産性向上の取り組みは、

  1. 設計改良による組み立て要員の削減(技術者としての取り組み)
  2. 昼食ミーティング定期開催による新アイデア創出(組織人としての取り組み)

であり、各々について以下に述べる。

1. 設計改良による組み立て要員の削減(技術者としての取り組み)
私が設計担当した製品モジュールはキーパーツのアセンブル品である。新機能を短期間で搭載したこともあり、ほかのモジュールより組み立て工数が多く必要となっていた。製造現場からはクレームはなく、組み立て作業が日々行われていたが、設計改良の可能性を感じ、リーダーに構成の変更を提言した。自ら以下の項目をまとめた。

  • 部品のコストダウン額
  • 機能の更なる性能アップ構想
  • 特許出願の可能性調査

この提案が承認され、以下について実行した。

  • チームメンバー5人に対して詳細設計やプロトタイプ製作の指示
  • 製造部に対して組み立て改善での想定人員削減数の調査依頼
  • 海外工場技術スタッフへの部品製造工程監査依頼
  • 調達部への現行部品の納品調整
  • 品質保証部にプロトタイプでの早期評価開始の依頼

本取り組みは、大幅な生産性向上が期待できたため、機会損失にならないよう、チームメンバーと目標達成を常に共有し、計画より早い段階でのモジュール変更が行われた。結果として以下の成果が実現した。

  • 部品(製品)のコストダウン
  • 組み立て作業要員の削減
  • 製品の性能アップ

この改善活動に投入した工数は、製品のコストダウン額から換算し、1カ月で回収出来ると試算されている。したがって、本製品の生涯生産期間4年を考えると、大幅な生産性向上を導く結果となった。

今回の生産性向上の活動は、多くのスタッフや部門を巻き込んだチーム連携の成果だけでなく、プロセスもPDCAサイクルにきれいに当てはまる理想的な動きであった。この活動の成果とプロセスをまとめて、他部門にも共有する機会を設けたいと考えている。

2. 昼食ミーティング定期開催による新アイデア創出(組織人としての取り組み)
私の所属するチームには、機械設計技術者が15人いるが、みんな業務多忙なこともあり、全員一同に会する機会はほとんどなかった。このため、それぞれのメンバーが個々に業務を遂行している状態が続いていた。

今以上に生産性向上を実現させるためには、個々の力を結集して、さらに付加価値の高いアウトプットを推進することが必要であった。さまざまなアイデア創出の促進による生産性向上を視野に入れ、設計者全員が自由に意見を交わし合える懇親会のような場を設定することにした。業務としての強制感を緩和できるよう、会議室で弁当を食べながらの自由な雰囲気でのミーティングが良いと考えた。
懇親会の概要

  • 目的はコストダウンや品質向上による生産性向上
  • 参加者の負担軽減のため月1回の開催
  • テーマは毎回、持ち回り
  • 自由に意見を交わす、遠慮はいらない
  • どんな意見にも否定はしない

この昼食ミーティングを開催して4カ月経過している。全員、普段業務時間中だと言えない本音やエピソードなどを踏まえた、以下のような活発な意見が交わされた。

  • 若手社員の提案を品質改善取り組みとして採用
  • 他製品担当者からの助言により設計工程の短縮
  • 新人発想+ベテランの工夫で新構造の創出

品質改善や工数削減、新付加価値の提案といった、生産性向上を実現させるためのさまざまなアイデアが生まれ、チームの風土にも風通しが良くなってきた。
一人ひとりが元々もっている生産性向上のアイデアや施策は、おもてに出さないともったいない。私はサブリーダーという立場から、技術スタッフのアイデアや意見を自由な雰囲気で引き出し、大勢で議論を交わし合えるような機会を引き続き設けていきたい。後輩社員に会を仕切る機会を与えたり、それに対するアドバイス、思考の働かせ方の教育などを行ったりすることで、後輩社員も成長し、チームとしての生産性向上への取り組みは、より加速していくと考えている。

私の生産性向上は、技術者として技術を掘り下げる取り組みと、組織人として風土を盛り上げるの取り組みであり、会社で技術者として活躍するためにはどちらも落とすことのできない重要な要素と考えている。
生産性向上の取り組みは、最終目標として作業効率化やコストダウン、品質向上などがあるが、その過程には人材育成や組織風土の活性化など、会社にとってさまざまな付加価値も含んでいる。ゆくゆくはリーダーとして組織を引っ張って事業推進できるよう、今後も生産性向上を常に意識して、業務を遂行していきたい。

(論文、終了)





以上、理系向けの論文でした。あくまでも解答例です。
生産性向上に主軸を置いて書くことが大切です。主題からずれてしまうと、「自分の用意した文を書いただけだ」と見なされて、設問に答えていないことになり、不合格となります。
自分でテーマを設定して何度も書いてみることが大切です。
文章を書くことそのものが苦手、という人は、文を書くテクニックについての記事をご覧ください。
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