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「薬剤師」の仕事内容、メリット・デメリットを徹底解説

薬剤師のお仕事についてメリット、デメリットについて解説します。

主に、以下のような人に役立つ記事になります。
・現職の薬剤師で、メリットを再確認したい
・薬学部の学生で、薬剤師の仕事を詳しく知りたい
・薬剤師、薬学部を目指す、受験生や高校生
・薬剤師の人との結婚を考えている
・自分の子供に薬剤師になってほしい




薬剤師の業務内容の確認

薬剤師の仕事は、おおまかに以下の4つに分類されます。
・調剤薬局での薬剤師
・ドラッグストアでの薬剤師
・病院での薬剤師
・MR
一つひとつ、簡単に概要を確認します。

調剤薬局での薬剤師

街中での薬局や、病院やクリニックに併設されている薬局で勤務します。
主な業務
・処方箋の監査
・内服薬や注射剤の調剤
・窓口での薬剤管理や服薬指導
・販売商品の在庫管理
・医薬品発注
・レジ業務
・医師への問い合せ
などです。
発注業務は、事務担当が一括して行う場合もあり、勤務する薬局によります。窓口でのお客様対応、という特性が強いといえます。

ドラッグストアでの薬剤師

マツモトキヨシ、HACドラッグ、CREATEなどの大きなお店に併設されている薬局で勤務します。
主な業務
・処方箋の監査
・内服薬や注射剤の調剤
・窓口での薬剤管理や服薬指導
・販売商品の在庫管理
・医薬品発注
・レジ業務
・医師への問い合わせ
小さな調剤薬局と業務は近いです。ただし、薬剤だけでなく、食品や雑貨などの一般商品の管理や一般客対応をする場合もあります。お店によって勤務内容が決まっていることがあったり、契約時に業務内容を選択できたりします。

病院での薬剤師

病院やクリニックの中で、医師、看護師、患者などと常に関わりながら勤務します。
・処方箋の監査
・持参薬鑑別
・内服薬や注射剤の調剤
・混合調整
・薬剤在庫管理と発注
・入院患者への配薬、服薬指導
・医師、看護師への問い合わせ
などです。薬局の薬剤師との大きな違いは、職場が病院であること。医師との連携での業務が基本で、また入院患者への長期的な対応があります。業務全般も薬剤部の方針だけでなく、病院の方針の多くに従って遂行することが多くなります。

MR

薬剤師という職業ではありませんが、一応、4つ目として、リストアップします。
MRは、薬品メーカーの薬商品を扱う営業職です。Medical Representative の略称で、「エムアール」といいます。
・病院、薬局への薬品の売り込み
・顧客への勉強会開催
・顧客へ商品のプレゼン
・販売計画策定
・研究、製造部門との業務連携
・市場調査
などです。
自社で製造する薬を扱う仕事になりますので、薬剤の専門的な知識を駆使して遂行します。MRは、薬剤師の資格がなくても就けますが、MRになるための民間試験に受からなくてはなりません。薬剤師の資格があると受験科目のいくつかが免除されます。
薬剤師の仕事とは異なり、また一般の営業職とも資格職という点で異なるため、特異な存在感があります。




薬剤師のメリット

薬剤師は、その職に就くための費用と時間が多く必要ですが、一度薬剤師になれれば、そのメリットは絶大です。

どこでも働ける、夫の転勤に合わせて転職できる

薬剤師は資格職のため、誰でもその職に就けるわけではありません。その裏返しで、薬剤師の資格を所持していれば、全国の病院、薬局で求人さえあれば、その職に就くことができます。よほどのミスマッチがない限り、その街の薬剤師求人のいずれかに収まることができます。
女性の場合、結婚や夫の転勤などで現職を辞めてしまっても転居先ですぐに職を得られる可能性が高いです。小さな村でなければ、大抵は薬剤師求人があります。

それなりに高い時給で稼げる

薬剤師の給料は、めちゃくちゃ高いということはありませんが、事務の仕事やスーパー、ショップの販売などと比較すると、格段に高いです。パート勤務や派遣社員で、どんなに安くても時給1600円くらいからとなります。地域にもよりますが、2000円くらいからが相場です。高いと4000円くらいの求人もあります。

年収800万円まではいける

正社員としてフルタイムで勤務すると、年収およそ400万円くらいからとなり、800万円くらいまでは目指せます。それ以上をの年収をねらうなら、薬局長や薬剤部長などのマネージャークラスを目指す必要があります。
もちろん地域やその勤務先の給与体系にもよりますが、役職なしの平社員で年収700万円もらえるのは、薬剤師の大きなメリットといえます。


専門職としての高い社会的評価

薬剤師は手堅い職業です。大学で何年も薬学を勉強し、難しい国家試験に合格し、病院やクリニックなどで医療に従事している、ということで、社会的な評価は極めて高いです。
日常生活に欠かせない「薬」に関する専門家、ということでも、間違いなく一目おかれる存在です。
クレジットカードの審査、就職、結婚など、人生の節目で自分の職種の恩恵を授かることでしょう。
薬剤師としての業務のかたわら、さらに勉強し、認定薬剤師の資格を取得することもできます。認定薬剤師となれば、さらにその評価や需要も高まり、その地位を確たるものにすることができます。

薬学の知識を生活に役立てられる

薬剤師は、薬の知識が豊富なのはもちろんのこと、どの薬が、どのような症状に効くか分かっています。
医師ではないので、病気を特定することはできませんが、生活の中で、風邪や体の痛みなどの症状が出たら、この薬を飲む、と即座に判断できます。薬の知識だけでなく、風邪を引かないための生活の仕方、のような保健全般の専門的な知識があります。
また、いわゆる理系であるため、生活の中でのさまざまなやりくりを化学的な解釈で行うことができます。

同僚のレベルが高い

薬剤師の同僚は、薬剤師です。すなわち、同僚がみな、難しい国家試験をクリアしています。また、大学受験、長年の学問修了、日進月歩の薬剤知識のキャッチアップといった、努力ができる人、計画的に学べる姿勢のある人がほとんどです。
一般企業での機械や電気、経理、IT系といったさまざまな職種は、業務のための国家資格や、学問修了が必須でないことがほとんどです。課の中に未経験者やど素人がいて、なんとなくやれてしまっている、という理不尽な状況が見られることもあります。課長はマネジメント重視で、課の専門性には欠けるという場合もあります。
薬剤師は、みな同じ学問を修めているため、高いレベルでお互いに会話ができます。管理職も薬剤師ですので、上司と専門性の高い会話が可能です。登録販売士も薬剤師に負けないよう勤勉な人が多いです。

勉強会を受講できる

新しい薬や成分に関する情報共有の機会を、薬品メーカーが提供してくれます。
病院やクリニックといった薬剤師の職場にプレゼンしにきてくれることもあれば、近場の会場で開催してくれることもあります。参加料金がかかる場合もあります。
自ら進んで勉強することはもちろん重要ですが、メーカー側から知識を提供してくれるのは助かります。押さえておくべきポイントや、薬品業界のお話などさまざまな情報を得ることができます。

転職市場で強い

薬剤師という職種の価値は高いです。転職しようと考えた場合、必ずといっていいほど、どこかに転職できます。就職・転職サービス業者の中には、薬剤師の求人情報を専門的にまとめて取り扱うところもあり、1つの地域の中でも、複数の選択肢の中から自分に合った求人を選ぶことも可能です。
調剤のルーチンワークの枠を超えて、緩和ケア、抗がん剤、NST参加、各種委員会への参加など、の業務経験を積むことができれば、自身の転職市場での価値はさらに高まり、より高い年収や時給で自分を売り込むこともできます。



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医師との協業により、医療に詳しくなる

病院薬剤師であれば、毎日といっていいほど、医師との協業による業務遂行となります。
症状、病気に関わる会話が日々繰りひろげられるため、医療全般の知識も年々蓄積されていきます。担当の病棟があれば、やる気次第でその病棟の医科の深い知識を付けることも可能です。
ただし、詳しくなっても、それを患者さんに医療行為として伝えることや、医療見解として関係者に伝えることはできません。あくまで自分の理解促進や、生活に役立てる、といったことに留める必要はあります。

女性の場合、医師との結婚も叶う

女性の結婚相手の職業として毎年上位にランクインする「医者」。病院薬剤師は医師のそばで働くことも多いため、そこから恋愛に発展し、結婚、ということも可能です。紹介やお見合いパーティーに頼らなくても、身近でそのチャンスがある、というのは、恵まれた環境です。




薬剤師のデメリット

薬剤師は、専門性の高さ、市場価値の高さ、資格を得るまでの道のり、などから、他の職種にはないデメリットがあるのも事実です。これから薬剤師や薬学部を目指すなら、デメリットも把握した上で突き進む必要があります。

常に勉強を続ける必要がある

薬剤師に限ったことではなく、サラリーマン全員、「学び」を続けることは大切です。しかし、医療従事者、特に薬剤師は少し状況が異なります。
薬や成分は日々進化しているため、普段の調剤ルーチンワークをこなすための知識も短期間でアップデートされることがあります。そのための勉強は、薬剤師にとって欠かすことのできない取り組みです。
工学系・IT系エンジニアの「学び」や、管理系職種のサラリーマンの「学び」は、「スキルアップ」につながりますが、薬剤師の「学び」は、「スキルの維持」ともいえます。「学び」を怠ると、おいてけぼりになるため、学び続ける覚悟が必要です。
専門的なお勉強、そのほか必要なお勉強をしっかり続けていかないと世間が狭くなる、と言う薬剤師も多くいます。

高い学費のわりには稼げない

薬学部の学費は高額です。以下の比較を見ると歴然とします。薬学部のおおまかな6年間の学費は、
私立 1200万円
国立  400万円
同じ理系でも、理工学系学部は、4年間で
私立  600万円
国立  250万円
が目安です。
6年間というところもポイントで、生涯の労働年数が理工学系より2年短くなります。そのわりには、とてつもなく高い給料を得るのは難しい、といわざるを得ません。
同じ医療従事者でも、
看護師 6年制ではない
医師  報酬が高い
ということを考えると、薬剤師の費用対効果はやや低いです。
また大手メーカーであれば、主任、係長クラスで年収1千万円も可能です。ベンチャー企業やIT企業で優秀な実績を上げて、平社員でも1千万円以上もらう人も、今は多いです。しかし、薬剤師で管理職にならずに年収1千万円を得るのは非常に難しいです。手堅い職業であるのと同時に、ホームランを多発してグイグイ給料を上げていく、というのはほぼ無理だと考えてよいでしょう。

通常業務の中でビジネススキルは身に付きにくい

ここでいうビジネススキルとは、PCや語学、コンセプチュアルスキル、プレゼン、ライティング、デザインなど、ビジネスマンに必要な、本業プラスαの部分のさまざまなスキルのことです。
薬剤師は、その専門性の高さゆえ、薬剤の専門知識や医療に関するスキルの多くを求められます。医師・看護師と同じで、医療に関する専門性の重要度が極めて高く、ビジネススキル全般の習得が、一般企業に比べると低い優先度に位置付けられます。
PC操作に関しても、薬剤や患者情報などのデータ管理、専用のソフトウェアの操作など、簡単なことはできるようにはなりますが、それを越えたビジネススキルを普段の業務の中で培っていくには、業務時間外に独自に学んで、強い意志をもって仕事に取り組む必要があります。医療に従事する、という事情からやむを得ないこと、といえます。
もし、副業で何かビジネスを始めたり、独立する、などの事情があるときには、世の中の全般に通用するビジネススキルに関する研修を受講する必要があります。

長期休暇の取得は難しい

長期休暇を取得することが難しい職場が多いです。病院やクリニック、調剤薬局が、1週間、10日間など、長期で休業することは、ほとんどありません。すなわち、勤務している従業員は休んでいない、ということになります。職場を操業させるために、お盆の時季やゴールデンウィークなどは、シフト制で順番に数日の休暇を取得します。デパートやショップのような、一般のサービス業と近い勤務形態なります。
加えていうと、土曜日も出勤日に指定されていることが多く、その場合、平日に1日休みがあります。




管理職のポストが少ない

管理職、すなわち課長や部長のポジションです。薬局長、薬剤課長といったそのポジションは限られています。薬剤課長が固定されると、そのポジションが下の人には何年も回ってこない場合が多いです。
一般企業のような、
・企画課の課長になれないが、管理課の課長になった
・設計部の部長になれないが、製造部の部長になった
といった類似の業務体系のポジションが回ってくるという、おいしい状況はほとんどないと考えていいです。
転職ではなく、その職場で給料を上げようと思ったら、基本的には昇進するしかありません。そのポジションが回ってこなければ、本来は管理職になれる実力があっても、安月給がずっと続く、というストレスを抱えるかもしれません。

病気をもらうリスクがある

医師、看護師と同じで病気をもった人と関わりながら仕事をします。風邪をうつされたり、感染症になったりするリスクは、一般企業の会社員よりは高いです。
職場でマスクの着用を義務付けるところがほとんどですが、そのほか、うがい手洗いなど、体調を崩さない心掛けが一層大切です。

薬剤師以外の職種への転身は覚悟が必要

薬剤師なるために、長い年月の努力、高い学費を費やしてきたわけですから、そう簡単にこの職を離れるわけにはいきません。学費を支払ってくれた人をはじめ、周りの理解を得ることもなかなか大変です。
一度、薬剤師の職を離れ、多くの年月が経過すると不利になります。在職時の知識が、世の中ではどんどんアップデートされて、場合によっては復帰が難しくなります。これは薬剤師に限ったことではありませんが、そのステータスゆえ、離職(転身)には今後のライフプラン、良好な見通しを立てることが肝心で、最悪復帰はできないかも、という覚悟が必要です。


まとめ

薬剤師という職業の種類と、メリット・デメリットについて解説しました。
薬剤師は求人が多い上に社会的な評価が高く、そこそこの給料を稼げる反面、その職に就くまでの道のりが長く、休暇の少ない中、生涯勉強をし続ける覚悟が必要、というようにまとめられます。
今回あえてデメリットを挙げていますが、他の人にはできず、食いっぱぐれのない手堅い職業として、薬剤師は魅力的な職業に間違いありません。
ぜひ本記事を参考の上、薬剤師のどのメリットに自分が納得しているか、または、自分の大切な人の薬剤師としてのあり方への理解を深めていただければと思います。